水道水だけでなくミネラルウォーターまで…

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 水道水の“汚染”に続き、国産のミネラルウォーターからもPFASが検出されたことが話題になっている。そこで週刊新潮は主要ブランド46本の発売元にヒヤリングを実施し、対策の有無などについての回答を集計。キリンやアサヒ飲料など、気になる有名ブランドの回答は――。

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【決定的瞬間】PFASを含む“泡消火剤”が、なんの防護もされていない地面に噴射される瞬間

 全国の河川や地下水などの水源地で、国の定める暫定目標値よりもはるかに高い濃度のPFAS(ピーファス)が、相次いで検出されている。

 一度でも体内に入れば、臓器などに蓄積し、排出するには約40年もの時間がかかるという試算もある中、「腎臓がん」をはじめ「脂質異常症」や「免疫不全」、「胎児・乳児の発育低下」など、様々な健康リスクまで指摘されている。

水道水だけでなくミネラルウォーターまで…

 中でも、PFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)と呼ばれる2つの化学物質は特に有害性が高いとされ、国際条約の規制対象で、日本でも輸入や製造が禁止となっているのだ。

 欧米では既に「PFASゼロ」に向けて動き出しているというのに、我が国では生活の至る所にPFASが潜んでいて、最も摂取リスクの高い水道水においても、“暫定の目標値”が設定されているだけで、法的な義務をともなう基準はいまだない状態だ。

 そんな中、朝日、読売の両新聞が、「神戸市で製造されたペットボトルのミネラルウォーターからPFASが高濃度で検出されていた」と相次いで報道し、世間に衝撃を与えた。

 しかし、「今年1月には汚染は改善された」として、同市は商品名や製造業者を非公開としているため、消費者の間では不安が高まっているのが現状だ。

 そこで本誌は、ミネラルウォーターを扱う主要メーカーへ一斉取材を敢行。大手スーパーやコンビニ、通販などで売れ筋とされる46本の発売元に質問状を送付し、PFASの濃度を検査しているか、検査結果の具体的な数値、最新の検査日や頻度を尋ねた。届いた回答を、「三ツ星チェック」として4段階評価でまとめている。日本が水道水におけるPFASの「暫定目標値」とする1リットルあたり50ナノグラムという数値を基準とし、この範囲内であれば「一ツ星」、10分の1以下の値なら「二ツ星」、さらに検査日や採水日まで公表していれば「三ツ星」、そして“検査未実施”か“結果非公表”という場合は、星がつかない“要注意商品”だ。

大手2社の回答は……

 いくつか例を紹介すると、「霧島天然水 のむシリカ」など5商品が「三ツ星」評価となった。「のむシリカ」製造元であるQvou社の回答によれば、PFASの検査を実施し、1リットルあたり2.5ナノグラム未満という結果だったというから、ほとんどPFASが出てこなかったと推定できる。

 「アサヒ おいしい水 天然水 富士山」「富士山のバナジウム天然水」などで知られるアサヒ飲料の商品はどれも「二ツ星」評価となった。国が暫定目標値として定める値の10分の1以下という結果である。

 そして「キリン 自然が磨いた天然水」などを販売するキリンホールディングスの商品はどれも「一ツ星」評価となった。同社から寄せられた回答は、

〈当社水商品については、採水地の水質を検査しています。検査の結果、有機フッ素化合物(PFOS+PFOA)の値が水道法の水質管理目標設定項目の目標値(暫定)以下であることを確認していますが、詳細数値につきましては非開示とさせて頂きます。〉

 PFAS問題に詳しい科学ジャーナリストの植田武智氏が言う。

「日本の水道水における『暫定目標値』である1リットルあたり50ナノグラム未満と回答した企業が多い印象ですが、この回答だけでは安心できないと思います。ここでいう『暫定目標値』は、この値未満であれば大丈夫、健康に影響がないと断言できる数値ではありません。この値以下でも長期的に摂取した場合などには、健康へのいろいろな影響が懸念されるが、未だに基準値として落とし込めるほどの根拠がないという意味で、現状の『暫定値』となっているだけなのです」

 「二ツ星」「一ツ星」だけでは安心はできないのだという。

 その他、星がつかなかった要注意商品や、気になる「い・ろ・は・す」や「サントリー天然水」などの評価も含め、今回質した46本分の全回答は、有料版の記事「ミネラルウォーターでも発覚“発がん性物質”「PFAS」 安全な商品は一体どれ!? 主要ブランド46本に質した全回答」で詳報している。

デイリー新潮編集部