Lionsgate

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(カナダ・トロントから現地レポート) 大人気ゲーム『ボーダーランズ(原題:Boarderlands)』の実写化映画が2024年8月9日に北米公開を迎えた。ケイト・ブランシェット、ジェイミー・リー・カーティス、ケヴィン・ハートなど豪華俳優陣が集結し、『ホステル』や『サンクス・ギビング』などで知られるイーライ・ロスが監督を務めるということで、公開前から大きな注目を集めていた。

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しかし公開を迎えると、米大手レビューサイトRotten Tomatoesでとなったことが大きな話題に。筆者の周りでもこのニュースを聞きつけ「映画館での鑑賞はパスして、配信を待つ」という声も多かった。オープニング週末にダウンタウンの映画館へと足を運んだが、観客数はかなり控えめで、熱心なファンだけが駆けつけていた印象だ。

原作ゲームは、FPSのシューティングアクションにRPGの要素が融合し、「シューティングRPGの金字塔」とも言われ、人気を博している。そのため、映画化が発表された時点からネット上では多くの期待と不安の声が入り混じっていた。出演者に大人気俳優たちを起用することで、原作を知らない映画ファンの興味をひきつけたが、ゲームファンの間では議論が巻き起こっていたのだ。

映画の主人公は、ケイト・ブランシェット演じる賞金稼ぎのリリス。彼女はある夜、実業界の大物アトラスから、行方不明の娘のティナ(アリアナ・グリーンブラット)を見つけ出す仕事を依頼される。ティナは護衛のクリーグ(フロリアン・ムンテアヌ)を連れ、元兵士ローランド(ケヴィン・ハート)とともにリリスの故郷であるパンドラへ逃亡しており、リリスもまたパンドラへと向かうことになる。そこで彼女は、クラップトラップ(ジャック・ブラック)というロボットと遭遇。エイリアンやバンディットたちと戦う中で、リリスは自身の過去を知る科学者タニス(ジェイミー・リー・カーティス)と再会する。

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本作は、ケヴィン・ハート演じるローランドの銃撃戦シーンが冒頭にある。『セントラル・インテリジェンス』や『ジュマンジ』シリーズなどのアクションでコミカルな面を見せていた彼の新たな一面が目撃できる。また、最近では『TAR/ター』などシリアスなドラマ作品に出演していたケイト・ブランシェットが、『マイティ・ソー バトルロイヤル』のヘラ役以来のアクション作品に登場することも注目ポイントだ。

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ちなみに、ゲーム「ボーダーランズ2」を象徴する武器インフィニティ・ピストルは、本作ではリリスのサイドアームとして使用されている。原作がシューティングゲームのため、映画でも銃撃戦が多くのシーンを占めている。特にズバ抜けて印象的に残るアクションシーンがあるというワケではなく、過激なシューティングが続いていく。ストーリー展開はかなりスピーディで、テンポの速さを好む観客には魅力的だが、じっくりと楽しみたい観客にとっては少し物足りないかもしれない。

本作では、ゲームで登場するモクシーズ・バーや、カースティック・キャバーンズなどのロケーションも再現されている。さらに、ゲーム1作目でマーカスというキャラがプレイヤーをバンで迎えにくるのだが、この映画ではリリスがパンドラに到着した時にマーカスが同じバンで迎えにくるという演出もある。このようなイースターエッグもある本作だが、“原作ゲームファン視点”での声はかなり厳しいものがネットに溢れた。「このフランチャイズを醜く再現している」「ゲームの惑星間の世界構築が直線的に解釈されてしまっている」といった声も。

本記事執筆時点で、Rotten Tomatoesの批評家スコアは9%、観客スコアは50%。『THE LAST OF US』や『アンチャーテッド』など近年、人気ゲームの実写化が盛り上がりを見せているが、『ボーダーランズ』はその波にうまく乗れなかったかもしれない。原作ファンにとっては賛否が分かれる作品となった本作だが、その一方で、ゲームを知らない映画ファンにとっては、豪華キャスト陣の魅力やスピード感のあるストーリー展開を楽しむことができる作品に仕上がっている。

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映画『ボーダーランズ』の日本公開は今のところ未定。

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