京都・祇園で感じた韓国料理のニュートレンド!食材の鮮度と京野菜にこだわり抜いた大人の高級韓国料理
折からの韓流ブームを経て、日本でもすっかり市民権を得た感のある韓国料理。キムチや冷麺はもちろんのこと、サムギョプサルやタッカンマリ、参鶏湯、ヤンニョムチキンといった料理は今や全国至る所で口にすることができる。
こうも日本人に好まれる韓国料理だが、ただ一つ不足があると言えば多くの料理店で提供される料理の大半が大衆料理、居酒屋料理の範疇におさまっていることだろうか。安くて美味しいのだが、今一つ洗練度や高級感に欠けるような印象。仲間内の宴会ならいいが、気張ったデートや祝い事には不向きだと感じる方は多いのではないだろうか。
しかし近年、まだまだ都市部に限定したムーブメントだが、ようやく高級感あふれる韓国料理を提供する店が注目されるようになった。その一つが「京韓堂 アジョシ祇園本店」。
京都、東京で韓国居酒屋を展開するアジョシグループが今年7月にオープンした新店で、割烹やイタリアン、フレンチの名店のように洗練された空間の中で、吟味された素材、高度な調理技術を堪能できるのだ。
オープン早々にうかがっておまかせのコースをいただいたのだが、どれもこれも創意工夫にあふれた絶品。
そのまま刺身にも出来そうな白身魚をサンチュで包んでいただくフェ(韓国風刺身)から始まり、京丹波高原豚を用いたしっとりと甘やかな蒸し豚、惜しみなくヤンニョムに付け込んだ生の本マグロ、和牛をやや厚めに切ったユッケ、湯がきたてのような柔らかいしらすと韓国のり、春雨をあえたチャプチェ、九条ねぎの味噌ソースをあしらったカイノミステーキ、作り立ての麺にすだち、ハモ、梅肉をあわせた冷麺とラストまで息をつかせぬ美味の嵐だった。これなら最近、流行の兆しがある高級マッコリや、ワインとのマッチングも十分に期待できるだろう。
アジョシの代表を務める張本賢史さんにお話を聞いた。
中将タカノリ(以下・中将):新店はどんなコンセプトで作ったのでしょうか?
張本:最近はネオンっぽい内装でInstagramでバズるようなお店が注目されがちです。それはそれでいいのですが、新しいトレンドとして"大人が通えるお店"としての韓国料理店を提案したいと思いました。構想は4年ほど前からあったのですが、コロナ禍を経てようやく実現にうつすことができました。アジョシ・グループの中でもアッパー層にうったえるブランドとして「京韓堂」を育てていきたいですね。
中将:日本の韓国料理店でこれほど洗練されたお料理は珍しいですね。
張本:京野菜や旬の食材を取り入れ、韓国料理でありながら日本人にも受け入れられるテイストを目指しています。たとえばフェにしても魚の切り身をそのまま使うのではなく、こぶ締めにしたりひと手間欠けることで、味に深みを持たせてみたり。和食店のように季節ごとにいろんな料理のアレンジが楽しめる韓国料理を提供したいと思っています。
中将:蒸し豚と言えば韓国料理の定番ですが、こちらの蒸し豚はしっとりした舌触りでびっくりしました。
張本:蒸し豚にはバサバサしたイメージがあるかもしれませんが、部位を選んで丁寧に調理したものを作り立てで食べていただくとあんな感じなんです。創業からのこだわりの製法なので、新店でもぜひ多くの方に味わっていただきたいです。
中将:一品一品どれも魅力的でしたが、締めの冷麺も絶品ですね。
張本:アジョシの冷麺のスープはA4ランク以上の和牛のすね肉や野菜をふんだんに使ったもので、毎日セントラルキッチンから出荷して使っています。冷麺スープはラーメンスープと違って徹底的に油を取り除くので、丁寧に作らないとすぐにあらが出てしまうんです。麺も作り置きせず、オーダーを受けてから粉から手打ちで作っています。出来立ての麺と作り置きの麺では風味や噛みごたえが全然違うんですよ。
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良い食材を丁寧に調理するという元々の方針に、京都ならでは食材の魅力や和のエッセンスをプラスアルファして誕生した京韓堂アジョシ祇園本店。こちらの料理たちは日本と韓国の長く、深い交流があるからこそ成立した新しいジャンルに違いない。こういったトレンドがより広く波及するよう期待したいものだ。
京韓堂 アジョシ祇園本店
所在地:京都府京都市東山区小松町4丁目4番地2
(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)