自動車産業がけん引、「石油の町」の構造転換 中国黒竜江省大慶市

黒竜江省の大慶ハイテク産業開発区にある浙江吉利遠程新能源商用車集団メタノール・水素生態大慶工場に展示された同社の新エネルギー商用車。(8月27日撮影、大慶=新華社記者/孫暁宇)

 【新華社ハルビン9月18日】中国黒竜江省の大慶ハイテク産業開発区にある自動車大手、浙江吉利控股集団傘下の浙江吉利遠程新能源商用車集団メタノール・水素生態大慶工場では、メタノール・水素電動システムを搭載した車がゆっくりと走り出し、冬の寒さが厳しい中国北方地域で商用車を新エネルギー化するために、新たな解決策をもたらした。

 同社の劉漢如(りゅう・かんじょ)主任研究員は「メタノール・水素電動車は、黒竜江省漠河市から新疆ウイグル自治区トルファン市まで、平地から高原まで、さまざまな使用環境に対応できる」と述べ、メタノール・水素電動システムは、電気自動車(EV)の充電をより経済的で便利にし、北方地域の極寒な気候の下でEVの航続距離が減衰する問題も効果的に解決できると強調した。

自動車産業がけん引、「石油の町」の構造転換 中国黒竜江省大慶市

延鋒彼欧(大慶)自動車外飾系統で、バンパーの品質検査を行う作業員。(8月27日撮影、大慶=新華社記者/孫暁宇)

 産油都市として発展し、石油開発で60年以上の歴史を持つ大慶市では現在、自動車製造など石油以外の産業を誘致、育成しており、新たな成長エネルギーが生まれている。

 スウェーデン自動車大手ボルボ・カーの中国合弁企業、大慶ボルボ自動車製造では、S60、S90セダンが次々と出てくる最新の自動車生産ラインが目を引く。2011年の「進出」以来、生産台数は51万台、生産額は1072億元(1元=約20円)に達している。

自動車産業がけん引、「石油の町」の構造転換 中国黒竜江省大慶市

安道拓(大慶)自動車部品で、自動車用シートを組み立てる作業員。(8月27日撮影、大慶=新華社記者/孫暁宇)

 同開発区は、自動車部品産業パーク、ハイエンド装備製造パークなど専門的な産業パークを一体化して建設、自動車用シートなど多くの自動車部品メーカーが集積している。

 安道拓(大慶)自動車部品では、ボルボS60、S90に搭載されるシートが最終組み立てラインで生産されており、日産約300セットとなり、貨物車でボルボ大慶工場に20分以内に納品可能となっている。

自動車産業がけん引、「石油の町」の構造転換 中国黒竜江省大慶市

安道拓(大慶)自動車部品で、自動車用シートカバーを縫製する作業員。(8月27日撮影、大慶=新華社記者/孫暁宇)

 延鋒彼欧(大慶)自動車外飾系統では、事前検査、プレス、溶接などの工程を経て、バンパーが次々と検査に合格し出荷されている。同社の温玉竜(おん・ぎょくりゅう)エリアマネージャーは「バンパーを1日約300セット、600点生産可能で、トラック二十数台でボルボ大慶工場に運ぶ」と話した。

 同開発区自動車・ハイエンド装備産業促進センターの周宇峰(しゅう・うほう)副主任は、「当開発区には完成車メーカー2社、自動車部品・関連サービス企業9社が入居しており、23年の自動車産業一定規模(主要事業の年間売上高2千万元)以上工業企業の生産額は179億元、24年上半期は85億元を達成した」とし、自動車産業は経済成長をけん引する重要なエンジンになっていると述べた。

自動車産業がけん引、「石油の町」の構造転換 中国黒竜江省大慶市

安道拓(大慶)自動車部品で、自動車用シートを組み立てる作業員。(8月27日撮影、大慶=新華社記者/孫暁宇)

 大慶賽車小鎮では8月29日から5日間、第4回中国自動車オートバイスポーツフェスティバルが開催された。同小鎮の呂瑾華(りょ・きんか)副総経理によると「毎年、自動車レースを十数回開催し、カート体験など文化・観光プロジェクトも開発し、レースを通じて文化・観光産業の発展をけん引している」という。

 同市工業・情報化局の劉国(りゅう・こく)局長は「当市は、世界的な資源転換型イノベーション都市の構築を急いでおり、自動車産業はその中核を担っている。すでにガソリン車、純電気自動車(BEV)などさまざまな種類の自動車を同時生産する体制が基本的に整っており、より多くの自動車部品サプライヤーにもチャンスを提供している」と説明した。(記者/孫暁宇)

自動車産業がけん引、「石油の町」の構造転換 中国黒竜江省大慶市

延鋒彼欧(大慶)自動車外飾系統で、バンパーの品質検査を行う作業員。(8月27日撮影、大慶=新華社記者/孫暁宇)

自動車産業がけん引、「石油の町」の構造転換 中国黒竜江省大慶市

大慶賽車小鎮で開催された自動車レース。(8月27日撮影、大慶=新華社記者/孫暁宇)