SVリーグ開幕戦、西田擁する大阪ブルテオン(青)が大注目の一戦を制した【写真:中戸川知世】

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大同生命SVリーグ開幕戦

 バレーボールの新リーグ「大同生命SVリーグ」は11日、東京体育館で男子開幕戦を行い、大阪ブルテオンがサントリーサンバーズ大阪に3-0のストレート勝ち(25-17、25-19、25-21)を収めた。西田有志、高橋藍らパリ五輪日本代表としてプレーした選手も多数出場。チケットは完売し、観客6513人が集まった。地上波でも生中継されたが、2030年までの「世界最高峰リーグ」実現を目指す新リーグの船出を、日本代表選手たちはどう感じたのか。

 試合開始3時間前。千駄ヶ谷駅の改札を出た瞬間、道路の向こう側から賑わいが伝わってきた。会場の東京体育館。既に入場を待つ観客が列をなし、流石のバレー人気だと思っていたら、その奥に設置されていたグッズ売り場にはさらに驚いた。両チームのファンがあわせて500人はズラリ。高橋、西田ら人気選手ののぼりも撮影スポットになっていた。

 オーケストラの生演奏が行われる中、選手がコートインするなど演出にもこだわりがあった。観客数は6513人。空席は僅かで、もっと入っているようにも感じた。小野寺太志、山内晶大、山本智大らパリ五輪でもプレーした選手が多く、フジテレビが地上波で生中継するなど大きな注目を集めた。

 SVリーグは前身の「Vリーグ」から再編。将来的な完全プロ化、2030年までの「世界最高峰リーグ」実現を目指す。新たな船出を、日本代表選手たちはどう感じたのか。屈指の守備力を発揮した大阪Bのリベロ・山本は「パリ五輪と変わらないくらいの熱量があって、この環境でやれることに感謝したい」とコメント。「世界トップを目指せるリーグだと僕は思っている。皆で頑張っていきたい」と気持ちを高ぶらせた。

 昨季までイタリア1部モンツァでプレーするなど人気、実力ともにバレー界屈指となった高橋。フォロワー200万人を超える自身のSNSでも積極的に発信してきた。会見では敗戦の悔しさを口にしながらも、「SVリーグを盛り上げていくためにも、しっかりその一人の選手とならなければならない。自分自身もイタリアで3シーズン経験した中で、日本は世界最高のリーグになれると思っている」と話した。

 海外選手とも良くコミュニケーションをとる中で、「日本でプレーをしてみたいという選手も非常に多い」という。「お客さんの盛り上がりだったり、日本のバレーボールに対する注目度は高いと改めて感じられた」と新リーグの可能性について触れ、頷いた。

日本代表戦より盛り上がりが欠けているとの質問も…チェアマン「その通りだと思う」

 一方会見では、日本代表戦と比較すると拍手などの盛り上がりが欠けているのではないかとの質問もあった。「その通りだと思う」と認めた大河正明チェアマンは「日本代表戦は、ほぼ皆さん日本を応援しに見に来られる。日本を応援するという熱量を感じられる」と説明。国内の2チームが戦うSVリーグは「そういう(応援の)文化がこれから根付いてくるところ。そこが変わってくればもっともっと良くなる」と現状を表現した。

 この日の観客は女性の割合が圧倒的。「それが強みでもあり、ファミリー層、バレーボールをやっていた男性が世界で一流のプレーを見たいと思って来てくれたら、もっとファン層が分厚くなって発展するんじゃないか」と同チェアマン。「レベル的には世界に通用する試合を展開してくれた」と評価するだけに、ファン層がより広がることに期待している。

 日本代表戦の盛り上がりも知る大阪Bの主将・山内は「また違うプレッシャー。それを楽しさに変えることができた」とコメント。「この熱を冷まさないようにするのが自分たちの仕事。それくらいの価値があるバレーをしないといけない使命感はある」と責任もにじませた。

 バレー熱の高さを改めて感じさせる一日となったが、チーム最多の21得点でヒーローとなった西田は冷静に振り返る。

「自分たちも、SVリーグもただ1試合が終わっただけ。それをたくさん取り上げてもらったが、ここから他のチームの方々にどう還元するか、自分たちがどう繋ぎを見せるか。チームとしても、個人としても意識してやっていきたい」

 試合後のコートインタビューでも「これから各地でSVリーグが開幕します。今回はサントリーさんと大阪ブルテオンが凄く取り上げられてはいましたが、これから各メディアの方々もそうですけど、各チームを取り上げてくださるのが僕にとっても凄くありがたい環境ですし、SVリーグとしても世界一の第一歩だと思うので、是非皆さんのお力を貸していただければと思います」と呼びかけた。チームは違っても、目指す方向性は同じだ。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)