GMの中国事業「販売激減」でリストラ不可避の苦況
GMは中国市場での販売台数が急激に落ち込み、事業の縮小や売却の噂も流れている(写真は上汽GMのウェブサイトより)
アメリカ自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の中国事業が深刻な苦況にあえいでいる。同社の決算報告書によれば、中国事業は2024年1〜3月期に1億600万ドル(約156億円)、4〜6月期に1億400万ドル(約153億円)の損失を計上し、2四半期連続の赤字に陥った。
「わが社は4〜6月期に中国事業の再黒字化を見込んでいたが、実際には赤字が続いた」
GMのメアリー・バーラCEO(最高経営責任者)は7月23日、4〜6月期の決算説明会でそう述べ、今後の対応について次のように語った。
「中国市場での在庫削減を進めるとともに、生産量と需要のバランスを取るための改善策を検討中だ。合弁パートナーと緊密に連携しながら事業再編に取り組み、持続可能な黒字化を実現したい」
バーラCEOが事業再編に言及
GMの中国事業を担うのは、「上汽通用汽車(上汽GM)」と「上汽通用五菱汽車(SGMW)」という2つの合弁会社だ。
前者は国有自動車最大手の上海汽車集団(上汽集団)との合弁会社で、GMのブランドであるビュイック、シボレー、キャデラックの車種を現地生産・販売している。後者はGMと上汽集団が手を組み、広西チワン族自治区に本拠を置く五菱汽車とともに設立、主に五菱(ウーリン)ブランドの低価格車を展開する。
バーラCEOが事業再編について言及したことは、GMが上汽集団との関係を見直し、中国から撤退するのではないかとの臆測を生んだ。
そんな中、GMの中国法人は8月14日に声明を発表。「上汽集団との協業関係や、合弁会社の長期的発展を図るコミットメントに変更はない。GMは中国の消費者に向けて最良の製品と技術を届け続ける」と強調し、噂の打ち消しを図った。
GMの中国事業はなぜ苦況に陥ったのか。中国の自動車市場では、過去数年の間に急速なEV(電気自動車)シフトが進んだ。
外資系の合弁メーカーは、製品開発や技術移転を本国の親会社に依存してきた。そのため中国市場の変化への対応が後手に回り、(GMを含む)外資系合弁メーカーのほとんどが市場シェアを落としている。
GMのバーラCEOは中国市場での失地回復を模索するが、決め手に欠けるのが実情だ(写真は同社ウェブサイトより)
上汽GMはキャデラックおよびビュイックから複数車種のEVを投入したものの、失地回復につながっていない。同社の2024年1月から7月までの販売台数は約24万台にとどまり、前年同期比55.1%減少。中でも7月単月はわずか約1万5000台と、前年同月比8割超の激減を記録した。
中国撤退は否定するが……
GMの1〜3月期の決算説明会では、アナリストから経営陣に「中国戦略を見直して工場閉鎖や事業売却などに踏み切る考えはあるか」という率直な質問が飛んだ。それに対して、バーラCEOは次のように回答した。
「わが社はEVやPHV(プラグインハイブリッド車)を含む多数の新型車を中国に投入し、市場競争に参画し続ける。また、GMはラグジュアリーカーの分野でも強みを発揮できるはずだ」
中国での事業再編が人員カットを含むのかどうかに関して、GMの中国法人は現時点では明言を避けている。
また、「ビュイック・ブランドが売却される」という噂が業界内に流れたことについて、中国法人は「“再編”という言葉に過剰反応し、深読みしすぎている」と否定した。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月15日
(財新 Biz&Tech)