中国テンセント、2四半期連続「50%超」増益の実力
テンセントは粗利率が高いサービスを拡大し、2四半期連続で50%を超える増益を達成した。写真は広東省深圳市の本社ビル(同社ウェブサイトより)
中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は8月14日、2024年4〜6月期の決算を発表した。
同四半期の売上高は1611億1700万元(約3兆3107億円)と前年同期比8%増加。投資損益やストックオプションなどを差し引いた非国際会計基準(非IFRS)の純利益は573億1300万元(約1兆1777億円)と、前年同期比53%の大幅増益を達成した。
4〜6月期の売上高の伸び率は、直前の1〜3月期(前年同期比6%増)を若干ながら上回った。純利益の伸び率も1〜3月期(同54%増)と同等の勢いを維持している。これを支えるのが、テンセントが「上質な収入源」と呼ぶ粗利率が高いサービスの拡大だ。
新作タイトルが貢献
その1つであるオンラインゲーム事業は、4〜6月期の中国国内の売上高が前年同期比9%増の346億元(約7110億円)、海外売上高が同じく9%増の139億元(約2856億円)を記録。国内事業の成長率は1〜3月期のマイナスからプラスに転じ、海外事業は成長ペースが加速した。
ゲーム事業の好調についてテンセントは、定番の人気タイトルである「王者栄耀(オナー・オブ・キングス)」と「和平精英(ゲーム・フォー・ピース)」のトラフィックが4〜6月期に回復したことに加えて、新作タイトルの貢献を理由に挙げた。
例えば「火影忍者(忍者BORUTAGE)」の1日当たりアクティブユーザー数は、5月に1000万人を突破。「地下城与勇士(アラド戦記モバイル)」はプレイヤーの継続率が高く、新たな定番ゲームに成長する可能性があるとしている。
「オンラインゲーム業界が魅力的な新作タイトルや創造性の不足に悩んでいる今だからこそ、わが社はイノベーションを堅持しなければならない」
テンセントの総裁(社長に相当)を務める劉熾平氏は決算説明会でそう述べ、次のように強調した。
テンセントの劉熾平総裁は、オンラインゲーム事業におけるイノベーションの重要性を強調する(写真は同社ウェブサイトより)
「ゲームの品質に対するプレイヤーの要求と期待は非常に高く、新たなヒットゲームの開発はますます困難になっている。しかし、だからこそ(プレイヤーの期待を超える)ハイレベルで差別化された遊び方を生み出さなければならない」
広告配信システムを精緻化
オンラインゲームだけではない。スーパーアプリ「微信(ウィーチャット)」を入り口にした各種サービスの成長も、増益に大きく寄与した。微信の6月末時点の月間アクティブユーザー数は中国国内版と海外版の合計で13億7100万人に達し、1年前より3%増加。連携する有料サービスの登録ユーザー数は2億6300万人と、同12%増加した。
中でも動画投稿サービス「微信視頻号(ウィーチャットチャンネル)」向けの広告出稿が伸びており、4〜6月期のオンライン広告事業の売上高は299億元(約6144億円)と前年同期比19%増加した。
テンセントは4〜6月期にオンライン広告の配信システムをバージョンアップし、広告収入のさらなる押し上げをもくろむ。新システムはユーザーの行動履歴をより長期に遡ることで、購買意欲(が高まるタイミング)を正確かつ迅速に把握できるという。
(財新記者:関聡)
※原文の配信は8月14日
(財新 Biz&Tech)