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強いストレスや緊張を感じると、「胃がキリキリと痛む」「つい暴飲暴食してしまう」「お腹をくだしてしまう」という方もいるのではないでしょうか。メンタル不調と密接に関係する<胃腸>について、漢方コンサルタントの櫻井大典さんは「じつは多くの現代人が、知らず知らずのうちに胃腸を冷やし、負担をかけてしまう食事と生活をしている」と指摘していて――。そこで今回は、櫻井さんの著書『胃腸をあたためると心の不調が消える: 心も体も自然と元気になる食事と暮らし』から、心と体が元気になるコツを一部ご紹介します。

【書影】弱ったメンタルを強くするために、胃腸をあたためて元気にする食事と暮らしをご紹介。櫻井大典『胃腸をあたためると心の不調が消える: 心も体も自然と元気になる食事と暮らし』

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エアコンを調節できない場所では冷えからどう身を守る?

胃腸を元気に維持する、ひいては心の元気を維持するためには、冷えが大敵です。

しかし、職場など自分でエアコンの温度調節ができない場所に長時間いなければいけないときは、どうやって冷えから身を守ればいいでしょう。

一番大切なのは、“肌に風が直接当たるのを避ける”ことです。

中医学では、風の邪気(じゃき)(病気の原因となる外敵)を“風邪(ふうじゃ)”といい、これが皮膚や粘膜に付着すると、くしゃみや鼻水、頭痛といった風邪(かぜ)のような症状が出ると考えます。

だから、エアコンの風が運ぶ邪気が皮膚につかないよう、ブランケットやストールなどで素肌を覆い肌を守ることが、第一の対策です。

鼻や口の粘膜も露出を避けたほうがよいので、マスクをするのもおすすめです。

有効な冷え対策

また、かなり寒いと感じる場合は、貼るカイロでお腹と背中をあたためましょう。

お腹にある関元(かんげん)というツボのあたりと、背中の腎兪(じんゆ)というツボのあたりにカイロを貼り、体の表と裏、つまり両側からサンドイッチしてあたためるのがおすすめです。

※関元(かんげん)……おへそからまっすぐ指4本分下にあるツボ。体の元気が集まり、全身をあたためる。
※腎兪(じんゆ)……背中の、ウエストラインの高さの背骨から、左右に指2本分外側にあるツボ。内臓の血液の流れを促し、体全体を元気にする。

また、乾布摩擦(かんぷまさつ)をこまめにするのも冷え対策として有効です。

乾布摩擦といっても洋服を脱ぐ必要はありません。服の上からでいいので、こまめに“手でさする”を繰り返すと、冷え対策になります。

足首を冷やさない服装が、胃腸とメンタルを守ります

無自覚に体を冷やしすぎて、胃腸だけでなく体全体の冷えから、メンタル不調を招いてしまっている人もいます。

胃腸は、冷たい食べ物や飲み物など、体の内側に取り入れるものの影響で冷える可能性が高いのですが、体の外側の服装は全身を冷やす大きな原因になります。


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今、メンタルの不調を自覚しているなら、冷やさない服装も意識してみましょう。

冷やさない服装の第一条件は、薄着をしないこと。さらに、上半身よりも下半身を意識して温かくすることが大切です。

特に見逃されがちなのが足首の露出。せっかくダウンジャケットを着ているのに、足首は露出しているという人が、男女を問わず多く見られます。

「首・手首・足首の“3首”を冷やさないように」という話を聞いたことがあるでしょうか。これは、特に中医学が提唱しているものではありません。

ただ、この3首には太い血管が走っていて、さらに経絡(けいらく)という、気や血(けつ)が流れる通路も走っています。

そのため3首が冷えると、冷たくなった血液などが体を巡ることになり、全身が冷えてしまうというのは事実です。

つまり、“3首”をあたためることが、冷やさない服装の重要なポイント。

上半身をモコモコの厚着にしても、裏起毛のパンツをはいていても、生足や短い靴下で足首が露出していたら、どんどん冷えてしまいます。

靴下の重ねばきも注意

ちなみに、冷え性対策として、靴下を重ねばきしている方も注意が必要です。

重ねばき自体は悪くありませんが、足首を圧迫して血流が悪くなるとさらに冷えを招きます。ぎちぎちにきつくなっていないか確認しましょう。

そもそも重ねばきをしなければならないほど常に冷えているのなら、専門家に相談してもいいでしょう。

自分でできることとしては、体をあたためて血の巡りを促してくれる、にら、玉ねぎ、鮭などを摂るようにしてください。

※本稿は、『胃腸をあたためると心の不調が消える: 心も体も自然と元気になる食事と暮らし』(Gakken)の一部を再編集したものです。