東京の“はしご天国”か!蔵前〜浅草橋の路地裏で分かった酒場の魅力
蔵前から浅草橋にかけて路地裏を歩けば、ちょい飲み店がそこかしこ。それもレモンサワー、日本酒、ワインと味わい多彩&おしゃれ。バーよりスナックという酒好きライター・菜々山が気後れしつつもはしご酒です!
『イエロ 蔵前』 @蔵前
15種のレモンサワーにつまみも上々の憩いの立ち飲み酒場
大きなガラス扉から店内を覗けば、若いひとり客から仕事帰りのビジネスマンたち、そして小粋なマダムが楽しげにグラスを傾けていた。「人と人をつなげる場を作りたい」というオーナーの目論見は見事に成功だ。
そんな店の看板ドリンクがレモンサワー。焼酎、国産ウォッカ、国産ジンの3種をベースに、ハチミツや自家製コーラなど5種類のフレーバーを組み合わせ、計15種類の味を楽しめる。
広島の瀬戸田町から取り寄せるレモンの香りもビビッドで、爽やかな味わいに汗も一気に引いていく。ちなみにフードもレモンサワーの味わいに合わせて作った唐揚げをはじめ、気の利いたつまみがわんさかと揃う。
本日のカルパッチョ 1200円、カツオと自家製サルサのブルスケッタ 750円、栃木いっこく野州どりの特製白ダシから揚げ 1個300円
[住所]東京都台東区蔵前4-12-1
[電話]03-5809-1280
[営業時間]16時〜23時(フード22時、ドリンク22時半LO)※土・日・祝13時〜
[休日]水
[交通]都営浅草線ほか蔵前駅A3出口から徒歩1分
『ミツケ』 @浅草橋
浅草橋駅至近に昨年末オープンしたばかり。入り口の和テイストな暖簾とは裏腹に、店内はアメリカンダイナー風のポップな雰囲気。
ドリンクはビールにワイン、ウィスキーに加えてカクテル類とかなり豊富に揃えていて、つまみも多数。しかも午前中から深夜まで通し営業というのもうれしいかぎり!
[住所]東京都台東区浅草橋1-29-11
[電話]03-5846-9336
[営業時間]11時〜翌1時(24時半LO)
[休日]日
[交通]JR総武線浅草橋駅東口から徒歩2分
『KAKUUCHI CAFE FUTABA(カクウチ カフェ フタバ)』 @蔵前
地域に根ざした老舗酒屋で、広々とした角打ちスペースを設置する。大きな冷蔵庫に並ぶのはクラフトビールに国産ワイン、縁の深い酒蔵から仕入れる日本酒など、数え切れないほどの品揃え。店のすぐ横で唐揚げ専門店も営んでおり、それを席で楽しむことも。厳選した豆で淹れるコーヒーも自慢だ。
[住所]東京都台東区蔵前4-37-4
[電話]03-3861-1138
[営業時間]15時〜21時半(21時LO)※金・土・日は11時〜20時半(20時LO)
[休日]火・水
[交通]都営大江戸線ほか蔵前駅A5出口から徒歩6分
1軒目からガツンときた、老舗の底力
蔵前・浅草橋は早い時間からサクッと飲める酒場や角打ちがなぜだか充実している。飲んべえの町として知られるわが地元・大塚でもこんなにないぞ!スバラシイ!!
折しも気温が真夏日に達することも多かった5月の取材時、キンキンのビールやサワーで栄養チャージでもしなきゃやってられん、ってな理由をこじつけて、はしご酒してきました。
1軒目に訪れたのが『KAKUUCHI CAFE FUTABA』だ。こちらは15時(週末は11時)からオープンしていて、学校帰りの小学生たちとすれ違いながら店に入る。ダメな大人でごめんよ、と少しばかりの罪悪感を覚えた。ここは店名にある通りの角打ちで、創業は昭和30年頃とかなりの老舗だ。
店の奥にあるのは、コンビニさながらの巨大冷蔵庫。コンビニとは違うのが、並んでいる缶と瓶はぜ〜んぶお酒ってこと。大人になって良かったと思いつつ物色するとクラフトビールがかなり充実。
つまみは角打ちらしい缶詰や乾き物なんかもあるけれど、麹を揉み込んだ「発酵からあげ」をはじめ一品料理もあったりして、なんなら居酒屋としても使えそう。クラフトビール2杯→ワイン→日本酒と1軒目からフルコンボ。
発酵からあげ(むね) 600円
さて、16時(週末は13時)からオープンするのが『イエロ』だ。広島の無農薬レモンを搾ったレモンサワーは、ほろ酔い気分をシャキッとさせる爽やかさ。さらにつまみも、洋やアジアのテイストを織り交ぜたセンスのある皿が並んでおり、あれもこれもと注文したくなる。
輝くポテサラ 750円、ワフマヨ 450円、塩レモンサワー(焼酎) 700円
途中、素敵なマダムがやってきて、ビール1杯をさらっと飲んでから、外の灰皿の前で、細いタバコの紫煙をくゆらせ、「また来るわね」と風のように去って行った。かっこいい……。
ま、編集武内ともども、野暮なわれらは、店のスタッフさんをしょーもない話題に巻き込みつつ、調子に乗ってナチュラルで揃えるワインも抜栓してしまいました。
飲みはじめた時は“今日は早めに帰るか”なんて考えもあったけど、エンジンがかかってしまえば終電という現実のリミットが来るまでは絶っっ対に帰りたくない、と思うのが酔っ払いの悲しい性だ。
11時から25時まで通し営業!
最後は浅草橋に新規オープンした『ミツケ』へ。注文前に閉店時間を確認したら25時だそう。しめしめ遅くまでやっている。しかも開店時間は午前11時でさらには通し営業(!)。なんて頼もしさ!取材の前後や、すき間時間にも喉が乾いたらいつでも飲みに来られるじゃん!
ナチョスなどの軽いつまみでハイボールやワインをやっていたら、急に小腹が減ってきた。これも酔っ払いのあるあるだ。
自家製チリコンカンチーズナチョス 700円
こちらは牛肉100%の自家製ハンバーガーも作っていてゴロッと肉感のあるパティとコクのあるソース、ふんわりとしたバンズのバランスがまさに絶妙!はしご酒の最高の締めくくりとなった。※終電は逃しました。
どの店も下町らしい懐の深さがあり早い時間から飲んでも白い目で見られない。むしろ暖かく見守ってくれる。そんなところもこの町のはしご酒が楽しい理由です。
撮影/西崎進也、取材/菜々山いく子
※2024年7月号発売時点の情報です。
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