温暖化で、韓国産白菜キムチが絶滅の危機?
食卓から白菜キムチがなくなるかも…だと?
その国を代表する食べ物ってありますよね。韓国料理といえばキムチ。キムチの中でも、やっぱり王道は白菜キムチ。ロイター通信によると、韓国ではいつもそこにあるはずの白菜キムチが、温暖化のせいでピンチを迎えているそうです。
白菜キムチが夏の食卓から消える?
白菜は涼しい場所での栽培に向いていて、夏の気温が25度以下の山岳地帯で栽培されます。白菜にとってメインの収穫期にあたる夏の最適な気温の幅はとても狭く、18度から21度。これだと猛暑が続くと深刻な被害が出そうですね。
韓国の農家や製造業者、科学者たちは、温暖化によって白菜の生産量と質が低下しているといいます。特定の年だけでも暑くなりすぎると、白菜が壊滅状態になる可能性があります。
韓国の農林畜産食品部から「キムチマスター」に認定されているイ・ハユンさんは、気温が高くなると白菜の芯の部分が腐りやすく、根っこが弱くなるとし、このままでは夏場の白菜キムチをあきらめなければならないかもと危機感をあらわにしています。
作付面積が激減
韓国政府の統計では、昨年(2023年)の高地における白菜の作付面積は3,995ヘクタールで、20年前の8,796ヘクタールと比較して55%も減っています。
韓国の農業シンクタンクは、気候変動が深刻化する25年後の作付面積はさらにとんでもなく縮小して44ヘクタールになるとし、2090年には高地でも白菜が収穫できなくなると予測しています。2000年代前半から2050年頃までの間に作付面積が99.5%減少って、もう壊滅状態じゃないですか。
研究者たちは、そんなことになってしまう主な原因として、長引く夏の高温と予測不能な集中豪雨、害虫被害を挙げています。
中国産キムチの脅威
白菜の不作に苦しむ韓国のキムチ産業に、中国から輸入される低価格のキムチが追い打ちをかけているといいます。価格競争で有利な中国のキムチの大半がレストランで提供されているのだとか。
税関のデータによると、今年7月までのキムチの輸入額は同期間として過去最高となり、前年比で約7%増加したそうです。そして、そのほとんどが中国からの輸入だったとのこと。
科学者らは白菜を品種改良して、より温暖な気候や雨、害虫に強くしようと試みていますが、白菜農家は品種改良によって味の変化や、価格上昇を心配しています。
キュウリや大根のキムチもおいしいし好きだけれど、それは「たまには違うキムチも食べてみよう」と、いわば味変としてで、やっぱり白菜キムチにはいつも棚に並んでいてほしい。白菜キムチの絶滅は、人類の英知を集めて阻止せねば。
高地で栽培する品種や、高地に生息する植物や動物は、温暖化が進むと行き場を失ってしまうので、そうなる前に根本的な対策を実行しなきゃですね。
Source: Reuters