Googleの広告事業に対するアメリカ司法省の独占禁止法訴訟が2024年9月9日から開始予定
アメリカ司法省はGoogleを独占禁止法違反で訴えており、2024年8月5日に裁判所は「Googleの行為は一般検索サービス及び一般検索テキスト広告の独占にあたる」としてGoogleの独占禁止法違反を認めています。続いて2024年9月9日からは「Googleが広告技術の市場を違法に独占している」という点を争う裁判が開始される予定です。
Google second antitrust trial advertising model
Google and DOJ return for round two of their antitrust fight - this time about ads - The Verge
https://www.theverge.com/24236989/google-doj-ad-tech-antitrust-trial-preview
CMA objects to Google’s ad tech practices in bid to help UK advertisers and publishers - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/news/cma-objects-to-googles-ad-tech-practices-in-bid-to-help-uk-advertisers-and-publishers
British competition regulator objects to Google's ad tech practices
https://www.cnbc.com/2024/09/06/british-competition-regulator-objects-to-googles-ad-tech-practices.html
アメリカ司法省は「Googleがエコシステム全体でアドテクツールの市場を違法に独占している」と主張しています。これには、ウェブサイト上のスペースを購入するための広告ネットワークの需要側と広告在庫を売り出すためのパブリッシャー広告サーバーのような供給側の間に位置するデジタルマーケットプレイスのAd Exchangeが含まれます。
アメリカ司法省によると、GoogleはAd Exchangeを違法に運営し、競合他社による公正な競争を阻害しているとのこと。また「15年以上にわたってデジタル広告取引を管理し、課税するキャンペーンを実施しています」「Googleが市場のあらゆる側面を支配すると、広告オークションを操作して自社の優位性を高めたり、ツールへのアクセスに不公平な条件を課したりするなど、排他的な行動を行う可能性があります」と主張しました。
一方でGoogleは「Ad Exchangeはパブリッシャーや広告主に利益をもたらす効率的かつ価値あるツールにもかかわらず、政府はGoogleを罰しようとしている」「政府の市場に対する見方は現実を反映しておらず、政府が直面している激しい競争や、自社のツールを顧客にとって魅力的なものにするために生み出されたイノベーションを無視しています」と批判しています。
司法省とGoogleによる裁判は現地時間2024年9月9日から開始される予定で、結審までに数週間を要するとみられています。裁判では広告業界と出版業界から数々の人物が証言する予定で、YouTubeのニール・モハンCEOのほか、The Trade Deskの最高収益責任者であるジェド・デデリック氏、BuzzFeedのケン・ブロムCEOなどが証人候補として挙げられています。
裁判では「Googleが広告技術の市場を違法に独占しているかどうか」が争点となり、海外メディアのCNBCによると、司法省が勝利した場合Googleには広告主から金銭的報酬を求める訴訟が殺到する可能性があるとのこと。調査会社・Bernsteinのアナリストは「Googleが敗訴した場合一連の訴訟でGoogleが支払う額は最大1000億ドル(約14兆円)に達する可能性があります」と伝えました。
Googleを巡っては、2024年9月6日にイギリスの競争・市場庁(CMA)が「オンラインディスプレイ広告での優位性を利用して自社の広告技術サービスが有利になるよう働きかけ、競争に害を及ぼしました」と主張しています。CMAによると、イギリス国内の数千ものパブリッシャーと広告主の大多数は、2019年時点で年間18億ポンド(約3370億円)を広告に費やしており、広告を表示するためのスペースを入札および販売するためにGoogleのテクノロジーを使用しているとのこと。
CMAは「Googleの行動は広告テクノロジー市場における競合他社にとって不利なものであり、公平な市場での競争に悪影響を及ぼしています」と批判しました。CMAの執行担当暫定事務局長のジュリエット・エンサー氏は『多くの企業は、オンライン広告を利用して収益を上げることで、デジタルコンテンツを無料または安価に保つことができます。これらのウェブサイトやアプリの広告は、イギリス全土の何百万人ものユーザーに届き、商品やサービスの売買のサポートになっています。だからこそ、パブリッシャーや広告主が、デジタル広告スペースの売買において効果的な競争を行うことや、公正な取引を実施することが非常に重要なのです」と語りました。
Google Adsでバイスプレジデントを務めるダン・タイラー氏は「当社の広告テクノロジーツールは、ウェブサイトやアプリが適切な利益を得られることに役立ち、あらゆる規模の企業が新しいユーザーに効果的にリーチできるようになっています。Googleはこの競争が激しい業界において、パブリッシャーと広告主といったパートナーのために適切な価値を創造することに取り組んでいます。今回のCMAによる指摘は、欠陥のある解釈が原因です」と批判しました。