ランチを楽しむ女性客 ※写真はイメージ(Trickster*/stock.adobe.com)

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 とある飲食店の店主が、店の味をネットで批判されたことに傷つき、メニューの提供を中止してしまったーーこんな投稿がこの夏、SNS上で注目されました。ネットユーザーらの反応は、「わざわざマイナスな感想を書き込む労力が…」「二度と行かないだけでいいのに」「理不尽なクチコミ嫌い」など。そんな中、「まずい」や「接客態度が悪い」など、ネガティブな投稿を禁止しているグルメサイトがあります。

【写真】Rettyの投稿ガイドライン 「オススメ」「ポジティブ」の単語が並ぶ

実名&ポジティブな情報に限定

 実名型のグルメ情報・予約サイト「Retty(レッティ)」。2010年にサービスを開始して以来、大切にしているのは「『みんなの感動が集まっている』という世界観」。さらにはクチコミの信頼性を上げるために、感想は実名によるポジティブな内容だけに限定しています。

 「ユーザーの皆さまがそれぞれの『オススメのお店』を投稿する場であることで、多様な趣味嗜好を持つ誰もがBESTなお店を見つけることができるサービスを目指しています。そのため、とくにポジティブな投稿を大切にしています」(同サイトから引用)

 ポジティブな情報に限定して展開する理由は。同社担当者に聞きました。

──ポジティブな意見に絞った一番の理由は。

 「Rettyが目指すのは、新たな食体験で人生がもっとHappyになることです。『オススメ』というポジティブな情報を知っている方が、食事の時間は楽しくなります。だからRettyはオススメの口コミが集まる場所として運営しています」

──運用する上でメリットは。

 「ユーザーさん同士がポジティブな情報でつながるので、コメントのやり取りやオフ会などコミュニケーションが活発で、いいコミュニティができていると感じます。お店が誹謗中傷を受けづらいため、安心してRettyを使っていただくことができています」

──ネガティブな感想を排除したら、店の本当の姿が伝わらなくなるという恐れはないか。

 「クチコミにあったネガティブな体験が他の方にとってもそうだとは限りません。状況や人によってさまざまな捉え方ができるでしょう。そのため、もし自分にとって合わないなと感じたり、嫌な思いをしたときには、クチコミを投稿しないことを推奨しています。

──マイナスなクチコミが飲食店にダメージを与えることがあるが、どう考える?

 「たった一つのネガティブな意見がお店の方を追い詰めてしまいかねません。誹謗中傷や暴言はもちろん、たとえ事実のネガティブな批評であっても、個人がそれを制裁し、その一度の問題がお店を追い込む理由にはならないと考えます」

──飲食店のクチコミを書くすべての人、クチコミ情報を利用する人に向け、伝えたいことは。

 「現在、お店探しの手段は多様化し、グルメサイトやSNSなどさまざまな媒体を複数に渡って見ながらお店を決めている方がたくさんいらっしゃると思います。さらに、失敗したくないという気持ちから、ネガティブなクチコミも集めて慎重にお店を決めるという方もいらっしゃるかもしれません。ただ、ネガティブなクチコミを読むことはいい気分ではないですし、お店探しに時間がかかりすぎて楽しい外食を面倒に感じてしまうのは悲しいことです。だから、私たちはオススメ=ポジティブな情報主体でお店をすばやく決めきることができる体験に価値があると考えています。せっかくの外食をお店探しの段階から楽しんでいただけるようにしたいです」

(まいどなニュース・金井 かおる)