「うつ病」の初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

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燃え尽き症候群になりやすい人の特徴とは?Medical DOC監修医が燃え尽き症候群になりやすい人の特徴・性格・前兆となる初期症状・原因・セルフチェック法・治療法・予防法などを解説します。

≫「ストレスが溜まると起こる症状」はご存知ですか?考えられる病気も医師が解説!

監修医師:
秋谷 進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

1999年、金沢医科大学卒業。金沢医科大学研修医を経て2001年国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)小児神経科、2004年6月獨協医科大学越谷病院(現・獨協医科大学埼玉医療センター)小児科、2016年児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科を経て、2020年5月から現職(東京西徳洲会病院小児医療センター)。専門は小児神経学、児童精神科学。

「燃え尽き症候群」とは?

人にはそれぞれ人生の「節目」があります。その時にやって来やすいのが「燃え尽き症候群」です。
燃え尽き症候群とは、それまでモチベーションを高く保っていた人が、突然やる気を失ってしまう、心身の疲労感や無力感のこと。通常、どんな人でも大きな節目が終わったときに一気に脱力感が来るものですが、人によって燃え尽き症候群になりやすい人となりにくい人がいます。
また、一度燃え尽き症候群になると、なかなか治療にも難渋します。
可能なら初期症状を見極めて早めに対処したいところですよね。
では、どんな人が燃え尽き症候群になりやすいのでしょうか。
初期症状や対処法を含めて、わかりやすく解説していきます。

燃え尽き症候群なりやすい人の特徴

燃え尽き症候群になりやすいのはどんな人でしょうか?
どんな場面でも起こりうるのですが、仕事をしている人を中心に説明します。

長時間労働をしている人

長時間労働は、身体的および精神的な疲労を蓄積させます。また長時間労働をしているということは休息やリフレッシュの時間が不足しているということ。

そして、慢性的な疲労は、集中力の低下、判断力の鈍化、感情的な不安定を引き起こしやすく、燃え尽き症候群のリスクを高めます。

不規則な勤務をしている人

長時間なだけでなく、勤務形態も燃え尽き症候群になりやすいかどうかを大きく左右します。不規則な勤務スケジュールは、特に夜勤や交代制勤務に従事する人において、正常な睡眠パターンを乱します。
そして、十分な睡眠が取れないと、ストレス耐性が低下し、精神的な安定を保ちにくくなります。
また、不規則な生活が続くとライベートの時間が犠牲になりやすく、趣味やリフレッシュのための活動が疎かになります。

感情的負荷の高い職業をしている人

感情的負荷の高い職業とは、医療従事者、教師、カウンセラーなど、自分の感情を抑え相手に傾聴し、感情を高いレベルでコントロールする必要がある職業のことです。
誰しも自分の感情をさらけ出したいのが常ですが、感情的負荷の高い職業ではそうは行きません。そして、仕事上で要求される感情と実際の感情の不一致(エモーショナルディソナンス)は、心理的な不快感やストレスを引き起こします。そして、この不一致が長期間続くと、精神的な疲労感が増し、燃え尽き症候群に繋がるのです。
このように、職業の中でも自分の感情を常にコントロールする必要がある人は燃え尽き症候群に気を付ける必要があるでしょう。

燃え尽き症候群なりやすい人の性格

まじめな性格

実は、非常に優秀でまじめな人が燃え尽き症候群になりやすいと言われています。
まず、非常にまじめな人はしばしば完璧主義的な傾向があり、自分に対して高い期待を抱いています。完璧主義的な考え方は、仕事や役割に対して極めて高い基準を設定し、それを達成できないと強い自己批判に陥ってしまうのです。
また、非常にまじめな人は、仕事に対して過度に集中しがちです。彼らはしばしば長時間働き、休息を取ることなく仕事に没頭します。仕事に集中しすぎると、身体的および精神的なエネルギーの枯渇を招き、燃え尽き症候群の原因となります。

ストレス管理が苦手な性格

休日にどのようにストレスを発散しているかも燃え尽き症候群の予防には大切です。
ストレス管理がうまくできないと、慢性的なストレスが蓄積しやすくなります。この蓄積されたストレスは、身体的および精神的な疲労を引き起こし、燃え尽き症候群のリスクを高めるのです。
また、ストレス管理が上手くないと飲酒、喫煙、不健康な食生活などの問題となる健康行動につながります。

燃え尽き症候群の前兆となる初期症状

では、次に燃え尽き症候群の前兆となる初期症状についてみていきましょう。

感情のコントロールがつかなくなる

仕事や日常生活でのストレスが積み重なり、感情のコントロールがつかなくなっていきます。燃え尽き少雨行軍で感情的疲労を感じる人は、今まで出来た簡単なタスクでもなかなか、持続的な倦怠感を感じてくるでしょう。

睡眠障害や興味の喪失

燃え尽き症候群の初期段階では、睡眠障害がよく見られます。
燃え尽き症候群では、一気に興味が喪失します。そして、うつ症状や「なんとかしなければ」という不安感から睡眠障害をきたしやすいのです。
さらに不規則な睡眠パターンや不眠症は、ストレスと疲労感を悪化させます。夜中に何度も目が覚めたり、朝起きた時に疲れが取れていないと感じることが増えるでしょう。

認知機能の低下

認知機能の低下も燃え尽き症候群の初期症状の一つです。
集中力の欠如、記憶力の低下、判断力が鈍るなどの症状が出てきます。さらに仕事の効率が落ち、ミスが増えることで、さらにストレスが増し、悪循環に陥ることもあります。

燃え尽き症候群の主な原因

1つのことに専念しすぎる

燃え尽き症候群は、過度に一つのことに専念しすぎることが大きな原因です。努力そのものは成長にとって非常に重要ですが、限界を超えて無理をすると心身が疲弊します。
例えば、長時間の仕事や勉強に没頭しすぎると、次第に疲れが蓄積し、やる気やエネルギーが失われることがあります。期待した成果が得られなければ、さらに頑張ろうとするのではなく、適度に休息を取ることも大切ですね。

周りからのプレッシャーが強い

燃え尽き症候群のもう1つの原因として、「周囲からの強いプレッシャー」があげられます。職場や学校で、上司や同僚、教師、親から高い期待や厳しい要求を受け続けると、燃え尽き症候群につながってしまうのです。
例えば、上司から常に高い業績を求められるビジネスマンや、親から良い成績を期待される学生は、その期待に応えようと無理を重ねることが多いですよね。このような状況が続くと、ストレスが溜まり、心身のバランスが崩れてしまいます。
周囲の期待に応えようとする気持ちは重要ですが、それが過剰になると逆効果です。プレッシャーを感じたときは、適度に自分のペースで進めることや、必要に応じて助けを求めるようにしましょう。

すぐに病院へ行くべき「燃え尽き症候群」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

重度の抑うつ感、深刻な不眠、強い不安感、パニック発作、重度の身体的疲労感がある場合は、心療内科・精神科へ

●重度の抑うつ感:
・持続的な気分の落ち込みや無力感に襲われる
・日常の活動への興味や楽しみが完全になくなってしまっている。
・死にたいと思うことがある
・自分を実際に傷つけてしまっている
●深刻な不眠症:
全く眠れない日が続いてしまっている。
●強い不安感やパニック発作:
息苦しさ、心拍数の増加、胸痛などの身体的症状を伴うパニック発作が起こってしまっている。
●重度の身体的疲労感:
・極度の疲労感で、日常の基本的な活動(例えば、食事や入浴)を行うのが困難になる。
・休息を取っても全く改善しないほど疲れ切っている

受診・予防の目安となる「燃え尽き症候群」のセルフチェック法

上記ほどではないけど、今から予防しておきたい燃え尽き症候群のセルフチェック方法について紹介します。まず下記の症状についてどれくらい当てはまっているかチェックしてみてください。

どんなことを犠牲にしてもやり遂げたいことがある。
プライベートを犠牲にして仕事に打ち込んでいる。
最近、まともな休日をとった記憶がない。
やらなければいけない仕事の期日が迫っているのに、なかなか集中できない。
最近ひと段落ついてから、仕事のパフォーマンスが低下している。
睡眠時間が仕事で短くなっている。
もともと夜勤や日勤などがバラバラで仕事の形態が不規則な仕事だ。
仕事でも自分の感情を抑えなければいけない場面が多い。
もともとストレスを発散する方法が思いつかない。
ストレスの原因を打ち明けられる、信頼できる仲間や家族がいない。

以下のうち4つ以上当てはまる方は「燃え尽き症候群」の予備軍です。さらに、受診しなければならない症状を伴っている場合は、早めに病院に受診して医師の指示に従ってください。

燃え尽き症候群の治療法

燃え尽き症候群の治療は、心療内科や精神科で行われます。治療には、カウンセリングや心理療法、薬物療法が含まれます。心理療法では、認知行動療法(CBT)が一般的に用いられますね。
治療で大切なことは「もう自分はここで終わりだ。自分の役目は終わった」などと考えずに新しい一歩を踏み出せるポジティブさを、自分のペースで取り戻すこと。まじめな方が多いので、「早く治そう」と考えてしまうことが多いですが、焦らずに自分の心と向き合ってください。
燃え尽き症候群の治療で入院が必要な場合もありますが、必ずしも必要ではありません。重度の症状や他の精神疾患が併発している場合には、入院が考慮されることがありますね。入院期間は個々の症状や回復状況により異なりますが、数週間から数ヶ月かかることもあるでしょう。
燃え尽き症候群の治療には、リハビリは必須です。リハビリには、ストレス管理技術の習得、リラクゼーション法、適度な運動などが行われますが、リハビリを通じて自分の心のあり方と向き合う姿勢が大切です。

燃え尽き症候群の予防法

燃え尽き症候群の予防法で一番大切なことは「マルチな自分を持つこと」です。1つのことに集中しすぎるのは要注意。その不具合が起こったり、大きな目標を達成して、次の目標を失った結果、燃え尽き症候群がおきるからです。
したがって、燃え尽き症候群の予防法は色々な自分をもつようにしましょう。本来、自分にも色々あるはずです。友人としての自分。趣味の時の自分。家族としての自分。仕事の時の自分。
どこかで行き詰ったとしても他の自分が良ければ、自分自身の生活が破綻することはありません。そのバランスを保つように普段から意識してみましょう。
もちろんその上で規則的な食生活や生活習慣、十分な睡眠を保つことは必須といえます。栄養もバランスよくしっかりとって、心身ともに健康を第一に生活をしていきましょう。

「燃え尽き症候群になりやすい人」についてよくある質問

ここまで燃え尽き症候群になりやすい人などを紹介しました。ここでは「燃え尽き症候群になりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

燃え尽き症候群の対処法について教えてください。

秋谷 進(医師)

基本的に「燃え尽き症候群」になったと思ったら、まずは普段の生活を見直してみましょう。朝の時間に読書をしたりリラックスするのもいいですね。それでも良くならなかったら、カウンセリングなどを通じて、自分の心のあり方を模索してみましょう。 もちろん心療内科や精神科への受診もオススメです。薬物療法が有効な場合もあります。

燃え尽き症候群を発症する可能性のある職業・職場環境について教えてください。

秋谷 進(医師)

特に多いのは精神的・感情的な負担が大きい職業です。医療従事者や講師、コンサルタント、カウンセラーなどがあげられます。他にも知的サービスを中心とした職業にも要注意です。

まとめ

燃え尽き症候群は、過度なストレスと疲労、過剰に1つのことに集中しすぎた結果、心身に深刻な影響を及ぼす状態です。早期に燃え尽き症候群の兆候を認識し、適切な休息とストレス管理を行い、メンタルのバランスを普段から保つことが予防の鍵となります。
燃え尽き症候群になったら、無理をせず、専門家の助けを借りるようにしましょう。きっとあなたの心の導き手となってくれるはずです。

「燃え尽き症候群」と関連する病気

「燃え尽き症候群」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

精神科・心療内科の病気

睡眠障害

認知機能障害

うつ病

病状がある程度重くなってくると、自分で対処することが難しい状況になります。

「燃え尽き症候群」と関連する症状

「燃え尽き症候群」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

眠れない

疲れがとれない

集中できない

感情的に不安定

仕事や日常生活での過度なストレスや疲労などが積み重なり、精神面や身体面での症状が出現します。普段の生活を見直しても自分自身で対処できないと感じたら、医療機関への受診をお勧めします。