「お母ちゃんにありがとうと言いたい」と語った吉沢亮

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 俳優の吉沢亮が21日、新宿ピカデリーで行われた映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(公開中)公開記念舞台あいさつに、忍足亜希子、今井彰人、烏丸せつこ、でんでん、呉美保監督と共に登壇。本作に出演し、改めて感じた母親への感謝を述べた。

 本作は、作家・エッセイストとして活躍する五十嵐大の自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を、映画『そこのみにて光輝く』の呉美保監督が映画化。聴覚障害者である両親に対して複雑な思いを抱き、20歳のときに逃げるように東京に出て行った青年・五十嵐大(吉沢)が、帰郷をきっかけに両親と向き合う姿を描く。ろう者俳優として活躍する忍足と今井が両親役を務めた。

 耳のきこえない両親のもとで育った息子を演じた吉沢。この日は撮影以来となる五十嵐家が勢ぞろいした。吉沢は「仙台での撮影を思い出します」と懐かしそうな顔を見せるが、実は子役が演じていた幼少期はあったものの、吉沢が大を演じるようになってから、3人がそろうシーンはなかったというと「すごく新鮮ですね」と忍足や今井を見渡す。

 そんな吉沢に父親役の今井は「実は吉沢さんと僕は3歳しか違わないんです」と語ると、吉沢は「全然年上だと思っていたら、今井さんが33歳と知って驚きました。衝撃の事実です。僕は30歳なので3つ差で親子です」と笑う。

 手話を通じてコミュニケーションをとる親子。今井は吉沢の手話に対して「親子の関係性が出ているようなすごく自然な手話。素晴らしかった」と絶賛すると、母親役の忍足も「とても一生懸命手話を頑張っていました。すごく感情がこもっていて、最高の息子です」と目じりを下げた。

 この日は、人にものを伝えることの大切さを描いた作品にちなみ「いま伝えたいこと」をフリップに書くコーナーも。吉沢は「ありがとう」と掲げると「お母ちゃんにありがとうと言いたい。なかなか言えないので、こういう場を借りて」と照れくさそうに語る。続けて吉沢は「うちは男4人兄弟で、母ちゃんはめちゃくちゃ苦労していた。ここまで立派に育ててくれてありがとう」と言葉を紡いでいた。(磯部正和)