2シャドーで先発が有力視される鎌田。得点など目に見える結果に意欲を示す。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 9月5日に行なわれた2026年北中米ワールドカップ・アジア最終予選初戦の中国戦で7−0という華々しい白星発進を見せ、10日の第2戦の地・バーレーンに向かった日本代表。到着初日の6日は室内調整にとどめたが、7日は18時から現地初の全体練習を実施。27人全員が参加し、冒頭15分以外を非公開にして、入念な戦術確認を行なった模様だ。

 現地は日中の最高気温が40度近くで、夕方でも気温35度超。この日の練習場は風が吹いて少し涼しく感じられたが、試合会場のバーレーン・ナショナルスタジアムがどのような環境かは未知数だ。

 オランダでプレーする上田綺世(フェイエノールト)が「動かなくても暑い」と苦笑したように、すでに秋めいている欧州からやってきた面々にしてみれば、過酷な気象条件になるのは間違いないだろう。

 それを踏まえ、森保一監督も前回の試合に長時間出た選手の多くを入れ替えると見られる。となれば、攻撃陣ではフル出場した南野拓実(モナコ)と久保建英(レアル・ソシエダ)はスタメンを外れる可能性が大。3バック継続が有力視されるなか、2シャドーの組み合わせは確実に変化することになる。

 2人以外のメンバーでこのポジションに入る可能性が高いのが、鎌田大地(クリスタル・パレス)。目下、新天地でも右シャドーを主戦場にしているからだ。
 
「(所属クラブでは)僕自身はもう少しボランチ気味でプレーするのかなと考えていたし、そう話してたんですけど、今は右のシャドーをやらせてもらってます。右は1対1で仕掛けたりっていうのがなかなか難しい。右のウイング(ウイングバック)の選手とコンビネーションをもっと良くしていかないとダメだなと思います」と、本人には戸惑いもあるようだが、代表では周りに誰がいてもある程度、特徴を把握している分、やりやすいはずだ。

「次、大地(がシャドー)なんだったら、よりワイドに広がっていくようなプレーだったり、10番っぽく振る舞ったり、彼もすごいセンスでプレーするんで、それを邪魔しないようにうまく活かしながらってのは考えてます」と守田英正(スポルティング)も言うように、ボランチ陣も特徴を最大限に引き出そうと仕向けてくれるはずだ。

 そこで気になるのが、誰と組むか。前述の通り、南野と久保がベンチスタート濃厚と見られるなか、1つの選択肢は堂安律(フライブルク)ではないか。今季のクラブでは4−2−3−1の右MFを主に担っている堂安だが、中も外もできるマルチな能力に磨きがかかっている印象だ。

 鎌田とのシャドーであれば、堂安がよりFWに近い位置でプレーし、鎌田がお膳立てに回る形が多くなりそう。中国戦で三笘薫(ブライトン)の2点目をアシストしたものの、自身の得点がなかった背番号10にしてみれば、よりゴールに近いポジションはやりがいがあるはず。彼らしい柔軟性と臨機応変さを出しつつ、鎌田の得点機を演出するような幅広い仕事も手掛けてくれれば理想的だ。

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 堂安以外だと、前回出番のなかった浅野拓磨(マジョルカ)も森保監督から強い信頼を寄せられるピース。彼もまた新天地では4−2−3−1の右MFがメインだが、ボーフム時代に2列目の中央寄りのポジションを託されていたことがあり、戸惑いはないだろう。

 ただ、相手も人数をかけて守ってくるだろうから、浅野が背後に飛び出せるスペースは容易に見出せない。それを鎌田ら周囲との関係性の中でいかにして作って行くのかが課題になる。公式戦ということで、なかなかリスクは冒しづらいが、浅野がこの位置で機能するかどうかはぜひ確認しておきたい。

 ウイングバックやサイドハーフに入ることの多い伊東純也、中村敬斗(ともにスタッド・ドゥ・ランス)もシャドーに入ることは可能。ただ、7日の練習後のメディア対応の話を聞く限りだと、今回はその選択肢はなさそうだ。

 前回はベンチ外だった旗手怜央(セルティック)もボランチ要員と位置づけられている模様で、堂安、浅野以外だと、前回はスタメンの南野と久保ということになる。2人もコンディションは悪くないし、ともにゴールを挙げていて勢いもある。
 
 中4日という試合間隔を踏まえると、強行出場というのもないとは言えない。そのあたりは森保監督の判断になるが、いずれにしても次戦の軸は鎌田というのは間違いないだろう。

「目に見えるような結果を前の選手は求められている。自分も何かいろいろできたらいいなと思います」と、本人も中国戦前に多彩なプレーで得点・アシストを記録したいという思いを口にした。

 オーストラリアを敵地で撃破したバーレーンという難敵に対し、彼の技術・アイデア・駆け引きを駆使して、新たな2シャドーの連係を確立させていければ、日本の快進撃は続くはず。2列目アタッカー陣には、中国戦で生まれた迫力、躍動感と連動性をより一層、加速させてほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)