『夫婦パラダイス』

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シス・カンパニー新作公演『夫婦パラダイス~街の灯はそこに~』が、2024年9月6日(金)、東京・新宿の紀伊國屋ホールで開幕する(東京公演終了後は、愛知、大阪に巡演)。

(撮影:宮川舞子)

本作は、劇作家:北村想が、日本文学へのリスペクトを込め、オリジナル戯曲を創作する「日本文学シアター」シリーズの第7弾となる。このシリーズは、様々な日本文学の世界に予測不能で斬新な発想を加えた新作を発表するという趣旨のもと、これまで太宰治、夏目漱石、長谷川伸、能「黒塚」、江戸川乱歩、坂口安吾に向き合い、注目を集めてきた。

(撮影:宮川舞子)

そして今回そのオマージュを捧げるレジェンドこそ、「オダサク」の愛称で親しまれた昭和の人気作家「織田作之助」。関西弁特有のテンポで人情の機微を描き出し、今でも高い人気を誇る作家だ。この『夫婦パラダイス』では、織田作之助の代表作『夫婦善哉』の主人公・柳吉とお蝶をモチーフにしつつ、時空も理屈も軽々と超越した予測不能な物語が展開する。演出は、北村想の劇世界を知り尽くした寺十吾。出演は、尾上松也、瀧内公美、鈴木浩介、福地桃子、高田聖子、段田安則。

(撮影:宮川舞子)

このほど、柳吉を演じる尾上松也、お蝶を演じる瀧内公美から開幕に向けたメッセージが届いたので紹介する。

■尾上松也(柳吉役)メッセージ

「夫婦パラダイス」は、織田作之助の「夫婦善哉」のキャラクターを用いた全く別のお話で、もっとファンタジックで謎と矛盾に満ちた物語です。「夢かうつつか…」というホンワカした空気感の中に、笑える面白い要素もたくさんありまして、とても不思議な世界観なんです。それをどう理解して表現していくか、稽古場で演出の寺十さんや共演の皆さんとご一緒に読み解いていく作業がとても楽しくて楽しくて…。実は、一番緊張していたのは関西弁だったのですが、関西人の段田さん、(高田)聖子さんのお稽古を見ていて、とても勇気をいただいたんです。お二人のなんだかわからないくらい(笑)の勢いと思い切りの良さに、「よし、もう気にしないでいっか~!」と。このお二人と、瀧内さん、浩介さん、福地さんとの濃密な6人芝居です。お客様も、いつの間にか夢うつつのような、ふわふわ浮遊するような不思議な感覚の中で、僕たち6人と一緒に妄想しながら、この物語を膨らませていただけたらな、と思っています。

(撮影:宮川舞子)

■瀧内公美(お蝶役)メッセージ

今回の「柳吉と蝶子」は、モチーフとなっている小説『夫婦善哉』の二人とは少し違っています。何よりも柳吉さんが小説のどうしようもないダメ男とは違って、夢をもっている人。松也さんが演じられると何でも許せてしまう愛らしさがおありで、明るく見守り寄り添いながら、愛らしく希望がある二人になれるような気がしています。北村想さんの脚本は、哲学的で難解な言葉もありますが、登場人物一人ひとりが愛おしくなるほど、素敵で美しい台詞ばかりです。そこに、どこか煙に巻いたような悪戯っぽさやおかしみもあって面白いんですよね。今回、その美しい台詞を声に出して言える幸せを感じながら、その言葉をしっかりとお客様に届けなければ…という思いでおります。また、ご一緒する皆さんは百戦錬磨の方々。稽古場では、憧れと嬉しさが入り交じり、一生懸命手綱を手繰り寄せながらも笑いが絶えないお稽古時間を過ごさせてもらいました。魅力的な皆さんとお届けする「夫婦パラダイス」。ぜひ劇場でお待ちしております!

(撮影:宮川舞子)