ギリギリレベルで密着 東京V応援番組秘話…クラブOBが「リアル」を追求する訳
MCの北澤豪氏と勝野みなみ氏が明かした番組裏話
毎週金曜日23時より放送されている東京ヴェルディ応援番組『カモン!ヴェルディ!!』の収録が東京Vのクラブハウスで7月26日に行われ、番組収録後にMCを務める元日本代表MF北澤豪氏、フリーアナウンサーの勝野みなみ氏が「FOOTBALL ZONE」の取材に応じた。
(取材・文=河合拓)
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今年2月に始まった番組がチームのクラブハウスで収録されたのは初めてのこと。これまでで印象に残っている回を聞くと、勝野氏は首位のFC町田ゼルビアに0-5と大敗した直後の回を挙げた。番組では敗戦の結果だけをサラリと伝えるのではなく、なぜ負けたのか、選手たちのコメントを交えて、深いところまで分析をした。
現地でも試合を取材していた勝野氏は「選手たちは、『何もできなかった』『完敗だった』と話していました。綱島(悠斗)選手にインタビューをした時も、泣きそうな表情をしていたんです」と、同じ東京に本拠地を置くライバルとの試合直後の様子を振り返った。
その放送は多くの人の心を揺さぶったようだ。「放送後に反響があって東京Vのサポーターの方々からは『俺たちが頑張らないといけない』『支えないといけない』と応援をもっと頑張ろうという気持ちになったと言ってもらいました。また、なぜ負けたのか、なぜ大敗したのかを北澤さんの解説もあって、しっかり分析できているので、ほかのクラブのサポーターにも『うちのクラブもこういう番組を作ってほしい』という意見もいただいたんです。それはとても印象に残っています」と、勝野氏は充実の表情を見せた。
番組では出せるか、出せないか、ギリギリのところまで挑戦しながら放送している。ロッカールームで城福浩監督が選手たちに情熱的な言葉をかける様子は、ほかではなかなか見られない映像だ。北澤氏も「指導を学びたい人などにとっても、監督がどういうコメントをするべきかというのは学べると思いますし、サッカー以外のフィールドでも引用できるものがあったりするかもしれません」と東京Vのファンだけではなく、さまざまな人の参考になる情報を届けられていると話した。
もともとは母親が東京Vのファンで、東京Vの試合を見に行っていたという勝野氏は、番組MCに就任して半年だが悩みがあるという。それは「しっかりとした番組の締めができないこと」。締めの決まり事は作っておらず、北澤氏は「できないんじゃなくて、あれがいいんですよ。『どう締めてくれるのかな』と毎回、思いながら見ているんです」と笑顔。それを聞いた勝野氏は「(北澤さんは)予定調和がお好きじゃないので『リアルに行こう』って言うんです」と続け、締めが毎回アドリブになるという番組の裏話を明かしている。
「どんな状況でもやっていかなければ」「熱を本当に分かってほしい」の使命感
16年ぶりのJ1で東京Vの戦いを深く伝えている『カモン!ヴェルディ!!』。今後どんな番組にしていきたいか聞くと、北澤氏は「どんな順位でも、どんな状況でもやっていかなければいけないと思います」と使命感を口にしつつも、「(順位表で)上に行ってほしいですね。やりづらいもん」と、本音をこぼして笑った。
勝野氏は「開幕した時に谷口(栄斗)選手に『J1に昇格して一番変わったことはなんですか?』と聞いたら、『メディアの数が全然違う』と言っていたのが印象的だったんです。私たちは勝敗にかかわることはできませんが、ヴェルディの選手、監督、スタッフの熱を本当に分かってほしいので、それを伝えていければなと思います。私のメイクさんはサッカーに詳しくないんですが、収録を見ながら泣きそうになっていたくらい、毎試合ストーリーがあるんです。選手にもそれぞれのストーリーがあるので、待望のJ1の舞台なので1試合1試合の熱、魅力をしっかりと伝えていきたいなと思います」と、熱い思いを語った。
東京Vの歴史的な1シーズンの幕開けとともに始まったチーム応援番組『カモン!ヴェルディ!!』。今季後半戦、チームは毎試合どんな戦いぶりを見せるのか。そして番組の内容や締めは毎回どうなるのか。東京Vと応援番組、そのどちらにも注目が集まる。(河合 拓 / Taku Kawai)