祖母宅を片付けていたら大きな瓶に入った「大量の小銭」を発見。これも遺産? 自分たちで数えて申告しなくてはならないのでしょうか?

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片付けをしている際に、自分以外の誰かが貯めていた小銭が出てきた場合、処理に困ることでしょう。すでに貯めていた人が他界していれば、遺産として処理しなければならないのか、そもそも小銭の数が多くて金額を把握できないケースも有り得ます。 小銭を銀行口座へ入金するにしても、枚数によって手数料がかかります。何も考えずに小銭を銀行へ持ち込んだ場合、想定外の費用がかかる場合がある点に注意してください。 本記事では、大量の小銭の把握方法として銀行へ持ち込んだ場合にかかる手数料がどのくらいなのか、小銭を貯めていた人が亡くなっている場合の対処法などを解説します。

小銭を銀行口座へ入金する際には手数料がかかる

大量の小銭を発見して銀行に持ち込んだ場合、一定の枚数以上は硬貨取扱手数料などの名称の手数料がかかります。
家族や親族などと協力して小銭を数える方法もありますが、量によっては膨大な時間を要したり、手間がかかったりするだけです。
また、数えられたとしても正確な額でないケースもあるため、銀行で入金や両替するのがスムーズでしょう。各銀行が定める硬貨取扱手数料の目安となる金額は、図表1のとおりです。
【図表1】

持込枚数 手数料 1~100枚 無料 101~500枚 550円 501~1000枚 1100~1320円 1001枚~ 1650~1980円
※以降500枚ごとに550~660円を加算

※各金融機関ホームページより筆者作成
例えば、小銭を2000枚持ち込んだ場合にかかる手数料は2750~3080円です。小銭の枚数によっては、小銭の総額以上に手数料が高かくなるかもしれません。小銭を銀行に持ち込む前に、持ち込んだ金額に対して支払う手数料が適切かどうかを判断しましょう。
 

小銭を入金できるATMなら手数料無料

銀行に小銭を持ち込む際に、硬貨取扱手数料が発生するのは窓口で手続きを行った場合です。ATMから入金をしたり、振り込む際の資金として使用したりする際には手数料を徴収しない銀行が一定数存在します。
ただし手数料がかからない銀行でも、無限に小銭を使えるわけではありません。ATMによっては硬貨の取り扱い枚数に上限を設けている場合があるため、膨大な量は受け付けてもらえない可能性が高いです。
ATMを利用する際には、1回で小銭を持ち込むのではなく、数回に分けるなどの対策を行いましょう。
 

死亡した人のお金は相続人で共有しなければならない

大量の小銭を貯めていた人がすでに他界し、相続税の申告後の場合は注意が必要です。
民法第八百九十八条にて「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」としており、相続人全員に連絡をして修正申告を行わなければなりません。見つけたもの勝ちは通用しないため、適切な手続きを行ってください。
 

原則として修正申告が必要

相続税の申告後に新たに遺産が見つかった場合、相続財産として修正申告を行わなければなりません。すでに申告した納税額に、変更があるからです。
相続税の申告期限は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められており、申告後に財産が見つかったケースはありがちです。後から見つかった財産は申告漏れの状態となるため、必ず適切な手続きを行うようにしてください。
 

延滞税や過少申告加算税が発生する場合がある

税務署の調査などで相続税に関する指摘を受けた場合、延滞税や過少申告加算税などをペナルティーとして納付しなければなりません。
 

【延滞税】

法定納付期限の翌日から納付日までの日数に応じて発生

・納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:原則として年7.3%
※特例として令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間は年2.4%、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は年2.5%

・納付期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後:原則として年14.6%
※特例として令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間は年8.7%、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は年8.8%

延滞税の税率は、原則と特例の税率が存在し、割合の低い特例が適用すると認識してよいでしょう。
過少申告加算税は、修正申告を行ったのが税務調査の通知後だった場合に発生します。税率は新たに納める税額の10%です。ただし、新たに納める税額が当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超えた場合、超過分に対する税率は15%となります。
 

亡くなった人の現金を見つけたら相続人全員と管理・共有しよう

亡くなった人の家を掃除した際に、現金が見つかるのはよくある話です。大量の小銭が見つかって自分や家族で数えるのが困難な場合は、銀行へ持ち込んで入金や両替といった方法で正確な金額を確認してください。ただし、枚数が一定数を超えると手数料が発生するため、持ち込む際には注意しましょう。
すでに亡くなった人の現金を見つけたら、相続財産として取り扱われます。相続人全員に内容を共有するだけでなく、相続税の申告が終わっている場合は、納税額に変更があるため修正申告を行う必要があります。
納付したタイミングがいつだったのかに加えて税務署の通知後の納税になると、延滞税や過少申告加算税を納付しなければなりません。修正申告について分からない場合は、税務署か専門家にアドバイスを受けるとよいでしょう。
 

出典

デジタル庁 e-Gov 法令検索 民法
国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき
国税庁 No.9205 延滞税について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー