今後、カーシェアでも「ジュニアシート」を持参する必要が出てきそうです(写真:Fast&Slow/PIXTA)

カーシェアの車から「ジュニアシート」が消えていっているのをご存じだろうか。これまでカーシェアでは、おおむね3歳以降が使用するジュニアシートが標準搭載されていた。しかし、大手カーシェア各社は今年4月から順次搭載を終了している。

前回記事『「え、ジュニアシートがない…」カーシェアに異変』ではその背景を紹介した。

今回は、カーシェア利用者が今後ジュニアシートを自ら購入するときの選び方をお伝えする。

価格によって安全性は変わらない

現在カーシェアの車に搭載されているジュニアシートは、数年のうちに完全に撤去される見通しだ。

今後カーシェアを利用する家族連れは、ジュニアシートを自ら調達しなければならない。

そこで気になるのは、どのようにジュニアシートを選べばいいかだ。カーシェアユーザーからしたら、使用頻度が少ないうえ、毎回着脱して持ち運びする手間がかかる。もちろん安全性は必須だが、使い勝手やコスパのよさも手放せないだろう。

SNSや自身のHPでチャイルドシートなどの情報を発信するチャイルドシート研究所の所長に、カーシェアに適したジュニアシートの選び方を聞いた。

「ジュニアシートは1万円前後から4万円台のものまでありますが、価格差が大きい一番の理由はISOFIXの有無です。ただ、ISOFIXの有無によって安全性が変わることはありません。

ISOFIXタイプとは、シートベルトで固定するのではなく、専用のコネクターをカチッと差し込んで車体とジュニアシートを連結するものです。簡単に装着できるだけでなく、取り付ける大人が不慣れだったとしても、固定の強度に個人差が出ないので安全性も心配がいりません」(所長)。

着脱の利便性を重視する人はISOFIXタイプを、価格を重視する人はシートベルト固定タイプを選ぶのが良さそうだ。

また、「以前カーシェアの車に搭載されていたような座面のみのブースターシートは、新基準では使用対象が125cm以上となっているので、チャイルドシートを卒業してすぐの3歳児などには使えない点には注意が必要」(所長)。

長く使えるものを選びたい人は、『チャイルド&ジュニアシート』と呼ばれる兼用タイプもおすすめだ。使用目安期間が月齢15カ月から12歳、または身長76cmから150cmまでと幅広く、子どもの成長に合わせて形を変えられるものもある。

売れ筋は「3万円前後」と「1万円強」で二極化

では、実際に、どのようなジュニアシートが売れているのか。日本トイザらスのベビー商品部シニアバイヤー大河平里砂氏によれば、売れ筋の価格帯は二極化が進んでいるという。

「当社では1.5歳以上から12歳ごろまで長く使えるタイプのものが人気ですが、2024年9月時点では、ISOFIX搭載で、2万円後半から3万円前半と比較的高値の、メーカーのブランドものが売れています。

一方で、価格に敏感な方も多いです。セール期間中に1万円弱で販売した商品が飛ぶように売れました。低価格のブースターシートが市場からなくなった今、もっとも安価に購入できる商品だったことが一因だと思います」


ジュニアシートの価格帯は広い(画像:トイザらスHP)

先ほど紹介したISOFIXタイプとシートベルト固定タイプでは、実際にはどれくらい価格差があるのだろうか。

一例を挙げると、アップリカ製の『ライドクルー』は、ISOFIXだと2万7499円、ベルトタイプだと1万8699円と、9000円弱の開きがあった(トイザらスのオンラインストア、2024年10月10日現在)。

「正しい着用方法」を守ることが最重要

ただ、最適なジュニアシートを選んだとしても、それで安全とは限らない。

前出のチャイルドシート研究所の所長は、「子どもが150cmを超えていたとしても、正しい姿勢で着座できている必要がある」と話す。

「シートベルトは本来、胸骨、肋骨、骨盤の3点にかかるのが正しい。それが長時間の乗車により、子どもが姿勢を崩して、シートベルトが首やお腹にかかってしまうことも多々あります。そうすると、衝撃時にシートベルトによってお腹が圧迫され、最悪のケースにつながることもある」という。

結局のところ、年齢や身長だけに頼らず子どもが正しくシートベルトを着用できているか、都度確認することがもっとも安全と言えそうだ。

(佐藤 隼秀 : ライター)