母系にGI馬複数 師も太鼓判押すパンジャタワー/関西馬メイクデビュー情報
今週から秋開催がスタート。中山、中京での新馬戦になるが、例年、出走頭数が少なくなりやすい開催。特に芝中距離に関しては、前開催の新潟、中京でも少頭数のレースが目立った。
一方、逆に芝1200mや芝1400mはフルゲートになっているし、先週の中京ダート1400mはフルゲート16頭で5頭も除外されてしまう事態。来年の開催競馬場はまた変わってくると思うが、距離や芝ダートに対する番組数の編成は検討が必要ではないだろうか。
【9月7日(土) 中京ダート1800m】
◆トリポリタニア(牡、父ルヴァンスレーヴ、母トリプライト、栗東・上村洋行厩舎)
ひとつ上の半兄マーシャルポイント(父エピファネイア)は芝2000mで2勝を挙げているが、母系には2019年チャンピオンズCを筆頭にダートGIで4勝を挙げたクリソベリル(父ゴールドアリュール)がいる血統。
本馬は6月15日にノーザンファームしがらきへ入厩して、6月27日のゲート試験を合格した後に牧場へ戻り、8月7日に栗東へ再入厩。坂路とCWを併用して追い切りを積み重ねており、8月28日のCWでの3頭併せは古馬3勝クラスの2頭を相手に互角の動き。時計も6F81.4秒、3F37.5秒、1F11.9秒と素晴らしく、追うごとに動きが良くなっているという印象を受ける。
【9月8日(日) 中京芝1200m】
◆パンジャタワー(牡、父タワーオブロンドン、母クラークスデール、栗東・橋口慎介厩舎)
母系には安田記念連覇など、マイルGIで3勝を挙げたソングライン(父キズナ)や秋華賞とナッソーSで国内外のGIを制したディアドラ(父ハービンジャー)がいる血統。父タワーオブロンドンは今年の新種牡馬だが、芝1200mでの勝ち上がりが目立っている。
8月28日に芝馬場でキャンターを乗っている時、橋口慎介調教師に本馬について取材すると「明日(29日)にCWで追い切る予定ですが、動くと思いますよ」と追い切りの動きを予測。レースでも騎乗予定の松山弘平騎手が跨ったが、古馬OPハーランズハーツを追走して先着。6F82.8秒、3F37.5秒、1F11.3秒と師の予測通り、素晴らしい動きを見せた。「ゲートも速い方だと思います」ということで、実戦での走りが楽しみ。
◆テーオーエルビス(牡、父Volatile、母Stopshoppingdebbie、栗東・高柳大輔厩舎)
父は現役時代にAGヴァンダービルトHでG1を制覇。半兄にブリーダーズフュチュリティ(G1)で3着したGenerous Tipper(父Street Sense)がいる。
本馬について「ゲートが速くて、スピードもあるので初戦向き」と高柳大輔調教師。8月28日のCWでは同じく新馬との2頭併せだったが、前半から速いラップを刻んで、6F時計は80.6秒。この数字は少々予定外だったようで「追い切りは騎乗したジョッキーも「こんなに出ているとは思わなかった」と話していました」と師。スピードがあるのは間違いない、そんな動きだったし、スプリント戦ならセンスの良さを発揮することができそうだ。
【9月8日(日) 中京芝2000m】
◆ゲルチュタール(牡、父ブリックスアンドモルタル、母キラービューティ、栗東・杉山晴紀厩舎)
半姉カウネウス(父ニューイヤーズデイ)は未勝利で終わったものの、おじに2021年ホープフルSでGIを制したキラーアビリティ(父ディープインパクト)や現在1勝クラスから3勝クラスまで3連勝中のジェイパームス(父ジャスタウェイ)がいる血統。
本馬は6月26日にノーザンファームしがらきから栗東へ入厩。ゲート試験に合格した後は一旦、牧場へ戻って調整し、8月14日に栗東へ再入厩した。8月21日の坂路では4F54.4秒と全体時計は目立たなかったが、ラスト1Fは12.2秒。そして、8月28日のCWでは古馬3勝クラスを追走する併せ馬だったが、楽々と先着して、6F81.2秒をマーク。4F50.7秒、3F36.2秒は素晴らしいスピードでラスト1Fも11.4秒でフィニッシュ。この動きで俄然注目を集める存在になったといってよいだろう。
(取材・文:井内利彰)