セリアの閉店ラッシュに庶民からは悲鳴が……

 帝国データバンクが「2023年度における『100円ショップ』の国内市場規模が前年度比約5%増の1兆200億円前後となり、初めて1兆円を超えた」と報じたのは今年5月だった。ところが……現在の状況を経済担当記者が語る。

「しかし今年に入って様相は一変しました。原因は円安です。年初から円安傾向が続き、7月には1ドル160円を記録しました。そのため輸入コストは爆上がり。商品をほぼ100%で輸入に頼っている100円ショップは大打撃です。1ドル100円から150円へ円安になると、単純計算で仕入れ値は5割上昇します。しかし人件費や家賃など固定費は下がりません。

 そのため薄利多売の100円ショップは青息吐息です。しかし価格を10円でもあげると、客数が激減してさらに買い上げ点数も少なくなります。まさにお手上げです」

 そのため「脱100円」に舵を切るショップも出てきている。業界最大手の「DAISO」(大創産業)は、単価が300円、500円と少し高めの「Standard Products(スタンダードプロダクツ)」や「THREEPPY(スリーピー)」を展開している。東京・銀座の「マロニエゲート銀座2」には、この3業態が同じフロアに出店しているのだ。

 そうしたなかで、「100円」にこだわっているのが業界2位の「セリア」。そのセリアで「大量閉店」が起きているという。

 セリアが今年5月に公開した「2024年3月期決算短信」を見ると、2023年4月1日〜2024年3月31日の直営店出店数は133店。これは前年より1店増である。一方で退店(閉店)は69店。これは前年より26店も増えている。短信ではその理由を「採算性を精査しつつ前向きに進めた結果」としている。

「売上高を見るとその理由がわかります。数字こそ約2230億円で過去最高を更新していますが、純利益を見ると約98億円。商品は売れるのに儲けがほとんどありません。そのため不採算店が増えたのでしょう。これは間違いなく円安の影響だと思われます。このまま100円路線で営業を続けていくのか、それともDAISOのように少し高めの店を展開して100円の店を維持するのか。セリアは難しい決断を迫られているのかもしれません」(同前)

 Xにも《セリア閉店増えてるの困るな》《やばい行こうと思ったセリア閉店しそう終わった》《頼む 生き延びて》《うそやん…セリアが…閉店してた…》など悲痛な叫びがポストされていた。100円ショップは、すでに生活の一部になっている。