途中出場から2ゴールの活躍を見せた小見。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 11月2日、国立競技場で開催されたルヴァンカップ決勝で、アルビレックス新潟は名古屋グランパスと対戦。3−3で突入したPK戦の末に4−5で敗れた。

 あと一歩のところでクラブ初タイトルを逃した新潟だが、2点のビハインドを追いついただけでなく、再びリードを許した延長戦でも同点弾を奪うなど、最後まであきらめない粘りをみせた。

 そのなかで2度、土壇場で同点ゴールを決めたのが、72分から途中出場した小見洋太だった。

 松橋力蔵監督に「とにかく仕掛けろ」とピッチに送り出されると、1−2で迎えた後半アディショナルタイムに敵陣ボックス内で倒されてPKを獲得。大きなプレッシャーのかかる場面でも、落ち着いて決めて土壇場で同点弾を奪取。さらに延長戦でも、2−3とされて迎えた111分に、スルーパスに抜け出して左足のシュートを流し込んだ。

 また、この新潟FWはPK戦でも5人目のキッカーを務めて確実に成功。グランパスの守護神ランゲラックを相手に1試合で2度のPKを成功させたのだ。

 小見のPKと言えば、長い助走を取り、小刻みなステップでじりじりとボールに近づいて蹴るという斬新なスタイル。この独特の蹴り方は昌平高時代から行なっているもので、当時SNSで拡散されて世界中で話題となった。今回、大舞台でもその方法を貫いた。
【動画】アルビ小見がPKで劇的同点弾!
 試合後、本人にPKの場面で「何か駆け引きはあったのか?」と訊いてみると、「蹴り方を何か変えようとかはなかったです。ただ、ランゲラック選手は試合を通して良いセーブをたくさんしていたので、『ノってるGKとの対決か』と頭をよぎりました。でも自信はありました」と、その時の心境を明かしてくれた。

「(1本目は)めちゃくちゃ緊張はしましたけど、ゴール裏に僕たちのサポーターがいたので、比較的落ち着いていて、考えていたコースに蹴り込みました。(2本目も)難しさはありましたけど、やることは変わらないので。とにかく自分の思ったほうに蹴って、しっかりと決められたので良かったです」

 小さくないインパクトを残した22歳は、このファイナルの経験を「これだけ多くの新潟サポーターが駆けつけてくれて、最高の雰囲気の中でプレーできました。これまでのサッカー人生の中で一番楽しかった日になりました」と語り、「またこの舞台に戻ってきてリベンジしたいです」と雪辱を誓った。

取材・文●中川翼(サッカーダイジェストWeb編集部)