[9.5 W杯最終予選 日本 7-0 中国 埼玉]

 数字には表れなかったが、最前線で献身的にプレーし続けた。日本代表の大量得点に貢献したFW上田綺世(フェイエノールト)は「向こうで求められているのはそういうところ」と胸を張る。「少しずついろんな引き出しが増えてきた」と手応えを口にした。

 最前線で体を張り、味方の得点を演出した。後半13分、上田は最後方でボールを持つDF町田浩樹に縦パスを要求。相手の守備陣が釣られたところでボールをフリックすると、落ちたボールをMF南野拓実が拾い、冷静にチーム4点目を沈めた。

「拓実くんは技術もあるし、タイミングも合わせやすい。僕の特徴もわかってくれている。ああやって入ってきてくれるとプレーしやすい」と南野を称賛する上田。町田からパスを要求した狙いについて、攻撃のバランスを取ったことを明かす。

 日本のボール保持が続く展開のなか、中国は高い突破力を持つ日本の両サイドを警戒した。そのうえで、上田は手薄となった中央を使えるように体を張った。「逆に相手も(中央を)一番警戒してくると思うので、それが増えてきたらなおさら(三笘)薫くんとか(伊東)純也くんとか、サイドの突破力のある選手がプレーしやすくなる。そうやってチームとしても僕としても、攻撃の幅を増やしていくことが今後大事」。攻撃が単調にならないよう、自らの動きでバランスを整えていた。

 もちろん、生粋のストライカーは結果が出ないことに満足などしていない。「最後はちょっと強引に打ちに行ったけど、もっとチャンスを作れたらよかった」。味方の得点を演出した圧倒的存在感で、次は自らゴールを生み出すつもりだ。

(取材・文 石川祐介)