Lenovoのグローバルイベントで日本発「ThinkPad」シリーズが大躍進。Copilot+ PCの先陣を切る存在に
ドイツ・ベルリンで9月6日から開催されている国際展示会「IFA 2024」にあわせて、Lenovoが独自イベント「Lenovo Innovation World'24」を開催しました。“Smarter AI for you”と銘打たれていた通り、最新プロセッサを搭載したCopilot+ PCの投入が発表されています。今回マイナビニュースも招待を受けたので、ベルリンでの現地取材に参加してきました。
忙しい方向けにまとめておくと、この手のグローバルイベントとしてはややひさびさに「ThinkPad」シリーズが大躍進。Intel Core Ultraシリーズ2(Lunar Lake)、Ryzen AI 300 HX、Snapdragon X Plus(8コア仕様)の搭載モデルが発表され、MicrosoftによるCopilot+ PC対応Windows Updateも予告されています。
Lenovoのグローバルイベントで日本発「ThinkPad」シリーズが大躍進。Copilot+ PCの先陣を切る存在に
取材協力:Lenovo、レノボ・ジャパン
○主要モデルを最新プロセッサ導入で刷新、ThinkPad X1 Caronの姿も
発表会はドイツのイベント会場「Kraftwerk Berlin」で各社のエグゼクティブを迎えて開催されました。発表された新モデルの詳細はニュース記事に譲りますが、グローバル側で開発されている「Yoga」「IdeaPad」シリーズに加えて、日本の横浜で開発されている「ThinkPad」シリーズがお披露目された点が大きなトピック。ビジネス環境におけるCopilot+ PCの利活用を進めていく姿勢を強調し、ThinkPadブランドでの展開を行っていくと表明されました。
会場の様子。ウルトラワイド・湾曲仕様で大光量のスクリーンでした
ちなみに突如PC業界に「AI PC」の潮流が押し寄せた当時、Yogaシリーズ等での展開はかなり大規模に行われていた一方、国内開発のThinkPadシリーズは微妙に及び腰でした。法人用途における実務利用で需要が大きくなるかを見極めていきたい……という慎重な姿勢が国内拠点で見られていましたが、今回ついにThinkPadシリーズでの法人向けCopilot+ PCの展開が大々的に行われていくことになった、という形です。
発表会ではフラッグシップモデル、大トリとして「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editon」が登場。Intel Core Ultraシリーズ2(Lunar Lake)搭載モデルとしてIntelとのパートナーシップが強調され、製品名に「Aura Edition」と付されている点が要注目です。
ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition
Aura Edition imagined with Intel
Aura Edition独自機能として、ユーザーの使い方にあわせた「Smart Mode」機能を搭載している点が主な特徴です。背後からの盗み見を検出するなどしてセキュリティを高める「Shield」や、余計な通知を排除して集中力を高める「Attention」、ビデオ会議などのコラボレーションをより円滑に行う「Collaboration」、健全なPC利用に努められる「Wellness」が存在する模様。用途に応じた電力消費モードを設定し、性能とバッテリーライフの最適化も行えます。
ユーザーのシナリオにあわせた「Smart Mode」機能を搭載しています
実機のGUI。簡素でモダンな印象
このほか、AMD Ryzen AI 300 HX搭載モデルやQualcomm SnapDragon X Plus(8コア)搭載製品も発表済み。Snapdragon X Plusの8コアモデルは従来10コアモデルのみだったラインナップを拡張するもので、コスト面での導入ハードルを下げる狙いがあるとのこと。Microsoftは登壇してLenovoとのパートナーシップ継続に謝辞を述べ、Copilot+ PCをより推進していきたい構えを表明しています。
そのほか、発表されたPC新製品。IdeaPad Slim 5 13 / 15
ThinkPad T14s Gen 6
ThinkBook 16 Gen 7+ / Yoga Pro 7。いずれもRyzen搭載の最新モデル
加えて、Qualcomm Snapdragon X Plus搭載のThinkBook 16 Gen 7や……
IdeaPad Slim 5x 14",9 / IdeaPad 5x 2-in-1 14",9が発表。8コアSnapdragon搭載で価格の競争力を高めます
やや変化球気味の登壇者として、発表会にはStability AIからCOOのShan Shan Wong氏が参加していました。言わずと知れたText to imageツールである「Stable Diffusion」の開発元である同社は、今回このStable DiffusionをLenovoの対応モデルに内蔵することを発表しました。薄型軽量ノートPCのローカル環境上で画像生成がより簡単に行えるとしており、会場では実際にAIコアが動作してプロンプトを画像に起こしていく様子を眺めることができました。なお、日本での導入がいつになるかは今のところ未定です。
Stability AI COO Shan Shan Wong氏
導入の手間を完全に省き、手元で動く画像生成AIをプリインストール
富士山の画像を生成した様子。NPUが動作しているところも確認できました
このほか、PoC(Proof of Concept、概念実証)モデルとして「Lenovo Auto Twist AI PC」も発表されています。一般的なノートPCとは異なり、ヒンジが画面中央にしか存在しません。強力なモーターが内蔵されているようで、自律して開いたり閉じたり、回転することが可能。ユーザーの位置をカメラで検出して自動で向きを変えたり、音声を検知してぱかりと開く様子がお披露目されました。かなり閉じかけ……のような負荷の大きそうな向きでもスムーズに動くことがアピールされています。
Lenovo Auto Twist AI PC。ハード方面の挑戦にも事欠かないLenovo
バレエの映像を流しつつ、優雅にディスプレイが動く様子を眺められました
今回Lenovoのベルリン取材を経て、日本国内発のThinkPadがグローバルで存在感を発揮していた点がとても目新しかったです。国内ではもちろん大きな支持を集めている製品シリーズですが、グローバルでの展開においてはYogaシリーズより控えめなのかな、という印象だったThinkPad。特にMeteor Lake搭載モデルの発表が国内でひっそり行われるにとどまっていたこともあり、グローバルで大きく盛り上がるAI PCブームとはやや対照的に感じていました。
しかし一転してLunar Lake搭載モデルでは大攻勢に。プロセッサに統合する推論性能がMicrosoft提唱のCopilot+ PCに初めて準拠する世代で、Intelとの強力なパートナーシップではAura Editionなる銘も与えられました。堅牢で信頼できるハードウェアに強力なプロセッサを搭載し、ローカル環境における高い推論性能を実現したThinkPad X1 Carbon Gen 13。法人用途へのCopilot+ PC浸透に一役買ってくれるのではと感じました。
発表会の会場には参加者の“オーラ”を計測し、プリントして持ち帰れるブースも
Lenovoのグローバルイベントで日本発「ThinkPad」シリーズが大躍進。Copilot+ PCの先陣を切る存在に
取材協力:Lenovo、レノボ・ジャパン
○主要モデルを最新プロセッサ導入で刷新、ThinkPad X1 Caronの姿も
発表会はドイツのイベント会場「Kraftwerk Berlin」で各社のエグゼクティブを迎えて開催されました。発表された新モデルの詳細はニュース記事に譲りますが、グローバル側で開発されている「Yoga」「IdeaPad」シリーズに加えて、日本の横浜で開発されている「ThinkPad」シリーズがお披露目された点が大きなトピック。ビジネス環境におけるCopilot+ PCの利活用を進めていく姿勢を強調し、ThinkPadブランドでの展開を行っていくと表明されました。
会場の様子。ウルトラワイド・湾曲仕様で大光量のスクリーンでした
ちなみに突如PC業界に「AI PC」の潮流が押し寄せた当時、Yogaシリーズ等での展開はかなり大規模に行われていた一方、国内開発のThinkPadシリーズは微妙に及び腰でした。法人用途における実務利用で需要が大きくなるかを見極めていきたい……という慎重な姿勢が国内拠点で見られていましたが、今回ついにThinkPadシリーズでの法人向けCopilot+ PCの展開が大々的に行われていくことになった、という形です。
発表会ではフラッグシップモデル、大トリとして「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editon」が登場。Intel Core Ultraシリーズ2(Lunar Lake)搭載モデルとしてIntelとのパートナーシップが強調され、製品名に「Aura Edition」と付されている点が要注目です。
ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition
Aura Edition imagined with Intel
Aura Edition独自機能として、ユーザーの使い方にあわせた「Smart Mode」機能を搭載している点が主な特徴です。背後からの盗み見を検出するなどしてセキュリティを高める「Shield」や、余計な通知を排除して集中力を高める「Attention」、ビデオ会議などのコラボレーションをより円滑に行う「Collaboration」、健全なPC利用に努められる「Wellness」が存在する模様。用途に応じた電力消費モードを設定し、性能とバッテリーライフの最適化も行えます。
ユーザーのシナリオにあわせた「Smart Mode」機能を搭載しています
実機のGUI。簡素でモダンな印象
このほか、AMD Ryzen AI 300 HX搭載モデルやQualcomm SnapDragon X Plus(8コア)搭載製品も発表済み。Snapdragon X Plusの8コアモデルは従来10コアモデルのみだったラインナップを拡張するもので、コスト面での導入ハードルを下げる狙いがあるとのこと。Microsoftは登壇してLenovoとのパートナーシップ継続に謝辞を述べ、Copilot+ PCをより推進していきたい構えを表明しています。
そのほか、発表されたPC新製品。IdeaPad Slim 5 13 / 15
ThinkPad T14s Gen 6
ThinkBook 16 Gen 7+ / Yoga Pro 7。いずれもRyzen搭載の最新モデル
加えて、Qualcomm Snapdragon X Plus搭載のThinkBook 16 Gen 7や……
IdeaPad Slim 5x 14",9 / IdeaPad 5x 2-in-1 14",9が発表。8コアSnapdragon搭載で価格の競争力を高めます
やや変化球気味の登壇者として、発表会にはStability AIからCOOのShan Shan Wong氏が参加していました。言わずと知れたText to imageツールである「Stable Diffusion」の開発元である同社は、今回このStable DiffusionをLenovoの対応モデルに内蔵することを発表しました。薄型軽量ノートPCのローカル環境上で画像生成がより簡単に行えるとしており、会場では実際にAIコアが動作してプロンプトを画像に起こしていく様子を眺めることができました。なお、日本での導入がいつになるかは今のところ未定です。
Stability AI COO Shan Shan Wong氏
導入の手間を完全に省き、手元で動く画像生成AIをプリインストール
富士山の画像を生成した様子。NPUが動作しているところも確認できました
このほか、PoC(Proof of Concept、概念実証)モデルとして「Lenovo Auto Twist AI PC」も発表されています。一般的なノートPCとは異なり、ヒンジが画面中央にしか存在しません。強力なモーターが内蔵されているようで、自律して開いたり閉じたり、回転することが可能。ユーザーの位置をカメラで検出して自動で向きを変えたり、音声を検知してぱかりと開く様子がお披露目されました。かなり閉じかけ……のような負荷の大きそうな向きでもスムーズに動くことがアピールされています。
Lenovo Auto Twist AI PC。ハード方面の挑戦にも事欠かないLenovo
バレエの映像を流しつつ、優雅にディスプレイが動く様子を眺められました
今回Lenovoのベルリン取材を経て、日本国内発のThinkPadがグローバルで存在感を発揮していた点がとても目新しかったです。国内ではもちろん大きな支持を集めている製品シリーズですが、グローバルでの展開においてはYogaシリーズより控えめなのかな、という印象だったThinkPad。特にMeteor Lake搭載モデルの発表が国内でひっそり行われるにとどまっていたこともあり、グローバルで大きく盛り上がるAI PCブームとはやや対照的に感じていました。
しかし一転してLunar Lake搭載モデルでは大攻勢に。プロセッサに統合する推論性能がMicrosoft提唱のCopilot+ PCに初めて準拠する世代で、Intelとの強力なパートナーシップではAura Editionなる銘も与えられました。堅牢で信頼できるハードウェアに強力なプロセッサを搭載し、ローカル環境における高い推論性能を実現したThinkPad X1 Carbon Gen 13。法人用途へのCopilot+ PC浸透に一役買ってくれるのではと感じました。
発表会の会場には参加者の“オーラ”を計測し、プリントして持ち帰れるブースも