「糖尿病」の治療法3選! インスリン治療以外の食事療法や運動療法で血糖値は改善できる?
糖尿病はどのように治療するのかご存じですか? 今回は、糖尿病の治療法について「豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック」の澤口達也先生に解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【糖尿病は治らない? 専門医が糖尿病になると治らないと言われる理由・対策・治療法を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
澤口 達也(豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック)
日本大学医学部医学科卒業。その後、東京医科歯科大学初期臨床研修医、東京都健康長寿医療センターや横浜市立みなと赤十字病院に勤務、獨協医科大学心臓・血管内科 / 循環器内科助教を務める。2023年、東京都江東区に「豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック」を開院。医学博士。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会認定内科医、日本医師会認定健康スポーツ医。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会、日本内分泌学会、日本甲状腺学会、日本アレルギー学会、日本ステロイドホルモン学会の各会員。
編集部
糖尿病はどのように治療するのですか?
澤口先生
糖尿病の治療法は、大きく分けると「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3種類があります。このうち、食事療法と運動療法は基本的に全ての患者さんに対して必要な治療法です。これらをおこなっても改善しない場合や初診時から高血糖を認めている場合など、医師が必要と判断した場合には薬物療法がおこなわれます。
編集部
薬物療法では、どのような治療をおこなうのですか?
澤口先生
薬を投与することで血糖値をコントロールし、合併症の進行の予防や健康寿命の延長を目指します。2型糖尿病の患者さんには主に経口血糖降下薬を使用しますが、状態に応じて注射薬(インスリン、GLP-1/GIP受容体作動薬)を使うこともあります。
編集部
運動療法や食事療法だけでも、血糖値が改善することはありますか?
澤口先生
初期であれば、これらをおこなうことで十分、改善が期待できます。反対に、薬物療法をおこなっている場合でも、食事療法や運動療法をきちんと継続しなければあまり治療効果を期待することができません。基本的には、食事療法と運動療法は一生涯、続ける必要があります。なお、1型糖尿病の人では体内でインスリンを作れない状態のため、病初期からインスリン注射をおこなうのが一般的です。
編集部
食事療法の具体的な内容について教えてください。
澤口先生
肥満の場合は、減量することが重要です。1日の目安とするエネルギー量を設定して、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂取することが必要です。腎機能障害などの合併症がない場合には、食べてはいけないものは特にありませんが、1日のエネルギー量を超えたり少な過ぎたりしないようにしましょう。なお、日本糖尿病学会は極端な糖質制限は推奨しておらず、1日の摂取カロリーのうちの約半分程度は炭水化物(≒糖質)で摂取することを推奨しています。
編集部
運動療法はどんなことをするのでしょうか?
澤口先生
運動は「レジスタンス運動(筋力トレーニング)」と「有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)」の2つに大別されます。普段、私が患者さんに指導するときは「筋トレなどのレジスタンス運動でも、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動でも、どちらでも良いので、ご自分が好きな方、続けやすい方から取り組んでください」とお話しています。どちらの運動も血糖値の改善には効果があるとされていますし、運動は長期的に続けることが最も大事なので、ご自分が取り組みやすい運動からスタートするのが大切です。
編集部
運動をすると、どのような効果が期待できますか?
澤口先生
運動をすることにより血糖が消費されたり、インスリンに対する感受性が改善したりして、インスリンの効きがよくなることで血糖値が改善します。また、消費エネルギーが増すことで、肥満の改善や体重管理にも効果的です。