タンス預金が「問題」になるのはどんな時? 手元にすぐ使える「まとまった現金」をおいておきたいのですが…。

写真拡大 (全2枚)

「現金を手元に置いておかないと不安」「災害に備えておきたい」 急な出費やトラブルに備えて、タンス預金を検討している人もいるのではないでしょうか。本記事では、タンス預金をすることで得られるメリットとそのリスクについて解説します。ぜひ参考にしてください。

タンス預金とは

タンス預金とは、自宅で保管することを目的としている現金を指します。「へそくり」として置いている現金が該当し、近年では暗号通貨も含まれるのが特徴だとされています。
「タンス預金」という名称は、金融機関が近所にない、現金の保管場所がないなどの理由から一時的にタンスへ保管していたことが由来とされています。
 

タンス預金のメリット

金融機関に預けずに自宅で現金を保管するタンス預金を行うことによって、次のようなメリットを得られる可能性があります。


・好きなタイミングでお金を使える
・資産を守りやすい
・相続時の口座凍結によるトラブルに巻き込まれない
・家族に知られずに貯蓄できる

タンス預金で自宅に現金を保管することによって、銀行やATMの営業時間、手数料などを気にすることなく、好きなタイミングで使用できます。
病気や怪我などのトラブルが発生した場合にも、治療費や生活費を確保しやすい可能性があります。また、銀行の破綻による資産の喪失を避けられる可能性があるのもメリットの1つだと考えられます。
さらに、相続発生時には、遺産分割協議が終わるまでの間、故人の預金口座が凍結されます。このようなケースに遭遇しても、タンス預金をしておけば手元にまとまった現金を確保でき、口座凍結の影響を軽減できる可能性があることもメリットの1つでしょう。
 

タンス預金をするうえでのリスク

タンス預金には、さまざまなメリットがありますが、リスクについても把握しておかなければなりません。タンス預金をするうえで考えられるリスクは、次のとおりです。


・火災や地震などで消失するリスク
・盗難に遭うリスク
・紛失するリスク
・遺産相続トラブル

タンス預金は現金を自宅に保管しているため、火災や地震、洪水などの災害発生時に喪失する恐れがあります。また、盗難に遭う、現金を紛失してしまうといったことも考えられるため、銀行に預金したほうが安全面では有利な場合があるでしょう。
また、相続発生時の遺産分割協議において、タンス預金の存在を証明することが困難なため、手続きや話し合いがスムーズに進まなくなる恐れがあります。さらに、相続手続き後にタンス預金が発覚した場合には、遺産分割をやり直したり、相続税の再申告が必要になったりするケースもあるため、注意が必要です。
 

税金問題に発展するケースも

タンス預金は、相続税の課税対象です。タンス預金を隠したとしても、税務調査によって発覚した場合には、加算税や延滞税といった税金が発生する恐れがあります。
税務調査では、被相続人の口座の入出金履歴や残高証明などをチェックします。過去分の入出金履歴についても調査され、使用目的について証明できない場合には、財産を隠していると疑われる可能性があります。
また、被相続人だけでなく、家族の口座についても調査が入ります。家族の口座に現金を移しても、調査によって発覚する恐れがあるため、注意が必要です。
 

緊急用と割り切ってタンス預金をしよう

自身と家族の急な病気やけが、火災や地震などの災害といったトラブルに備えるため、タンス預金を検討している方も多いのではないでしょうか。
自宅の金庫に保管しておくことで、銀行の営業時間外であっても急な出費に対応できる可能性があります。しかし、自宅に現金を置いておくことによってさまざまなリスクが起こり得ることを考慮しなければなりません。
タンス預金をする場合でも、緊急時に必要な分だけを自宅に保管し、それ以外の現金については金融機関に預けることをおすすめします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー