Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

9月4日に発売されたGoogle(グーグル)の折りたたみスマートホン第2世代となるPixel 9 Pro Fold。ブック型で、開くと8インチの大きなディスプレイが魅力です。

発表後すぐのハンズオンでは、初代から手堅くアップデートされており、むしろこれを初代でやっておけばよかった。またはこれを初代にすべきだった!と漏らしていた米Gizmodo編集部。裏を返せば、Pixel 9 Pro Foldがそれほど使いやすくなっているということです。が、発売前から実機を手元でレビューしていた米Gizmodo編集部の感想は「ほぼ完璧」。完璧ではなく、ほぼ完璧な理由はパフォーマンスの期待値にあったようです。

短期間レビューではあるものの、以下、「ほぼ完璧」です。

私は大きめスマホ派です。2011年にSamsung Galaxy Noteがリリースされて以来、すっかり大きめ使いとなりました。Lenovo(レノボ)とGoogleのARがタッグを組んだPhab2 Proにも手を出したことがあるので、折りたたみスマホに臆することはありません。が、どうも乗り気になれない自分がいます。

乗れない理由の1つは値段。1,800ドル(日本では25万7500円から)って、1台のスマホの価格としてはかなり思い切っています。その値段なら、折りたたみだろうが、そうじゃなかろうが、市場で最もパワフルなスマホであってほしいものです。

が、GoogleチップのTensor G4はそうではない。Pixel 9 Pro Foldは折り畳める。一方で、Apple(アップル)やQualcomm(クアルコム)はもっとパワフルなチップセットを生産している。モヤモヤします。このモヤモヤも乗り切れない理由。

パフォーマンスを一回忘れると、美しいディスプレイや現時点では最高峰のAI機能、素晴らしいカメラといいとこばかり。ただ、Pixel 9シリーズの別モデルを見ると、カメラもうちょっと頑張れたのでは?という気もしますが…。

デザイン:最も薄く、最も重い折りたたみ

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

ドーンっとド派手な技術が好きなので、昨今のスマートフォンにはあんまりワクワクしていないかもしれません。となると、やっぱり折りたたみスマホですが、最もワクワクするのは開ける瞬間ですかね。折りたたみとはいえ、まず開かないことには折り畳めませんから。

開いて登場するのは、非常に薄くフレキシブルで艶のあるガラスディスプレイ。去年の初代モデルと同様に、画面真ん中に若干の折り目があり、そこがイコールヒンジがある部分です。開けた瞬間は折り目が目に入りますが、次の瞬間にはもう気にならなくなってます。

フレームはアルミニウム。ヒンジはGoogle公式いわく「航空宇宙グレードの強化アルミニウム合金カバーを備えた多相合金スチール」。外側のディスプレイはCorning® Gorilla® Glass Victus® 2 カバーガラス。背面カメラは左上の角丸エリアにまとめられており、ボディ真ん中にはGoogleのGマーク。ボタンは、電源とボリュームが右に。USB-CポートとnanoSIMスロットが底に。

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

同シリーズの他モデルと異なり、カラバリはシンプルでPorcelain(白)とObsidian(黒)のみ。これ、個人的な意見ですが、高額スマホになると色味を失うの何なんでしょうね。もう1色くらいあってもいいのに。Pixel 9 ProのRose Quartz(ピンク)ほしかったな。

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

防水仕様はIP8。気になるのは、他の折りたたみと異なり防塵仕様がないこと。ヒンジまわり大丈夫なのかな。

ヒンジは瞬発力があって開閉や軽い力でできます。が、少なくとも私は開けるのに両手を使う必要がありました。片手で端末を支えて、もう片方で開ける。片手で指ぐいっとできないこともないのですが、画面に指紋が残るのでやりたくありません。

あとは、端末サイドとかにちょっとした窪みがあると、開けるとき指をかけて開けやすいなと思いました。ヒンジ自体は艶仕上げなのでめちゃくちゃ指紋つきます。

折りたたんだ状態のサイズは、155.2×77.1×10.5mm。初代よりも薄くなり、現時点の地球では最も薄い折りたたみスマホです。一方で、重さは257gで、Samsung(サムスン)やOnePlusと比べると重い折りたたみとなります。

ディスプレイ:3つの使い方を楽しめる

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

1画面よりいいこと、それは3画面楽しめること。大きめ端末好きとしては、まず大きなディスプレイ大歓迎。いわゆるファブレットが好きな人なら折りたたみもハマりそう。

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

8インチ(2,076×2,152)のOLED Super Actuaディスプレイは、初代モデルよりも少し大きくなっています。タスクに応じた可変リフレッシュレート(1ー120Hz)に対応したスムーズ ディスプレイ。

ディスプレイは文句なしでキレイです。4K Dolbyのデモ動画みましたがほんとキレイ。見ているだけで楽しくなるとはまさにこのこと。1つ言うとしたら、ベゼルが気になっちゃう。この美ディスプレイにはこのベゼルは太い、ような。ただ、これは好みの問題もあるかもしれません。

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

ゲームプレイでは、この画面が活きてきます。大画面をぎっしり使って没入感があります。『崩壊:スターレイル』『ディアブロ イモータル』などをプレイしましたが、ディアブロのダークなあの世界観をこのディスプレイで見れてよかった。非常に美しい、その一言。

その他、漫画を読んだり、ニュースサイトを見たり、動画を見たりしましたが、やっぱり大画面はいい。マルチタスクするときは、大画面を2分割できるので、めちゃくちゃ捗ります。Samsung Galaxy S23 Ultraを普段使いしてますが、マルチタスクを考えるとFoldの大画面には勝てないですね。

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

サムスンの話が出たので、Pixel 9 Pro Foldの大画面に感じた物足りなさをここで。それはスタイラスペンの存在。サムスンでいうところのSペン、あっていいと思います。あったほうがいいと思います。大人の塗り絵アプリが好きなんですが、あれ、指じゃ繊細さが足りません。このサイズの画面だからこそ、やりたいことも変わる。だからペンも欲しくなる。

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

折りたたみ端末ディスプレイの魅力は、開いたときの大画面だけではありません。外側にもう1つあります。カバーディスプレイってやつですね。6.3インチ(1,080×2,424)のOLEDディスプレイ。アスペクト比は20:9で細身。明るさはHDR輝度最大1,800ニト、ピーク輝度2,700ニトで、コンテンツがポップします。

移動中などは端末を開くことなく、このカバーディスプレイをメインとして使っていました。折りたたみなんだけど、このときは普通のスマホの感覚。

このカバーディスプレイは、撮影時にアニメーション表示して子どものカメラ目線をひきつけるMade You Look機能が使えます。その他、デュアル スクリーン プレビュー機能や高画質画像セルフィーのためのリアカメラセルフィー機能もあり。また、Google Meetの通話やGoogle翻訳が裏表2画面で使えるようになり便利さが増しています。

UIとAI:iPhoneぽいような?

私は生粋のAndroidユーザーです(その前はPalm)。なので、Pixel 9 Pro FoldのどことなくiPhoneぽいジェスチャーコントロールにはちょっと戸惑いました。が、これは慣れなので、ちょちょっと触っているうちに数分で自分のアプデ完了。スワイプ操作に慣れたら、昔から使っている古き良きボタンメニューにさよなら…。

あとは、10月にリリースされるだろうAndroid 15に期待です。レビューでは15ベータ版は使わず、Android 14でした。Google端末は、OS&セキュリティアプデが7年保証。OnePlusだと4年&5年保証なので、ここはさすがGoogle。

ソフト面でいえば、今年は何もかもAI。消しゴムマジックをさらに進化させた編集マジックは圧巻。背景を生成しフレーミングを調整してくれるオートフレーム。ズームにした画像の解像度を上げるズーム画質向上(Zoom Enhance)機能も素晴らしい。

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

なかでも私が1番度肝を抜かれたのは、編集マジックの拡張機能のReimagine機能。これ、写真内のオブジェクトを別のものに置き換えてくれます。あとは、写真を撮っている人も写真に加わるAdd Me機能も魅力だと思います。

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

Pixel Studioを使ってロゴ作ってみたのですが、これもなかなかよかったです。グラフィックデザイナー的助言をもらった気分でした。メモ代わりとなるScreenshots機能とCall Notes機能も便利ですが、掘り下げていくとGoogleをどこまで信用するかという話になりそう…。

AIがっつり派の人は、Google AI Geminiの無料版ではなく、Gemini Advancedがおすすめ。月額2,900円から利用可能。

パフォーマンス:プレミアム端末ならもっとやれたのでは?

うーん。これをいいと取るか悪いととるかは、どのモデルを買うかで変わってくるんですけど…。

Pixel 9シリーズって全モデルGoogle最新チップのTensor G4なんです。つまり、基本のPixel 9とその倍くらいの価格のPixel 9 Pro Foldのチップ一緒なんです。これ、Pro Foldを買う人からしたら、高額端末なんだからチップもスゴくしてくれよー!って言いたくなりません? こっちは3つの画面操作してんのよ?って。

まぁ、実際同じチップでも操作(アプリ起動、Chromeでのタブ30個開きなど)に遅れは感じなかったのですが。『崩壊:スターレイル』もスムーズにプレイできたのですが。ただ…10分くらいで端末がかなり熱くなっていました。

カメラ:ほぼ据え置き

Pixelといえば写真に定評があります。今年のPixel 9シリーズはカメラアップデートも話題です。が、Pixel 9 Pro Foldのリアカメラは、48MPの広角、10.5MPのウルトラワイド、10.8MPの望遠のトリプルと、初代モデルからほぼ変化なしの据え置き。Pixel 9に48MPのウルトラワイドが乗ったことを思うと、寂しいアプデ。望遠もうちょっとほしかったなぁ。

とはいえ、撮影した画像自体は素晴らしいです。Google自慢のAI編集がなくても十分。iPhone 15 Pro Maxよりも、画像は自然な印象。クロースアップでは愛犬を撮影、毛並みや目のディティールまでとらえています。周辺建物はウルトラワイドで撮影。どのレンズで撮影しても色が非常にリッチでシャープです。

以下、私がお散歩で撮影したサンプル画像です。

Image:Sherri L. Smith/DreamSmith LLC
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Image:Sherri L. Smith/DreamSmith LLC
Image:Sherri L. Smith/DreamSmith LLC
Image:Sherri L. Smith/DreamSmith LLC
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Image:Sherri L. Smith/DreamSmith LLC
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Image:Sherri L. Smith/DreamSmith LLC
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ここにはありませんが、リアカメラセルフィーも試してみました。セルフィーカメラのセルフィーよりもいいと思います。高画質セルフィーを謳うだけあって画像もいいのですが、そもそも写りも綺麗になる。おすすめです。

Image: Charles Anthony Davis / Dreamsmith LLC

バッテリー

搭載バッテリーは4,650mAhで、公式曰く24時間持つとのこと。現在、まだGizmodoお決まりのバッテリーテスト(YouTube映像を流し続ける)を実行中。終わり次第ここはアップデートしますね。

現時点では、10時間ほど使って充電しないといけなくなった日がありました。が、これは重めのタスク(動画やゲームしまくった)が多かったからかな。

総評:やっぱりチップが…

Pixel 9 Pro Foldは、初代モデルから作りも基礎もしっかりアップデートされた素晴らしい端末だと思います。前モデルよりも軽い、薄い、でも、他社と比べると若干重い。画像編集AI機能は目を見張るものがあります。望遠が物足りない気もしつつ、カメラは間違いなく端末の魅力の1つです。

そうなるとやっぱりチップですね。使用していて動作に不満はないものの、もっとパワフルなチップだったらと思わずにはいられませんでした。特に熱処理(ヒートアップ)は課題になりそう。

最終的には、Pixel 9 Pro Foldの「折りたたみ」部分にどれほどウェイトを置くかです。残念ながら私はそこまで(価格も考えると)置けないタイプなのでした…。

P.S. 折りたたみはスタイラスペンつけてほしいよー!

いいところ:美ディスプレイ。カメラ素晴らしい。AI機能頑張ってる。昨年の初代モデルより軽く薄くなっている。

残念なところ:ヒートアップする。他端末と比べると性能が劣る。高いよー!

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