無料で使えるプログラミング学習サービス「Exercism」の創設者兼CEOであるジェレミー・ウォーカー氏が、毎日1200人以上の新規ユーザーが登録してユーザー数200万人を達成したにもかかわらず、Exercismの運営を継続するための資金が不足していると公式ブログで明らかにしました。

2M users but no money in the bank. Tough times 😔

https://exercism.org/blog/september-2024-restructure



ウォーカー氏によれば、Exercismには毎日1200人以上が新規ユーザー登録し、数万人が日々課題に取り組んでいるとのこと。しかし、銀行口座は従業員の給料をもう支払う余裕がないほど減ってしまっているとのこと。

ウォーカー氏は多くの資金提供者や企業と交渉したそうですが、Exercismが特定の狭い層ではなく広範なユーザーにサービスを提供していることが、多くの資金提供者の目的と合致せず、支援を得られなかったそうです。

記事作成時点で、Exercismは約800人の月間寄付者から毎月約7500ドル(約100万円)の寄付を受けているそうで、これらは12個のECSインスタンスで構成される月額1000ドル(約14万5000円)のサーバー費用や、月額2000ドル(約29万円)のデータベースコスト、ファイルシステムやキャッシュサーバーなどにかかる費用に使われているとのこと。



収入源として唯一成功しているのが、サイト上の広告から得られる収入です。ウォーカー氏は、広告収入には可能性があるものの、広告主の獲得と管理の労力、そしてExercismに過度な広告を掲載したくないという思いから、持続可能な戦略とは考えていないと語ります。そのため、ウォーカー氏は非営利ビジネスモデルがExercismの可能性を実現する方法として機能しないと考えるようになりました。

さらに、この状況下で主要メンバーが給与支払いの都合上、退職することとなりました。ただし、退職するメンバーはExercismのファンであることから、ボランティアとしてシニアメンテナとして引き続き関わる予定だとのこと。



また、ウォーカー氏はプロジェクトの継続的な運営のためにリポジトリの管理体制を再構築し、リポジトリとGitHubの管理チームを再編成したことを明らかにしました。加えて、2025年に新たな教育プロダクトを立ち上げ、その収益でExercismを支援する計画を立てているとのこと。また、Exercism Teamsの基本版をリリースすることで追加の収益を得ることも検討中であるとウォーカー氏は語りました。

ウォーカー氏はソーシャルニュースサイトのHackerNewsで、「唯一の本当のエンドユーザーモデルは、Exercismの利用を前払い制の有料サービスにすることですが、これは明らかに私たちの使命に反し、人々が貢献してきたコミットメントを尊重していません。Exercismは過去18カ月間、経済的には成功していませんでしたが、数十万人の人々の助けになることでその使命の中核部分を果たしました。私たちの目的は人々にプログラミング言語を学んでもらい、その後は自分の生活を続けてもらうことです。積極的に人々を収益化しようとしているわけではありません」とコメントしました。



ウォーカー氏は「私たちは実際にはプログラミング業界の一部ではありません。10年にわたって、人々はExercismで新しいプログラミング言語を学習してきました。私たちは意図的に、競争の場や採用の場にはなりたくありませんでした。私たちは常に、人々が本来持つ動機に基づいて学習できるように支援することに重点を置いてきました」と語っています。