中川大志インタビュー/「伝えなきゃ」という気持ちがより高まった――映画『夏目アラタの結婚』アクリル板1枚を挟んでの渾身の芝居
死刑囚と結婚するという奇抜な設定の人気漫画『夏目アラタの結婚』。9月6日より公開中の実写映画で、死刑囚を手弁当で弁護する私選弁護人・宮前光一を演じる中川大志にインタビューした。
近年は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の誇り高き武将役や、ドラマ『Eye Love You』のせつなすぎる“当て馬”役をはじめ、さまざまな役柄で注目を集めている彼だが、多忙な毎日も楽しめているというその内面に前後編のインタビューで迫った。
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ーー脚本や原作をお読みになった印象はいかがでしたか?
漫画原作ということもあり、かなり非現実的というか、奇抜な設定と展開が面白いですよね。普通に日常生活を送っていて、これだけの大事件を起こした死刑囚と対面することなんてまずないじゃないですか? それだけでも想像しがたいのに、さらにその死刑囚にプロポーズして結婚するわけですから、これはもうとんでもないことですよ(笑)。
なので、起きていることの「度合いの高さ」というところが作品の魅力なのかなと思いました。でも、だからこそ、それを実写の世界に落とし込んでいくというのはかなりチャレンジングだなと感じました。
ーー中川さんは今回、死刑囚である品川真珠(演:黒島結菜)の弁護を担当する弁護士・宮前光一を演じられています。宮前についてはどんな人物だと感じましたか?
すごく強くて、行動力のある男だなと感じました。というのも、宮前は誰かに頼まれたり、お金のために彼女を弁護したりしているわけではないんですよね。真珠が無実であることを信じて、自分の意思で弁護を買って出て、お金もすべて自分で出しているんです。
これは相当な覚悟や精神力がないとできることではないですし、最初は「いったい何が彼をそこまで突き動かしているのかな?」と思いました。
ーー何が彼の原動力になっているのでしょうか?
すべては真珠という存在のためなんですよね。とにかく彼女が発しているエネルギーを燃料にして動いているのが宮前という男なので、僕自身もお芝居をする際は、黒島さん演じる真珠をしっかりと真正面から受け止めるようにフォーカスを絞っていました。
ーー弁護士を演じるにあたって、何か準備などはされましたか?
今回、弁護士の方が監修に入ってくださっていて、それが大きかったですね。実際に死刑囚の弁護などもやられた経験のある先生だったので、まずはその先生にいろいろとお聞きしました。
ーーどんなことをお聞きになりましたか?
それこそ「ぶっちゃけ、怖くないですか?」みたいなところから。もちろん事件の内容はそれぞれで違うと思うんですけど、そういう人を目の前にしたときにどんな感情が芽生えるのかなとか、シンプルに気になりますよね。
あとは、実際に弁護士としての業務がどんなものなのかっていうことだったり、裁判の入廷から退廷までの流れだったり。映画の法廷シーンは必ずしも現実の裁判と同じというわけではないんですけど、だからといって完全な嘘になってはいけないですから、そこの落としどころを探っていきました。
夏目アラタ(演:柳楽優弥)と真珠がかなりトリッキーなキャラクターということもあって、宮前はリアリティや事件の深刻さという部分を牽引する役割が大きいなと思ったので、そこはしっかりと勉強して臨みましたね。
ーーとくに印象に残っているシーンを教えてください。
宮前は面会室のシーンが多いのですが、それは印象的でした。面会室はセットだったんですけど、真珠側とこちら側はアクリル板で仕切られているんですね。光の反射や映り込みなどがけっこう繊細で、顔の位置が数センチずれたり、角度がちょっとずれるだけでうまく撮影できなかったりするので、そこはすごく気を配りました。
そういう制約があったうえで、お芝居に意識を集中させなきゃいけないので、そこはとても印象深かったですね。
ーー面会室での真珠はインパクト抜群ですが、黒島さん演じる真珠はどのように映りましたか?
黒島さんとは今回が初共演で、いつかはご一緒したいなと思っていた方なので、嬉しかったです。ただ、実際に現場でいろいろとお話することはなくて、あえて距離を置いていました。
というのも、劇中の宮前も真珠に直接触れることはなくて、いつも面会室のアクリル板越しにしか会っていないので、そこの距離感は大切にしたほうがいいんじゃないかと思っていたんです。
実際、アクリル板越しに対面すると、すごく距離が遠く感じるものなんですよ。たった1枚の板ではあるんですけど、あるのとないのとでは大違いで、それはお芝居にも表れているような気がしますね。
ーー具体的にはどんなところに出ていますか?
アクリル板という壁があることで、「相手に伝えようとする意識」が高まる感じです。人間って、たとえば距離が遠かったら大声で話したり、身振り手振りを加えたりするじゃないですか。暗くて相手がよく見えなかったら、声に抑揚をつけて意図が伝わりやすいようにしゃべったりとか。
面会室もそれと同じで、物理的な距離でいえば目の前にいるんですけど、やっぱり心理的な距離は遠く感じて、だからこそより「伝えなきゃ」っていう気持ちになるんですよね。受け取る際も同じで、真珠の表情や言葉に対してすごく敏感になって、彼女の発する情報は何ひとつ聞き漏らさないぞっていう意識で臨んでいました。
ーー堤幸彦監督作品に参加するのは今回が初めてですが、撮影で印象的だったことはありますか?
撮影現場で、リアルタイムで編集作業が進んでいくのには驚きました。映画やドラマって、まず撮影をして、一通りの素材を揃えてから編集作業に取り掛かるのがスタンダードだと思うんです。
でも堤監督は、たった今ここで撮影した映像を、その現場で同時並行で編集し始めるんです。仮BGMも入れて、それを僕らにも見せてくれたんですけど「これ、そのまま映画館で流してもいいんじゃない?」って思うほどでした(笑)。
ーーそれはすごいですね。
そうなんですよ。CMの撮影現場ではそういうこともあるんですけど、映画で同時編集は初めてでした。
でもこうして現場で映像を確認できると「こういう世界観で作っていくんだな」っていうことが明確になりますし、それを全員で共有できるので、これは素晴らしいなと思いました。
ーー監督のなかに明確なビジョンがあるからこそ、できることですね。
そう思います。撮影そのものも迷いがなくてテンポが早いですし、事前にかなりのレベルで骨子を作り上げているんだなということが伝わってきますね。
ーー堤監督からの言葉で、とくに印象に残っているものはありますか?
どのシーンかは忘れちゃいましたけど、テスト撮影が終わったときに「いよっ! 男前!」って言われました(笑)。「本番も今の男前でお願いします」と言われて、そのときはやりづらかったですね(笑)。
ーーでは最後に、完成した映像をご覧になった感想をお聞かせください。
自分が出ていないシーンについては、どんな映像になっているかまったく知らなかったので、アラタと真珠のシーンはどれも新鮮で、感慨深かったですね。
どうしても宮前の視点で見てしまうので、スクリーンに映っている真珠に吸い込まれるように、いろいろな感情が入り混じりました。これは弁護士の先生から伺ったことなんですけど、被告人との関係って、裁判が終わってからもずっと続くらしいんです。
たとえ刑務所に入っても獄中から手紙が届くこともあり、今でもずっと心に残り続けているんだそうです。言い換えれば先生と生徒、親と子のような気持ちになるようで、僕もまさにそんな感じになりました。まるで親のような目線で、アラタと真珠の行く末を見守っている感覚になって、不思議な気持ちでしたね。
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中川大志インタビュー/子役出身の同世代俳優たちは特別な存在。「役者が酔って熱く芝居論を語るやつ」をすることも
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映画『夏目アラタの結婚』
大ヒット上映中!
配給:ワーナー・ブラザース映画
https://wwws.warnerbros.co.jp/natsume-arata/
©乃木坂太郎/小学館 ©2024 映画「夏目アラタの結婚」製作委員会
■応募方法:ライブドアニュースのXアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下の投稿をリポスト
■応募受付期間:2024年9月6日(金)12:30 〜9月13日(金)12:30
※応募受付終了後、厳正なる抽選を行います。当選者の方には、「@livedoornews」のアカウントからXのダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。
キャンペーン規約はこちらをご覧ください。
近年は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の誇り高き武将役や、ドラマ『Eye Love You』のせつなすぎる“当て馬”役をはじめ、さまざまな役柄で注目を集めている彼だが、多忙な毎日も楽しめているというその内面に前後編のインタビューで迫った。
撮影/アライテツヤ 取材・文/岡本大介
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非現実的な設定だからこそ挑戦のしがいがある
ーー脚本や原作をお読みになった印象はいかがでしたか?
漫画原作ということもあり、かなり非現実的というか、奇抜な設定と展開が面白いですよね。普通に日常生活を送っていて、これだけの大事件を起こした死刑囚と対面することなんてまずないじゃないですか? それだけでも想像しがたいのに、さらにその死刑囚にプロポーズして結婚するわけですから、これはもうとんでもないことですよ(笑)。
なので、起きていることの「度合いの高さ」というところが作品の魅力なのかなと思いました。でも、だからこそ、それを実写の世界に落とし込んでいくというのはかなりチャレンジングだなと感じました。
ーー中川さんは今回、死刑囚である品川真珠(演:黒島結菜)の弁護を担当する弁護士・宮前光一を演じられています。宮前についてはどんな人物だと感じましたか?
すごく強くて、行動力のある男だなと感じました。というのも、宮前は誰かに頼まれたり、お金のために彼女を弁護したりしているわけではないんですよね。真珠が無実であることを信じて、自分の意思で弁護を買って出て、お金もすべて自分で出しているんです。
これは相当な覚悟や精神力がないとできることではないですし、最初は「いったい何が彼をそこまで突き動かしているのかな?」と思いました。
ーー何が彼の原動力になっているのでしょうか?
すべては真珠という存在のためなんですよね。とにかく彼女が発しているエネルギーを燃料にして動いているのが宮前という男なので、僕自身もお芝居をする際は、黒島さん演じる真珠をしっかりと真正面から受け止めるようにフォーカスを絞っていました。
監修の弁護士を質問攻めにして撮影に臨んだ
ーー弁護士を演じるにあたって、何か準備などはされましたか?
今回、弁護士の方が監修に入ってくださっていて、それが大きかったですね。実際に死刑囚の弁護などもやられた経験のある先生だったので、まずはその先生にいろいろとお聞きしました。
ーーどんなことをお聞きになりましたか?
それこそ「ぶっちゃけ、怖くないですか?」みたいなところから。もちろん事件の内容はそれぞれで違うと思うんですけど、そういう人を目の前にしたときにどんな感情が芽生えるのかなとか、シンプルに気になりますよね。
あとは、実際に弁護士としての業務がどんなものなのかっていうことだったり、裁判の入廷から退廷までの流れだったり。映画の法廷シーンは必ずしも現実の裁判と同じというわけではないんですけど、だからといって完全な嘘になってはいけないですから、そこの落としどころを探っていきました。
夏目アラタ(演:柳楽優弥)と真珠がかなりトリッキーなキャラクターということもあって、宮前はリアリティや事件の深刻さという部分を牽引する役割が大きいなと思ったので、そこはしっかりと勉強して臨みましたね。
アクリル板が1枚あるだけで距離が遠く感じる
ーーとくに印象に残っているシーンを教えてください。
宮前は面会室のシーンが多いのですが、それは印象的でした。面会室はセットだったんですけど、真珠側とこちら側はアクリル板で仕切られているんですね。光の反射や映り込みなどがけっこう繊細で、顔の位置が数センチずれたり、角度がちょっとずれるだけでうまく撮影できなかったりするので、そこはすごく気を配りました。
そういう制約があったうえで、お芝居に意識を集中させなきゃいけないので、そこはとても印象深かったですね。
ーー面会室での真珠はインパクト抜群ですが、黒島さん演じる真珠はどのように映りましたか?
黒島さんとは今回が初共演で、いつかはご一緒したいなと思っていた方なので、嬉しかったです。ただ、実際に現場でいろいろとお話することはなくて、あえて距離を置いていました。
というのも、劇中の宮前も真珠に直接触れることはなくて、いつも面会室のアクリル板越しにしか会っていないので、そこの距離感は大切にしたほうがいいんじゃないかと思っていたんです。
実際、アクリル板越しに対面すると、すごく距離が遠く感じるものなんですよ。たった1枚の板ではあるんですけど、あるのとないのとでは大違いで、それはお芝居にも表れているような気がしますね。
ーー具体的にはどんなところに出ていますか?
アクリル板という壁があることで、「相手に伝えようとする意識」が高まる感じです。人間って、たとえば距離が遠かったら大声で話したり、身振り手振りを加えたりするじゃないですか。暗くて相手がよく見えなかったら、声に抑揚をつけて意図が伝わりやすいようにしゃべったりとか。
面会室もそれと同じで、物理的な距離でいえば目の前にいるんですけど、やっぱり心理的な距離は遠く感じて、だからこそより「伝えなきゃ」っていう気持ちになるんですよね。受け取る際も同じで、真珠の表情や言葉に対してすごく敏感になって、彼女の発する情報は何ひとつ聞き漏らさないぞっていう意識で臨んでいました。
撮影したその場で編集! 堤幸彦作品の現場に驚き
ーー堤幸彦監督作品に参加するのは今回が初めてですが、撮影で印象的だったことはありますか?
撮影現場で、リアルタイムで編集作業が進んでいくのには驚きました。映画やドラマって、まず撮影をして、一通りの素材を揃えてから編集作業に取り掛かるのがスタンダードだと思うんです。
でも堤監督は、たった今ここで撮影した映像を、その現場で同時並行で編集し始めるんです。仮BGMも入れて、それを僕らにも見せてくれたんですけど「これ、そのまま映画館で流してもいいんじゃない?」って思うほどでした(笑)。
ーーそれはすごいですね。
そうなんですよ。CMの撮影現場ではそういうこともあるんですけど、映画で同時編集は初めてでした。
でもこうして現場で映像を確認できると「こういう世界観で作っていくんだな」っていうことが明確になりますし、それを全員で共有できるので、これは素晴らしいなと思いました。
ーー監督のなかに明確なビジョンがあるからこそ、できることですね。
そう思います。撮影そのものも迷いがなくてテンポが早いですし、事前にかなりのレベルで骨子を作り上げているんだなということが伝わってきますね。
ーー堤監督からの言葉で、とくに印象に残っているものはありますか?
どのシーンかは忘れちゃいましたけど、テスト撮影が終わったときに「いよっ! 男前!」って言われました(笑)。「本番も今の男前でお願いします」と言われて、そのときはやりづらかったですね(笑)。
ーーでは最後に、完成した映像をご覧になった感想をお聞かせください。
自分が出ていないシーンについては、どんな映像になっているかまったく知らなかったので、アラタと真珠のシーンはどれも新鮮で、感慨深かったですね。
どうしても宮前の視点で見てしまうので、スクリーンに映っている真珠に吸い込まれるように、いろいろな感情が入り混じりました。これは弁護士の先生から伺ったことなんですけど、被告人との関係って、裁判が終わってからもずっと続くらしいんです。
たとえ刑務所に入っても獄中から手紙が届くこともあり、今でもずっと心に残り続けているんだそうです。言い換えれば先生と生徒、親と子のような気持ちになるようで、僕もまさにそんな感じになりました。まるで親のような目線で、アラタと真珠の行く末を見守っている感覚になって、不思議な気持ちでしたね。
■撮り下ろし写真もたくさん掲載! インタビュー後編はこちら
中川大志インタビュー/子役出身の同世代俳優たちは特別な存在。「役者が酔って熱く芝居論を語るやつ」をすることも
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中川大志(なかがわ・たいし)
1998年6月14日生まれ。東京都出身。2010年に映画デビュー。2011年、ドラマ『家政婦のミタ』で一家の長男を演じて注目を集める。近年の出演作に、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)、映画『碁盤斬り』、ドラマ『Eye Love You』(TBS)、『滅相も無い』(TBS)など。10月6日から放送されるドラマ『ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』では、鯉登音之進を演じる。映画『チャチャ』が10月11日公開予定。
・Instagram:https://www.instagram.com/taishi_nakagawa_official/
1998年6月14日生まれ。東京都出身。2010年に映画デビュー。2011年、ドラマ『家政婦のミタ』で一家の長男を演じて注目を集める。近年の出演作に、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)、映画『碁盤斬り』、ドラマ『Eye Love You』(TBS)、『滅相も無い』(TBS)など。10月6日から放送されるドラマ『ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』では、鯉登音之進を演じる。映画『チャチャ』が10月11日公開予定。
・Instagram:https://www.instagram.com/taishi_nakagawa_official/
作品情報
映画『夏目アラタの結婚』
大ヒット上映中!
配給:ワーナー・ブラザース映画
https://wwws.warnerbros.co.jp/natsume-arata/
©乃木坂太郎/小学館 ©2024 映画「夏目アラタの結婚」製作委員会
プレゼント情報
★★サイン入りチェキを抽選で1名様にプレゼント★★
■応募方法:ライブドアニュースのXアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下の投稿をリポスト
\映画『#夏目アラタの結婚』公開中/
— ライブドアニュース (@livedoornews) September 6, 2024
🎁#中川大志 サイン入りチェキを1名様にプレゼント🎁
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・9/13(金)12:30〆切
▼インタビュー
前編:https://t.co/c9UKlF8faQ
後編:https://t.co/Mr1cW5iwSt
※後編はアプリ限定(無料)。撮り下ろし写真もたくさん掲載! pic.twitter.com/BSvBJz2hoY
■応募受付期間:2024年9月6日(金)12:30 〜9月13日(金)12:30
※応募受付終了後、厳正なる抽選を行います。当選者の方には、「@livedoornews」のアカウントからXのダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。
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