自宅を整理していたら、自分名義の「ゆうちょ銀行」の通帳を発見。10年ほど放置されていましたが、引き出せるのでしょうか?
ゆうちょ銀行における長期間利用がない貯金の扱い
ゆうちょ銀行では、長期間利用がない貯金について一定の期間が経過すると、口座の利用制限や権利の消滅といった措置が取られることがあります。
ゆうちょ銀行によると、10年以上入出金等の取引がない貯金などは、通常「休眠貯金」として扱われます。10年の間に入金や出金、利子の支払いを除いた振り込み、通帳の発行・再発行、記帳や繰り越しなどが行われている場合は、休眠貯金とはなりません。
金融庁によれば、休眠貯金になってしまうと、口座にある残高は引き出し可能ですが、別途窓口での手続きが必要となるため注意が必要です。
ゆうちょ銀行では口座が休眠状態になると、「ゆうちょダイレクト」やATMでの取引が制限される可能性があります。もし、制限がかかってしまった場合は、窓口で所定の手続きをすることで利用できます。
今回のように長期間使われていない通帳を発見したら、近くの窓口で口座情報を確認しましょう。休眠貯金となっている場合、通帳やキャッシュカード、本人確認書類などがあれば窓口で手続きをすることで引き出せるでしょう。
預け入れした時期によっては権利が消滅する貯金がある
休眠貯金の対象となるのは、通常貯金や定額貯金などです。なお、郵政民営化前の2007年(平成19年)9月30日以前に預けられた定額郵便貯金や定期郵便貯金などは、満期後20年と2ヶ月を経過しても払い戻しの請求をしていない場合、権利が消滅してしまいます。
独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構によると、これらについては、満期後10年間払い戻しの請求がない場合は、満期後10年を経過するときに満期日経過の案内が送付され、満期後20年を経過した時点で払い戻しの請求がない場合には権利が消滅する通知(催告書)が送られます。
さらにその後2ヶ月が過ぎても払い戻しの請求がない場合、権利が消滅するため、該当する口座を持っている場合は、確認が必要でしょう。
口座を休眠状態にしないためには?
政府広報オンラインによれば、10年間取引がない預金は、毎年1200億円ほど発生しています。休眠預金等は法律に基づき、金融機関から預金保険機構に移管され、その後民間団体を通じて、経済的に苦しい状況にある方々の支援や、地域振興などの公益的な活動に役立てられることが定められています。
しかし注意が必要なのは、預金などが休眠状態になると、たとえ自分の口座であっても、お金を引き出すには窓口での手続きが必要になるという点です。預金などの引き出しに通常よりも時間がかかることが想定されます。
休眠預金等になるのを防ぐために、以下の点に気をつけるとよいでしょう。
●口座の残高や取引履歴を定期的にチェックし、アクティブな状態を保つ
●定期的に貯金するために、自動的に振り込みがある設定にしておく
●登録した住所や氏名、メールアドレスなどに変更があれば、直ちに変更手続きをする
●銀行からの通知やアラートを見逃さないようにする
●使わない口座は解約する
休眠状態の口座を発生させないためには今一度、自分がどのような口座を開設したのかを見直し、整理することをおすすめします。使う予定があまりないと思われる口座については、思い切って解約してしまうのもよい手です。
ゆうちょ銀行の貯金は10年以上放置していると休眠貯金となることがある。引き出しは可能だが、手続きが必要になるため注意しよう
ゆうちょ銀行で10年以上放置されていた貯金は休眠貯金となりますが、所定の手続きを踏めば引き出しは可能です。手続きにはある程度時間がかかるため、休眠状態とならないよう、適切な口座管理が必要となるでしょう。
口座を休眠状態にしないためには、定期的に取引を行うことが大切です。少額の入金や引き出しを行うと、口座をアクティブな状態にできます。あまり使わない口座は、年に1回は残高や取引履歴を確認し、問題がないかチェックしましょう。
また住所や連絡先に変更があった場合は、速やかに銀行に通知し、登録情報を更新することも忘れてはいけません。
口座が長期間放置されると、通帳やキャッシュカードを紛失するリスクもあります。再発行には手間がかかり、さらに手数料が発生するケースもあるため、不要な口座は解約するなど管理を怠らないようにしましょう。
出典
株式会社ゆうちょ銀行Webサイト
独立行政法人 郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構 満期を経過した郵便貯金の払戻しに関するお知らせ
金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
政府広報オンライン 放置したままの口座はありませんか?10年たつと「休眠預金」に。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー