年間700食の外食をするタベアルキスト・マッキー牧元さんが全国の立ち食い蕎麦を巡る不定期連載。今回は、大阪へ。朝のビジネス街で、蕎麦ではなくうどんをいただきました。

年間700食の外食をするタベアルキスト・マッキー牧元さんが全国の立ち食い蕎麦を巡る不定期連載。今回は、大阪へ。朝のビジネス街で、蕎麦ではなくうどんをいただきました。

大阪で楽しめる本格讃岐うどん

朝7時開店。

飲食店が少ない、ビジネス街にある立ち食いうどん屋に、次々と人が入っていく。あちらは、朝食を家で取らずに、『きりん屋』でうどんを食べようと決めてきた、サラリーマンかな。

遠方からわざわざ来たと話す、20代の男女もいる。様々なお客さんが、しずしずとうどんをすすっている。

『きりん屋』

ここは大阪だが、大阪うどんの店ではない。

香川の名店で修業したご主人が、ひとりで切り盛りする立ち食いうどん屋である。立ち食いといえど、仕事ぶりが誠実で素晴らしい。

「元祖釜かけうどん」を頼むと、うどんを茹で始めた。傍らで1人前のツユを、鍋に入れて温める。

うどんが茹で上がると、釜揚げなので,冷水で締めずに丼に盛る。熱々のツユを張る。ネギを盛り、トッピングに頼んだ生わかめを冷蔵庫から取り出し,ネギの横に添える。

「前後しますが、釜かけうどんお待ちどうさまでした」。

そう言って、頼んだちくわ天を揚げ始めた。客は、天かす、イリコダシに使ったイリコ、おろし生姜を、好きなだけ乗せ、食べ始める。

「元祖釜かけうどん」(500円)

まずはツユをひと口。

旨みにキレがあり、深い。香川の名店と、寸分たがわぬ、しみじみとした旨さが、舌を包む。

うどんは、ほのかに小麦粉の甘い香りを感じさせながら,つるんと口に登ってくる。歯を押し返しながら、20数回噛むとようやく消えていった。コシの強さもまた、うどん県ゆずりである。

うどんのコシと呼応する「ちくわ天」

「ちくわ天お待たせでした」。

「ちくわ天」(●●●円)

根性のあるちくわ天である。

世によくある、頼りないものと違い、歯に力を込めて、20回ほど噛まないと消えていかない。このちくわ天の歯応えと、うどんのたくましいコシが呼応しあう。

後半にちくわ天を入れて、油のコクをツユに溶かすのもいい。

ちくわ天を加える

オリジナルの山椒七味を、ハラハラと振り掛けるのもいい

オリジナルブレンドの「七味山椒」
「七味山椒」をうどんにかける

メニューが豊富で、様々な工夫があるのも魅力である。

夏の間にもう一度大阪に来ることができたら、「すだち冷やしうどん」を食べるぞ。

ああ、近隣に働く人がうらやましい。

■『讃岐立食いうどん きりん屋 本町本店』
[住所]大阪府大阪市中央区平野町3-2-2
[電話番号]06-6227-8859
[営業時間]7時〜10時、11時〜15時、土7時〜14時
[休み]日曜
[交通]地下鉄御堂筋線淀屋橋駅11番出口または北浜駅6番出口から徒歩4分

取材・撮影/マッキー牧元