西田敏行さんの死因「虚血性心疾患」恐ろしい急性、既往症治療でリスク軽減 寒い季節は特に注意を!医師語る
俳優の西田敏行さんが亡くなった。76歳。所属事務所の発表によると、死因は「虚血性心疾患」。自宅で倒れているのが見つかり、そのまま死亡確認。直前に明確な兆候はなかったとされている。名優に突然降りかかった恐ろしい病気…。たにみつ内科(兵庫県伊丹市)の谷光利昭院長がこの病について説明した。
【写真】「探偵ナイトスクープ!」で局長を務めた西田敏行さん…キダ・タローさんの姿も
◇ ◇
心臓を栄養している血管には、右冠動脈、左冠動脈の2本があります。心臓は非常に重要な臓器であることは言うまでもないですが、全体の血液の5%も使用しています。何らかの原因で、心臓を栄養している血管が詰まることを「虚血性心疾患」と言います。
原因としても最も多いのが動脈硬化です。動脈には、内膜、中膜、外膜と3層の膜がありますが、様々な原因で内膜が肥厚して硬くなることを動脈硬化と言います。動脈硬化の危険因子として、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満などが挙げられます。
虚血性心疾患には、慢性の経過を辿るものと急性の経過を辿るものの2種類があります。慢性の経過をたどる代表として、労作性狭心症という病気があります。
冠動脈の内腔が動脈硬化によって次第に狭小化し、心臓の筋肉に必要な酸素、栄養を送れなくなるのです。いつも昇れていた階段が辛くなってきた、少し動くだけで息切れがする、胸が痛くなるなどの症状があれば要注意です。
内服で治療が難しければ、冠動脈内腔に薬剤が付着した網目状の金属の管を入れて狭くなった部分を広げます。最近は、内科的治療が非常に進歩しており、比較的安全に治療ができます。
急性の経過をたどるものとして、急性心筋梗塞があります。非常に怖い病気で、冠動脈の内膜が破れて血栓が生じることにより、冠動脈を完全に閉塞して、閉塞部位の抹消の部分の心筋が壊死してしまうのです。
1時間以内に86%の人の心臓が停止し、25%の人が頓死するというデータがあります。日頃から高血圧、脂質異常症、糖尿病の治療を厳格に行うことがリスクの軽減になります。また、喫煙が心筋梗塞のリスクを非常に上昇させることが知られています。
これからの寒い季節に、居酒屋で飲酒をした後に寒い屋外で喫煙をしたり、寒いところでの入浴、排便などは血圧を急激に変動させるために、リスクのある人は辞めて頂きたいと思います。腹上死の原因としても有名です。
西田敏行さん…個人的に「釣りバカ日誌」が好きでよく楽しませてもらいました。しんどいときの最高の気分転換でした。虚血性心疾患による訃報、残念でなりません。
◆谷光利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。