8月7日から開幕した「夏の甲子園(第106回全国高等学校野球選手権大会)」で、創成館(長崎)が2年連続で初戦突破を果たした。チームに勝利をもたらしたのは、4月に肺気胸の手術をしたキャプテン・向段泰一郎選手の“泥臭いプレー”だった。

【動画】「泥臭くてもいいので……」 3回裏1アウト3塁、病気を乗り越えた創成館(長崎)主将・向段泰一郎選手が仲間に恩返しの犠牲フライ

2年連続4回目の夏の甲子園出場を誇る創成館。キャプテンの3年生・向段泰一郎選手は、4月に病魔に襲われた。その病気とは、肺に穴が開く「肺気胸」。手術をしなければ助からない状況だった。向段選手は、当時「手術と聞いて、もう野球ができないなと思ったときは、どん底に落ちた」という。

失意の底にいた向段選手を救ったのは、野球部の仲間たちだった。3年生全員によるビデオメッセージが彼に力を与え、手術は無事に成功。グラウンドに帰ってきた向段選手は、「仲間がいたからこそ自分は頑張ろうと思えたので、背中で見せられるように泥臭くてもいいので、そういうプレーでチームを引っ張って恩返ししたい」と決意をにじませる。そんな創成館は、8月11日第4試合で、白樺学園(北北海道)に立ち向かった。

0対0で迎えた3回裏、1アウト3塁の場面で打席に立ったのは向段選手。「恩返しのチャンス」と言わんばかりに、向段選手はレフトへ犠牲フライを放ち、貴重な1点を奪い取る。 しかし、リードはわずか1点。創成館は8回裏・9回裏でピンチを迎えたが、強い気持ちで守り切り、見事1対0で白樺学園に勝利した。

宣言通り「泥臭いプレー」で仲間たちに恩返しできた向段選手は、試合後に笑顔で「みんながここまでやってくれたおかげで、今があると思っているので、これからの試合にも、感謝の気持ちを持って全力プレーで頑張っていきたい」と語った。どん底から救い上げてくれた仲間たちと、向段選手がこれから先も熱いプレーを見せてくれることに期待が高まる。

創成館の試合ハイライトは、8月11日に放送された「熱闘甲子園」で紹介された。