今期23期連続増配予定:ロート製薬の足元と氏素性
ロート製薬(4527、東証プライム。以下、ロート)。一般医薬品の目薬で世界首位。「肌研」中心のスキンケア商品が収益の基軸。
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今回、ロート製薬を覗くキッカケは、「長期連続増配」企業を調べた結果だった。ランキングで15位と知った。2004年3月期の3.7円配にはじまり、(連続最高益更新)が見込まれる今期計画は23期連続増配の30円配。
先に配当面から企業の投資価値を絞り込む場合、累進配当政策(配当は増配/現状維持、減配はしない)を実施している銘柄は注目に値すると記した。と並行し「10期以上連続増配を続けている企業」も、着目して然るべきだと思う。
ロートは1999年、山田安民氏により興された「山田安民信天堂(胃活:胃腸薬)」が原点。汎用目薬で存在感を増した。が今日のロートを語る時に大きなターニングポイントになったのは、メンソレータム。
従来の日本代理店(の倒産)にとって代わったロートは、米国メンソレータム本社の経営不振を機に買収し傘下に入れた。これが外皮用剤(exリップクリーム)などへの注力の道を開き、延長線上で「肌研」などスキンケア分野の拡大を牽引していった
連続増配を実現するだけの収益動向が見て取れる。
コロナ禍の2021年3月期「3.7%減収、0.4%営業減益」と底堅さを示し、増配とした。以降も「10.1%増収、27.69%営業増益」「19.5%増収、17.0%営業増益」「13.5%増収、17.9%営業増益」、増配。そして今3月期も「10.8%増収(3000億円)、7.4%営業増益(430億円)、増配」計画。ちなみに開示済みの第1四半期実績は「683億5600万円、117億8000万円」と順調な滑り出し。
前記の「メンソレータム買収」が示すように、歴史的にM&A戦略にも積極的。昨年6月には三井物産と共同でシンガポールの漢方薬企業を買収、子会社化している。大阪・中の島に細胞治療研究開発拠点開設といったニュースも伝えられている。業容拡大・深耕に前向きな動きを示している。
最近TVCMなどで「目のサプリメント」を目にする。「お宅の市販目薬だけでは不十分なのか」といったツッコミのひとつも入れたくなるが・・・
そんなロートの本稿作成時の時価は3100円台。5月安値2640円から7月高値3547円まで買い直され調整場面。過去10年間の修正済み株価パフォーマンスは4.3倍弱。IFIS目標平均株価は算出者全員が強気の4026円。
長期連続増配の株は、中長期構えが賢明か・・・