東京、住宅街の「うまい町寿司」ベスト5店…コスパ良し《ソロ活・一見さん》でも大丈夫、覆面調査隊が発掘
全店実食で歩き日本中の「おいしい」をお届けしている『おとなの週末』編集部の覆面調査隊。今回やってきたのは、住宅街&郊外の町の寿司屋。えっ!こんな場所で…まさかのネタにありつけるとはと思うほどの美味店、”忖度なし”のベストをまとめました。
■世田谷代田「鮨処 まる」
駅から決して近くない。だからこそ「落ち着いた空間で丁寧に接したい」と大将の柴木さん。脱サラで寿司職人になった遅咲きだとご本人は笑うが、その道35年の腕は確かだ。
魚は川崎の市場で仕入れる天然物、シャリは握りに合うと惚れ込んだ魚沼産コシヒカリで、選び抜いた美濃の赤酢を加えてコクを出す。おまかせは客のペースに合わせてつまみを見繕ってくれるのだが、これまた手間暇かけた料理の数々にこちらが心配になるほどの良心価格。
とはいえ「喜んでくれればいい」とどこ吹く風。「寿司を楽しむのにこれは邪道ということはない」と話す大将と優しき女将の深い懐に、客は思いのまま身をゆだねるべし。
■青物横丁「寿司 しながわ 葵」
店主の林さんは実家が寿司屋で父の背中を見て育った。有名ホテルなどで経験を積み、3年前に念願の地元で独立。端正な握りは「奇をてらわず基本を大事に」の姿勢を貫き、手を掛け過ぎないネタと毎年新米の出来具合で配合を変えるシャリとのバランスが絶妙だ。
メニューは握りとコースのみで、特にこだわるネタはマグロ。天然生を1〜2週間寝かせ、色の美しさを保ちつつ旨みが凝縮したものを使うという。料理は和食の板前が作る旬の味。吉野檜のカウンターで、じっくりと味わいたい。
■狛江「蛇の目寿司」
「気さくに手軽に食べていただけるように」父の代から変えてないというセットものの価格も地元狛江価格。とはいえ、銀座で修業した店主の握る寿司は、実に端正で美しい。酢を利かせたおぼろに1日漬け込んだエビや角の取れた煮切り醤油を見ればわかるようにきっちり仕事がされている。
正直、お値打ち。惚れ惚れするような刺し盛りを見てもそれはわかるはず。こういうお店を隠れ家というのだろう。しかも国産にこだわって生きた状態で仕入れるうなぎの蒲焼や、ある時はスッポンもリーズナブルに味わえる。ごまかしのない旨さを楽しみたい。
■板橋「鮨彦」
ご主人いわく「リーズナブルな値段で、その日の美味しい魚で癒されてもらいたい」。そのために毎日築地に足を運び、自分の目で確かめるのはもちろん、カツオは自分でおろし、ウニも必ず試食してダメなら買わない。
仕入先との長年の付き合いのなせる技だが、それゆえイキのいい魚はどれも勢いがあって旨し。こだわりの天然ミナミマグロもぜひおすすめしたい。なんとも甘い脂が口の中でとろけ、小ぶりにキュッと握られたシャリがほろっとほどける旨さは格別だ。季節季節、仕事がされた自家製の一品料理もまたいい。明るいご主人との会話も楽しく、長年通う客が多いというのも頷ける。
『おとなの週末』2017年11月号より(本内容は発売当時のものです)
…つづく「東京のうまい 「最強の町寿司」 ベスト7軒…高コスパ、一貫 《110円》 からで一見さん、ソロ活でも大丈夫「覆面調査隊が実食」」では、庶民価格の美味しい町の寿司店を紹介します。