左:阪急「プライベース」 右:京阪「プレミアムカー」

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◇「羽川英樹の出発進行!」

 今回は大阪〜京都を結ぶ阪急と京阪の有料座席指定車両を乗り比べてみました。

 阪急「プライべース」(PRiVACE)は約3か月前の7月21日にデビューしたばかり。京阪「プレミアムカー」(PREMIUM CAR)は7年前の2017年8月に登場しました。

「プライべース」が連結されている阪急の特急
「プレミアムカー」が連結されている京阪の特急

 まずは、阪急「プライベース」に乗って大阪梅田から京都河原町へ向かいましょう。

 プライベートと、場所を意味するプレイスをかけあわせて命名された、「プライベース」。8両編成の4号車に設置され、車両の外観にはおなじみのマルーン色にゴールドのラインを施して上質感を打ち出しています。

「プライベース」

「プライベース」の扉は4号車の中央にあり、乗り込んでから座席は左右に分かれて設置されています。車内は「2列+1列」の3列シートで、計40席。おなじみのゴールデンオリーブ色の座席に、木目調の壁面化粧板、そして床は上品な全面カーペット敷きとなっており、座席幅やシートピッチもかなりゆったりです。

 座席は座面連動式のリクライニングシートで、2人掛け席は間に仕切り板が設置されており、知らない人同士でも気にならないよう配慮されています。ただ飛行機と同じ収納式のテーブルは肥満気味の我が身には少しお腹がつかえます……。

 ほかにもドリンクホルダー・マガジンラック・読書灯・コンセントに通信・空調設備も完備。9A座席の後ろには車いすスペースも設けられ、子ども用のポータブルチェアの貸し出しも行っています。

 使用車両は従来の特急車両9300形と、新しい車両2300形で運用され、大阪梅田〜京都河原町を43分で結びます。いまは1時間に2〜3本が特急・通勤特急・準特急などで運用され、チケットは14日前から専用予約サイトでのみ販売されます。ただし、乗ってから空いていれば車内アテンダントから購入も可能で、座席指定料金は一律500円となっています。

 一方、7年前に「プレミアムカー」を導入した京阪は、4号車に指定料金なしのダブルデッカー、そして6号車に有料座席指定の「プレミアムカー」を連結しています。

「プレミアムカー」

「プレミアムカー」は、ゴールドのゴージャスな扉を入ると、「2+1」の3列シートが、阪急と同じく40席用意されています。座席下のみカーペット敷きで、テーブルは新幹線と同じ前から倒す方式。これならノートパソコンも余裕で操作できそうですし、小さなフックも帽子がかけられたりと意外と便利なんです。

 そのほかの車内装備はほぼ阪急と同じですが、パナソニックの空気清浄システム「ナノイーX」も搭載されていますし、4席だけの独立したエリアもあります。ちなみにプレミアムカーは8000系以外にも、主に快速急行で使用の紺と白の3000系にも連結。また大阪・関西万博ラッピング車両でも運用されています。

 現在、平日夕方は満席になることも多く、乗車率は平日で80パーセント、週末は90パーセントの人気を誇っており、2両連結にする計画も出ています。ちなみに座席指定料金は乗車距離によって400円と500円の2段階制という配慮もなされています。

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 さて、改めて2つを比べてみました。そのなかで、阪急「プライベース」利用の利点は、(1)座席のほどよい弾力と木目調の落ち着き、(2)座席の頭部側面の張り出しが大きく周囲の視線が気にならない、(3)京阪より京都四条の中心地に5分早く着くこと。

 京阪「プレミアムカー」利用では、(1)ホーム上にもチケット券売機がある、(2)座席のテーブルが大きく使いやすい、(3)中間駅からは400円区間があるという料金体系などが評価できます。

 また筆者が挙げる改善点として、阪急は、(1)専用サイトだけではなく駅でもチケットを売ってほしい、(2)一律500円の指定料金は不公平感がある、(3)マルーン色は生かしてはいるがもう少しアピールするデザインも欲しかった、というところでしょうか。

 京阪については、なんといっても(1)8000系が改造車のため窓割りが悪く座席番号10番〜12番はあたりは太い窓枠で車窓が楽しめないこと(ただし3000系は新造車のためその不具合は解消)、(2)レシートのようなペラペラのチケットが安っぽい、(3)線形にカーブが多いため阪急より所要時間が長い、などが挙げられます。

 なお車内ではアルコールもOKですが、両車ともトイレはついていないので飲み過ぎにはご注意ください。

 全体的には装備ではやや京阪の方がいいようですが、梅田という場所から発車する阪急の使い勝手もよく、なかなか甲乙つけがたいところ。ぜひ一度、あなたも乗り比べてみてください。(羽川英樹)