スティーブン・クワン

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 日本の東北地方にルーツを持つ選手が現在、MLBア・リーグ首位打者候補の大躍進を遂げている。次回WBCでは、侍ジャパン入りを熱望していることでも話題の彼には、日本で忘れられない味があるのだという。

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【写真を見る】山形を訪問し、親族とスノボ、ラーメンを楽しんだクワン選手のオフショット

 日系の大リーガーといえば?、と聞かれて真っ先に思い浮かぶのは、2023年のWBCで活躍したカージナルスのラーズ・ヌートバー(26)だろう。

 しかし目下、急速に注目を集めつつあるのがガーディアンズのスティーブン・クワン(26)である。7月31日時点で、打率3割3分2厘とア・リーグで2位につけている。先日のMLBオールスター戦にも初選出された超有望株だ。

スティーブン・クワン

 スポーツ紙デスクが言う。

「クワンはデビューした22年のシーズンから2年連続でゴールドグラブ賞を獲得しており、どちらかといえば守備巧者のイメージが強い選手でした。ですが、今季は開幕から1番左翼で定着。打撃も絶好調で、5月上旬にけがで一時的に離脱したのですが、下旬に復帰した後も3割台を維持しています」

日本に住む親族の反応は

 彼は前回のWBCでは日本代表入りを希望しながらも、WBCの規定によってその資格を得られなかったという経緯がある。

「日本代表に懸ける思いは本物で、最近も“(規定が変わり)機会があるなら、ぜひ(WBC日本代表に)参加したい”と発言しています」(同)

 日系3世で中国系米国人の父、日系2世の母を持つ。母方の祖父母は、第2次世界大戦後に山形からアメリカ・カリフォルニア州に移住したのだという。

「本当にびっくりしています。まさかメジャーリーガーになるとは思ってもいませんでした」

 とは、山形に暮らす母方の親族の一人だ。

「スティーブンは3歳の子供の時に一度、山形に来ているのですが、その時のことは彼も覚えていなかったのでしょう。5年前に再会した時に、“自分のルーツを知りたかった”と再来日の目的を聞かされました」

蔵王のスキー場で

 日本語をほぼ解さない彼は、親族らに伴われてかつて祖父母が暮らした山形の家を訪問。神妙な面持ちで仏壇を眺めたそうである。

 別の親族が話を引き継いで言うには、

「スティーブンは山形に合計で3日間、滞在しました。銀山温泉にも行って、自分も彼と一緒に温泉に入りました」

 滞在2日目、彼がスキーをしたいと希望したため、親族らが蔵王のスキー場に連れて行った際のことだ。

「スキーを滑り終わったと思ったら、“財布がない。山の上のスキー道具のレンタル屋さんに落としたかも”と騒ぎだしてね。結局、落とし物は彼の言う通り、その店にあったので事なきを得ました。そういう、おっちょこちょいなところもある若者でした」(同)

「ご当地カップラーメンを喜んでいるみたい」

 温泉にスキーと存分に日本を満喫した彼にとって、とりわけ忘れがたい思い出となったものがある。

「3日目、東京へ帰る日になって、ラーメンを食べたいと言いだしたので、『赤湯ラーメン龍上海(リュウシャンハイ)』に案内した。そしたら、そこの看板メニューの赤湯からみそラーメンをすっかり気に入ったみたいで。“東京で食べた、どのラーメンよりも数倍おいしい”と感動していました。そのお店が出しているカップラーメンも日本から米国に箱で送ってあげているのですが、喜んでいるようです」(先の親族)

 目標のプロ野球選手はイチローという大の日本びいきが、侍ジャパンに入る日は来るか。

「週刊新潮」2024年8月1日号 掲載