8月30日、Conton Candyが初の対バン企画「Conton Candy pre. “CHAOS!!!” Vol.1」を東京・渋谷のSpotify O-Crestで開催した。対バン相手にThis is LASTを迎えた一夜、Conton Candyはライブハウスとそこに集った人々への愛を爆発させながら、エモーショナルなライブを繰り広げた。

◆ライブ写真

This is LASTがさすがの熱演を繰り広げた後、ハナレグミ「音タイム」をSEに登場した紬衣(Vo, G)、楓華(B, Cho)、彩楓(Dr, Cho)の3人。紬衣が「ここから始まる」という言葉とともにギターをかき鳴らし、歌い始めた1曲目は「好きなものは手のひらの中」だった。バンドを象徴する1曲から始めるといういつもとは少し違うセットリストに、このイベントに託す彼女たちの思いが透けて見えるようだ。そしてその想いに応えるように、フロアでも大きなシンガロングが巻き起こり、O-Crestはいきなりクライマックスのような熱狂に包まれていった。


さらに「baby blue eyes」に「プードル」と楽曲を力強く畳み掛けていくConton Candy。彩楓の歌うようなドラミングに、フロアを見渡しながら楽しそうにベースを弾く楓華。その上で伸びやかに広がる紬衣の歌は、どこか危うさも感じさせながら、自らその危うさを振り切るように突き抜けていく。とても明るくてパワフルなのに、同時に切迫感を感じさせるような彼女の声はいったいなんなのだろう。メンバーはもちろん、オーディエンスの手拍子や声までもがひとつになってその声を盛り立て、支え、後押ししていく。まだまだ序盤だが、O-Crestには最高の一体感が生まれている。


3曲終えて「足元がとんでもなく悪い中お越しいただいて、スーパーかっこいいみなさま、ありがとうございます!」と紬衣。彩楓も初めての対バン企画に集まってくれたことに感謝を告げ、「個人的に(This is LASTの)“#情とは”を聴けてめっちゃ嬉しかった」と笑顔を見せた。そして「This is LAST先輩がこのフロアをピークくらい盛り上げてくださったので、私たちはそれを超える勢いでやっていきます!」という頼もしい宣言を届けると、「リップシンク」からライブは再開。アッパーなダンスビートが手拍子とジャンプを誘い、さらにフロアはボルテージを高めていった。

新曲「花びらと生活音」を経て「久しぶりの曲を」と紬衣。そうして歌い始めたのは2021年の1st EP『PURE』に収録された「milk」だった。目を閉じて語りかけるように歌う紬衣のボーカルに柔らかなコーラスが重なる。それまでのアッパーなノリとは違う、心の中を掘り返すような歌声にじっと聴き入るオーディエンス。歌い終えた紬衣が「どうもありがとう」と告げると、優しい拍手が起きる。さらにそんな「milk」の後、紬衣はギターを爪弾きながら言葉を紡ぐ。「思えば、あのときにもらったいろいろな思いも、私は全部好き勝手に歌にできているなと思います。どうしようもなかった、どうすればいいかわからなかったあのときの自分が、この曲でどうか、少しでも前を向けるように」。過去の自分に向けて、そしておそらくはあのときの自分と同じような気持ちを抱くすべての人に向けて歌われるのは「もっと」。「辛いのは自分だけじゃないよ!」。歌の合間に口をつくようにして出た言葉がフロアを優しく包み込んだ。


音やメロディだけでなく心と心でつながるような濃密な時間を経て、ここからライブはさらに高らかに飛び上がっていく。〈ファジーネーブルの匂いで/私どこかに行けそう〉と一節歌った紬衣が「Crest、いける?」とフロアに尋ねる。もちろんオーディエンスは準備万端、「ファジーネーブル」がバンドとみんなのつながりを証明するように鳴り響く。最後のサビを前に「頼んだ!」とフロアに歌を任せる紬衣。その声に応えるように、大きなシンガロングが巻き起こったのだった。

しかし歌っていたのはオーディエンスだけではなかった。曲が終わると彩楓が「つむ(紬衣)が歌っているところを歌いすぎたら声嗄れそうになってきた」と告白。その声は紬衣の耳にも届いていたようで、「ツインボーカルみたいにみんなに聴こえちゃうんじゃないかとヒヤヒヤした」と笑う。声は聞こえてこなかったが、歌っているのは見えていた。というか、Conton Candyの音を聴いていると、3人が3人、全員歌っているように思えることがある。ベースもドラムもメロディに寄り添い、歌詞に寄り添い、音を鳴らしているのが伝わってくる。それがConton Candyというバンドのありかたなのだろうし、だからこそこのバンドのライブはこんなにも親密な空気を生み出すことができるのだろう。


「春、夏といろいろなイベントやフェスに出させていただく機会が増えて。確認してみたら、最後にライブハウスに立ったのが、東京では自分たちのツアーの渋谷クラブクアトロでした」。久々のライブハウスに紬衣は「やっぱり私はこういう場所が好きだなあ」としみじみ口にする。ライブハウス以外でのライブが増えたというのはバンドに対する注目が高まり続けていることの表れでもあるが、ライブハウスならではのこの空気感こそ、確かにConton Candyの魅力を最大限に引き出すものであるとも思う。「アーティストと距離が離れていても、ひとりぼっちの場所がないのがライブハウスだと思っています。そういう場所に迎え入れてくれる場を作ってくれてありがとうございます」。大事な大事なライブハウスという場所で大好きなバンドとともにステージに立つ。この“CHAOS!!!”というイベントは、彼女たちにとってバンドをしていく上でいちばん大切なものを守り続けるためのものなのかもしれない。

そしてライブはクライマックスに向かって怒涛の勢いで進んでいった。「執着」からの「ロングスカートは靡いて」では「歌える?」と紬衣が聞くまでもなくオーディエンスみんなで大合唱。そして楓華のベースリフと紬衣のギターリフが絡み合うように展開する「エンジェルスモーク」で畳み掛けると、ラストはConton Candy随一のライブチューン「102号室」。実はこの日のラスト4曲は、台風の影響もあって会場に来れなかった人のためにインスタライブで配信していた。「ライブハウスが最高だってこと、画面の奥で観ている人たちに伝えちゃいなよ!」という紬衣の声に、フロアは最後の最後でますます熱狂の度合いを増していき、最高のムードと熱気で本編を終えた。


その後アンコールでは10月9日にファーストフルアルバム『melt pop』をリリースすることを発表すると、そこからの新曲「急行券とリズム」を初披露。春からずっとアルバムの制作を進めていて、ようやく発表できたと安堵の表情を見せるConton Candy。最高のサプライズに涙するオーディエンスもいた。アルバムへの期待を高めると、いよいよラスト1曲へ。紬衣はこれからやる曲について「ライブハウスに、みんなに育ててもらった曲だと思ってる」と語った。「アルバムの1曲1曲が、この曲と同じようにライブハウスとみんなに大きく育てていってもらえるように」という願いとともに届けられたのは、この日1曲目にも演奏された「好きなものは手のひらの中」だった。ライブハウス育ちのプライドを刻みつけるようなパフォーマンスは、もちろんオーディエンス全員を巻き込んで、最高の幕切れを描きだしたのだった。

取材・文◎小川 智宏
写真◎Ryohey Nakayama

セットリスト

好きなものは手のひらの中
baby blue eyes
プードル

リップシンク
花びらと生活音
milk
もっと
ファジーネーブル

執着
ロングスカートは靡いて
エンジェルスモーク
102号室

- ENCORE
急行券とリズム ※初披露新曲
好きなものは手のひらの中

1st Full Album 『melt pop』

2024年10月9日リリース

▼初回生産限定盤
CD+Blu-ray [プレイパス対応] / UXCL-343 / \6,900(tax in)
▼通常盤
CD Only / UXCL-342 / \3,300(tax in)

[CD共通収録内容] 全15曲
01. 相槌
02. ファジーネーブル
03. BABY BABY
04. ロングスカートは靡いて
05. 花びらと生活音
06. 急行券とリズム
07. もっと
08. 桜のころ
09. TOKYO LONELY NIGHT
10. 爪
11. baby blue eyes
12. アオイハル
13. moonwalk
14. my JAM
15. 好きなものは手のひらの中

[Blu-ray]
「Conton Candy ONEMAN TOUR “FORCE”」
Live & Documentary Video
※2024年6月22日(土) 東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO公演
01. 濁り
02. TOKYO LONELY NIGHT
03. 音の鳴る方へ
04. エンジェルスモーク
05. envy
06. ファジーネーブル
07. もっと
08. Darling
09. 花びらと生活音
10. baby blue eyes
11. アオイハル
12. リップシンク
13. ロングスカートは靡いて
14. プードル
15. 102 号室
En1. 相槌
En2. 好きなものは手のひらの中
※プレイバス対応:Blu-rayがスマホで観られるダウンロードカード封入!

・予約購入特典
TOWER RECORDS オリジナル特典:クリア歌詞カード (全6種よりランダム1種)
ほか取扱店特典:“melt pop” オリジナルステッカー

<Conton Candy ONEMAN TOUR 2024 “melt pop”>


2024年11月9日(土):北海道・SAPPORO SPiCE
2024年11月16日(土):宮城・仙台MACANA
2024年11月17日(日):新潟・GOLDEN PIGS RED STAGE
2024年11月23日(土):福岡・OP's
2024年11月24日(日):広島・SECOND CRUTCH
2024年11月30日(土):愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
2024年12月7日(土):香川・高松DIME
2024年12月8日(日):大阪・心斎橋BIGCAT
2024年12月14日(土):東京・Spotify O-EAST

▼チケット ファミリーマート先行受付中
https://eplus.jp/contoncandy/
※9/9(月)23:59まで

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