メーカーのサポート窓口に電話すると、最初に自動音声による案内が流れることがよくあります。近年では生成AIによる自動音声が流れ、顧客の質問に対して最適な回答を出すところも増えてきているのですが、こうしたAIの自動音声サポートは顧客に悪い印象を与えてしまっていることが調査により判明しました。

Exclusive: Automated Voice Agents are Hurting Customer Retention - Retail TouchPoints

https://www.retailtouchpoints.com/topics/customer-experience/exclusive-automated-voice-agents-are-hurting-customer-retention

AI自動音声サポートを提供するTenyxがリサーチ企業のCentimentに委託して実施した調査によると、回答者の実に71%が「現在の自動音声サポートに不満を抱いている」と考えており、55%が「自動音声サポートに不満を抱いた場合、サービスの利用をやめるか、同業他社に移行する」と回答したことがわかりました。

回答者の多く(67%)は人間と話すことを望んでおり、「絶対に人間と話したい」と答えたのは約30%でした。反対に、「絶対にAIと話したい」と答えたのはわずか3%でした。



AI自動音声サポートに対する最大の問題は「複雑な問題に対処できないこと」です。もし顧客がAI自動音声サポートで嫌な経験をした場合、29%が「その会社から製品やサービスを買う気がなくなる」と答えていて、25%が「別企業のサービスへ移行する」、13%が「二度と利用しない」と答えており、企業がAI自動音声サポートを導入することの是非が問われる結果となっています。

ただし、AI自動音声サポートが人間に匹敵するようになれば、66%の人が「AIを使うだろう」と答えていることから、AIを導入したい企業にとっては希望の道が開かれているとも考えられます。

なお、人間のサポートに対する不満で最も多かったのは「待ち時間の長さ(39%)」と「サポート担当者のアクセントや話し方が悪い(39%)」でした。



Tenyxのイタマール・アレルCEOは、「自動化システムで嫌な経験をすると顧客は離れていき、ブランドの評判を傷つける可能性があります。自動音声サポートによる顧客体験を改善するには多面的なアプローチが必要です。企業は今、文脈を認識し、より幅広い顧客からの問い合わせに正確に対応できる高度なAIシステムに投資する機会を得ていると言えます」と指摘。

続けて「顧客の期待に応えるために、企業が自動音声サポートを強化する必要があることは明らかですが、万能のソリューションがあるわけではありません。人間のエージェントは複雑な問題を処理するために不可欠であり、自動音声サポートはルーチンワークや反復的なタスクに優れている可能性があります。重要なのは戦略的展開です。継続的な学習と分野別の最適化に投資することで、顧客のニーズと現在のテクノロジーとのギャップを埋めることができます。最終的には、人間のエージェントが価値の高い複雑な問題に集中し、自動化されたシステムが反復的な問い合わせを迅速かつ正確に処理するというハイブリッドアプローチが最適解になるでしょう」と述べました。