アメリカのカリフォルニア州が、AppleウォレットやGoogleウォレットでデジタル運転免許証を提示できる制度の導入を発表しました。これにより、カリフォルニア州の住民は身分証明が必要な手続きをスマートフォンやスマートウォッチをかざすだけで簡単に済ませることができるようになります。

California IDs coming soon in Apple Wallet and Google Wallet | Governor of California

https://www.gov.ca.gov/2024/08/15/california-ids-coming-soon-in-apple-wallet-and-google-wallet/

Driver’s licenses and state IDs in Apple Wallet are coming soon to California - Apple

https://www.apple.com/newsroom/2024/08/drivers-licenses-and-state-ids-in-apple-wallet-are-coming-soon-to-california/

California driver's licenses to be available on Apple, Google wallets - Axios San Francisco

https://www.axios.com/local/san-francisco/2024/08/15/california-digital-drivers-license-apple-google-wallet

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2024年8月15日に、「カリフォルニア州は州を代表する2つの企業、AppleおよびGoogleと提携し、便利でプライバシーが保護された安全な運転免許証とIDカードを人々の携帯電話に直接提供します」と発表しました。

カリフォルニア州では、2023年から「CA DMV Wallet」というアプリを通じたモバイル運転免許証(mDL)が試験的に導入されていましたが、新サービスによりiOSやAndroidのネイティブアプリからデジタル運転免許証にアクセスすることが可能になるとのこと。

運転免許証をAppleウォレットやGoogleウォレットに追加しても、物理的なカードの携行義務がなくなるわけではありませんが、身分を証明する際にiPhoneやApple Watch、Androidデバイスをかざすだけでよくなるため、交通機関の窓口などでの手続きが便利になります。



これまでのところ、デジタル運転免許証の提示に対応することが明らかになっているサービスとしては、サークルKなどの特定企業や、サンフランシスコ国際空港などの空港が挙げられています。

Apple PayおよびAppleウォレット担当ヴァイスプレジデントのジェニファー・ベイリー氏は「Appleウォレットに運転免許証やIDカードがあれば、身分確認の際にシームレスにIDを提示することができるようになります。これらはすべて、iPhoneとApple Watchに組み込まれたセキュリティによって実現します」と述べました。

アメリカ自動車管理者協会をはじめとするmDLの推進団体は、mDLにより決済や審査の際に共有される個人情報を制限しつつ、ユーザーを個人情報の漏えいや詐欺から保護できると主張しています。



一方、電子フロンティア財団を含む一部の権利擁護団体や専門家らは、デジタルIDに一定のメリットが存在することを認めつつも、プライバーの侵害や監視に関するリスクは無視できないと警告しています。

危惧されている問題としては、デジタルIDの安全対策が不十分だった場合に、日常的な行動が追跡されたり、ID所有者の同意がないままにデータが企業や政府に提供されたりすることが考えられます。

こうした懸念に対し、DMVは「mDLユーザーの電話番号と、免許証または身分証明書の暗号化された写真以外の個人データは永久に保持されないため、使用状況が追跡されたり、同意なしでデータがデバイスから送信されたりすることはありません」と反論しました。

AppleウォレットやGoogleウォレットで使えるカリフォルニア州の電子免許証サービスは、発表から数週間以内にスタートする予定です。なお、Appleは日本でも2025年の中旬以降をめどにAppleウォレットの身分証明書機能を開始するとしています。

Appleが日本でもAppleウォレットの身分証明書機能を展開すると発表、iPhoneでマイナンバーカードが提示可能に - GIGAZINE