今からそう遠くない未来、地球に代わる新たな居住区となった惑星「プラネットB」を舞台に、汚職にまみれた知事となって活動資金や資材を稼ぎ、時には稼いだお金の一部をポケットにしまい、大統領の座を巡って選挙を行うボードゲーム「プラネットB」の日本語版が、アークライトゲームズから2024年7月18日(木)に登場しました。かなりブラックなネタが楽しめるとのことで、実際にGIGAZINE編集部員3人でプレイしてみました。

プラネットB - ArclightGames Official

https://arclightgames.jp/product/817bea/

◆内容物

プラネットBのパッケージはこんな感じ。



プレイ人数は2〜4人、対象年齢は14歳以上、プレイ時間はプレイヤー1人あたり30〜45分を想定。



パッケージを開封。ルール説明書と各種トークン。



ゲーム盤と、プレイヤーボードなど。



ゲームで使う本部カード、新聞カード、建物カード、法律カード、職位カード、最終得点のサマリーカード。



ゲーム中に使う紙幣と、票を集めるための袋。通貨の単位は「ビリー」です。



◆ゲームの準備

まずはゲーム盤を机の上に広げます。



ゲーム盤は表と裏が2〜3人向けと4人向けになっており、左上に記されている人数のものを使用します。今回は3人でプレイするので、「2−3」と書かれている面を使いました。



ゲーム盤の左側に、ビリー札を並べて「銀行」とします。



ゲーム盤の上側に派閥ボードを配置します。



複合企業タイルを用意します。複合企業タイルの左下にはAまたはBと記されており、それぞれをグレーの面を上にしてシャッフルします。



そして、3枚あるAの複合企業タイルを以下のように並べます。真ん中の部分に置く複合企業タイルだけは裏返し、赤い面を上に向けます。



残りの複合企業タイルはゲーム盤のわきに山札として積んでおきます。



スーツケーストークン、コンテナトークン、職人トークン、頭脳労働者トークンをゲーム盤の横にまとめ、「共通在庫」として置いておきます。



白ディスクを4枚を、以下のようにゲーム盤の上に置きます。上段1枚ずつを置いた場所を「市場」、下段のマスを「選挙トラック」と呼びます。



建物カードをA・B・Cの3種類に分けてシャッフルし、それぞれをゲーム盤右下の指定位置に配置します。



新聞カードはI・II・IIIの3種類に分けてシャッフルし、それぞれをゲーム盤左下の指定位置に配置。それぞれの山札の一番上にあるカード1枚をめくって表にします。



職位カード3枚と袋を用意し、ゲーム盤の近くに置いておきます。なお、職位カードは本来4枚用意されていますが、今回3人プレイなので、「D.O.D.O.(雑務局長)」のカードは外しています。



その横に、法律カードをシャッフルし、山札として配置。法律カードには裏面がオレンジ色の「通常の法律」と、裏面が青色の「不道徳の法律」の2種類があります。



次にプレイヤーボードを設置します。



プレイヤーボードには番号が振られており、裏面あるいは表面右上で確認可能。数字が小さい方から時計回りになるように、プレイヤーボードを並べます。数字が一番小さい人がスタートプレイヤーになるので、この時にプレイヤー同士でゲームを進める順番を何らかの手段で決めておくのがおすすめ。



赤・黄・青・緑から自分の色を選び、裏面が選んだ色と一致する不正タイルと生産タイルをプレイヤーボードの上に並べます。



自分の色の票トークンをプレイヤーボードの脇に置いておきます。この票を袋に入れることで、ゲーム中に行われる大統領選挙の獲得票数が変動します。



そして、票トークン3個を、袋に入れておきます。



プレイヤーボード右にある満足度メーターの中央にある「中立」のところに、満足度マーカーを配置。この満足度は一般大衆から自分への満足度を示し、ゲーム中に変動します。



派閥ボードに、各自のディスクを配置します。派閥ボードは「資本主義」「未来主義」「伝統主義」という3つのレールがあり、一番左にある1マス目にディスクを置きます。



初期資金として10ビリーを受け取ります。同時に、オレンジ色の職人トークン、紫色の頭脳労働者トークンを2個ずつ受け取り、プレイヤーボード左下にあるワーカー置き場に配置します。



本部カードをプレイヤーボードの左上に配置。



最終得点の計算方法を記したサマリーカードを配布します。



続いて、手札の準備。手札は建物カード3枚で構成されます。まず、Aの建物カードの山札から3枚を取り、「プレイ順が最後のプレイヤー」から「1枚を選んで残りを右隣の人に渡す」というドラフト形式でカードを獲得します。



続いてBの建物カードは「プレイ順が最初のプレイヤー」から、Cの建物カードは「プレイ順が最後のプレイヤー」から、同じくドラフト形式で1枚獲得します。これで、全員の手札は建物カードのA・B・Cが1枚ずつ、合計3枚になります。これでゲームの準備は完了。



◆3人でプレイしてみる

ゲームは各プレイヤーが手番を進めながら勝利点を獲得し、最終的に一番勝利点を集めた人が勝利。

プレイヤーは自分の手番で、まず最初にスーツケーストークンを共通在庫から1つ取ります。



そして、そのスーツケーストークンを、複合企業タイルの左横にあるスーツケース型のマスに配置します。プレイヤーは、スーツケーストークンを配置した複合企業タイルに書かれているアイコンのアクションを、自分の手番内に好きな順番で実行します。



例えば、以下のアイコンは派閥ボードのディスクを1つ選んで1マス進めることができる「派閥アクション」です。チェックマークが入っている場合は、ディスクを1つ進めるか、あるいは今ディスクが置かれている右にある資材をゲットできます。例えば以下の場合だと、赤いディスクを1つ右に進めるか、あるいは資金6ビリーか勝利点8点のどちらかをゲットできます。



なお、勝利点についてはルール説明書に「獲得した勝利点は、あなたのポケットに隠してください(そのままの意味です)」とありました。勝利点はゲーム終了時の得点計算時に数えますが、それまでは相手だけではなく自分も何点稼いだのか分からない状態になるというわけです。勝利点はビリー札で獲得するので、さまざまな政策を執ったり工作を行ったりしながら得た資金の一部をポケットに隠してしまうという、まさに裏金作りを行っているような気分になります。



ワーカートークンのアイコンは「ワーカーアクション」で、職人トークンあるいは頭脳労働者を共通在庫から指定の数だけ獲得するか、あるいは建物カードに配置することができます。



歯車アイコンは「生産アクション」で、資材を生産することができます。



1回の生産できる資材の種類と量は、プレイヤーボード中央上部にある歯車アイコンの横に表示されており、2列あるのでどちらか1列を選びます。また、10ビリーを支払うことで生産トークンを購入し、歯車アイコン横のマスの上に重ねることで、生産できる資材の種類や数をアップデートすることが可能です。



複合企業タイルに書かれたアクションをすべて終わったら手番は終了。左隣のプレイヤーの手番に移ります。



ハンマーアイコンは建築アクション。手札の建物カードを1枚選び、プレイヤーボードの左端に置いて建築することができます。ただし、建物を建築するにはカード左上に書かれている建築費用を支払う必要があります。また、建物を建築した瞬間に勝利点もゲットできます。



建築した建物カードに、ワーカーアクションで指定した数と種類のワーカートークンを配置すると、カードに書かれているアクションを使用できます。例えば、「大麻工場」の「マリファナ」というアクションを実行すると、植物資源を1つ消費する代わりに、大衆の満足度を3上げ、さらに未来主義の派閥ディスクを1つ進めることができます。「草を消費してマリファナを生産することで大衆の満足度が爆上がりする」というのはかなりブラックなネタ。



大衆の満足度は、後に行われる「選挙」に大きな影響を与えます。具体的には、大衆の満足度が高いほど票田数が増えるので、大統領に当選する確率も上がります。大統領になるためには、やはり大衆からの支持が必要になるというわけです。



建築できる建物カードはさまざま。中には「ボードゲーム出版社」というカードもあり、「プラネットBのリリース」や「ガルガソンヌの増刷」が可能というややメタなネタも用意されていました。



新聞アクションでは、3つの山札の上にある新聞カードを1枚選んで獲得することができます。例えば、以下は「私は3番を選ぶ」というカードで、大統領になったつもりで法律カードを引けるというもの。ただし、カード右上に「不道徳」アイコンがついています。これは、この新聞カードを選んだ人は「不道徳な人である」ことを示すもの。不道徳な人である場合、得られる報酬や選択できる行動が変化する場合があります。



法律カードは、本来であれば大統領のみが引けるカード。法律カードには「法律を施行した場合」と「法律を否決した場合」が書かれており、選択によって報酬が変わります。



新聞カードはプレイヤーボードの右下に重ねて配置します。つまり、もし不道徳アイコンがついた新聞カードを置いていても、その上に不道徳アイコンがないカードを置けば、不道徳な人ではなくなります。どれだけ人の道に外れた人だと報道されていても、その後の報道で上塗りされてしまえば、不道徳な人だというレッテルは無事に剥がれるというわけ。大衆からの人物評は常にマスコミによってクルクルと変わっていくのです。



新聞カードの中には「SNS禁止令」という時事ネタっぽいものも。カードには、どこかで見たことのあるようなロゴが描かれていました。



複合企業タイルに置かれているスーツケースが3つそろうと、大きく世の中が動き始めます。



まず、3つ目のスーツケースを置いた人の手番が終わったら、そのプレイヤーは票トークン2つを袋に入れることができます。ただし、不道徳な人であった場合は票を入れることができず、5ビリーの資金を得ます。



続いて、複合企業タイルに置かれていたスーツケーストークンを共通在庫に戻し、複合企業タイルを裏返します。



市場にあるディスクを動かします。この市場のディスクは資材の相場を表わしていて、余った資材を売る時の価格になります。例えば以下の場合だと、水素とコンピューターチップは1つにつき8ビリーで売れたのですが、相場が変動して1つにつき4ビリーという価格に下落します。



そして、選挙トラックのディスクを2つ動かします。



一度裏返した複合企業タイルでスーツケーストークンが3つ並んだ場合は、その複合企業タイルを場から除去し、脇に置いていた複合企業タイルの山札から1枚引いて配置します。最終的に、複合企業タイルの最後の1枚がゲーム盤に配置されたら、そのラウンドでゲームは終了となります。



◆そして、大統領選挙が始まる

選挙トラックのディスクが一番右に移動すると、ついに選挙が行われます。



選挙が始まると、まずワーカートークンを建物カードの上からプレイヤーボードにすべて戻します。



次に、満足度トークンのある位置に応じて、報酬を受け取ります。ちなみに満足度が中立よりも下回った場合は、ワーカートークンを共通在庫に返さなければなりません。大衆からの満足度が低い政治家からは、大衆の心は離れていくのです。



続いて、最後の手番を実行したプレイヤーから時計回りに、袋から3つずつ票トークンを引きます。



袋から票トークンがなくなるまで、順番に票トークンを引きます。有効得票数は「自分の色の票トークンを自分で引いた数」で決まり、有効得票数が最も高かったプレイヤーから順番に大統領、副大統領、L.A.M.A.(嫌がらせの第一権威)の職位が決定します。これまでのゲームプレイの中で票トークンを袋に入れている数が多いほど、自分の番で自分の色のトークンを引く確率は上がります。しかし、同時に相手が自分の色のトークンを引いてしまう確率も上がってしまいます。票田を集めれば集めるほど有効得票数は増えやすくなりますが、必ずしも票田を多く集めていれば勝てるというわけではなく、大統領になるには綿密な票田集めだけではなく運も重要になるというのが面白いポイント。



各職位カードを受け取ったら、職位カードに書かれている「今すぐ」のアクションを実行します。その後、自分の引いた票トークンのうち、指定の票トークンのものをその色のプレイヤーに返し、残りの票トークンを袋に戻します。システム上、大統領は票のすべてが手元に戻ってきてしまい、逆に副大統領やL.A.M.A.は票田が袋に残るので、大統領に再選されるためには他のプレイヤーよりも必死な票田集めが必要になります。



選挙が終わったら、全員の満足度を中立にリセットします。



そして、選挙トラックのディスクを振り出しに戻します。



職位を得ると、職位アクションを自分の手番の好きなタイミングで1回だけ行うことができます。例えば大統領は、法律カードを1枚引き、施行あるいは否決を選択可能。ただし、新聞カードで不道徳な人であると認定されている場合は、不道徳な法律カードしか引くことはできません。



また、ゲーム中で不正アクションを実行すると、不正トークンを自分のプレイヤーボードに乗せることができます。資金を支払う必要はありますが、いくばくかの勝利点をゲット可能で、さらに選挙の時に有利な行動を取ることができます。例えば、以下は「+1」が書かれた不正トークンを購入したところ。



+1の不正トークンを1つ買っていると、袋から票トークンを引く時に毎回3つずつ引くところを、4つずつ引けるようになります。一度に引ける票トークンの数が増えるということは、自分の色のトークンを自分で引く確率も上がるということ。つまり、自分が大統領に当選する確率もあがるわけで、やはり選挙で有利に進めるためには金をばらまいて不正をすることが重要になります。



◆ゲームの終了

そんな感じで、合間合間に選挙を行いつつ、手番を回しながらゲームをどんどん進めていきます。



最後の複合企業タイルがゲーム盤に置かれたら、その次の手番から各プレイヤーが1回ずつ手番を行い、ゲーム終了となります。



ゲームが終了したら、自分の持っている資金や生産した資材、満足度をすべて勝利点に変換し、ポケットに隠していた勝利点に加えて計算します。



今回のプレイでもっとも勝利点を稼いだのは、なんとゲーム中で2回も大統領に選出されたプレイヤーでした。大統領に選ばれると報酬として勝利点25点をゲットできるほか、法律カードによってかなり有利なアクションを取ることができるため、非常に強力。金をばらまき票田をどんどん集めることで、選挙が終わっても既に次の選挙を見据えるという、まさに政治家らしいプレイが勝利につながりました。



◆プレイした感想

ルールを確認しながらの3人での初プレイでしたが、1プレイにかかった時間はおよそ3時間30分。ただし、最初の選挙が終わった後からはゲームに慣れたので、サクサクと進みました。ボードやカードを広げる都合上、プレイにはある程度の広さが必要で、準備や片付けもやや大変なのもありますが、紙幣型の通貨トークンや票トークン、どこに何を配置すればいいのかわかるようにデザインされたゲーム盤やプレイヤーボードなど、コンポーネントのデザインもよくできており、プレイする上でのストレスが少ないように設計されているのも好印象。

プレイした編集部員からは「こういうゲームは必死に集めた資材が最終的にただ余ってしまうことが多いけど、『プラネットB』はほとんどが勝利点に換算されるので、自分の努力がちゃんと勝利につながるという感じがして気持ち良かった」「運と戦略のバランスが良く、相手を妨害するようなアクションもほとんどないので、自分のやりたいことをちゃんとできているという感覚がよかった」という意見が得られました。カードの内容もブラックだったり現実とリンクしている内容だったりすることもあり、プレイしながら「これってアレのことでは……?」と笑う場面もありました。

特に選挙のシステムは非常に秀逸で、単に袋に入れる票の量に基づいた確率だけでなく、不正を働くことでその確率を操作し、自分に有利になるようにプレイできるというのがポイント。また、勝利点が相手だけではなく自分でも把握しないというシステムになっているので、「相手の得点ばかりが気になって、やってみたいことができない」ということも少ないように感じました。

「プラネットB」はいわゆるワーカープレイスメントというゲームで、実行したいアクションのマスに対しコマを配置していくシステムになっています。ゲーム自体は「自分の手番に指定されたアクションを処理する」だけで、アクションの種類は多いものの、カードやタイルなどにすべてアクションシンボルが書かれており、アクションシンボルの意味さえ把握してしまえばOK。ワーカープレイスメント系のゲームはどうしても重く複雑なゲームである印象がありましたが、「プラネットB」はリソースの面倒な管理が少なく、ワーカープレイスメント系のゲームに慣れていないという人でも遊びやすい作りになっています。

「プラネットB」日本語版の価格は税込1万3750円。Amazon.co.jpでも取り扱われており、記事作成時点で税込1万1049円で購入可能でした。

Amazon.co.jp: アークライト プラネットB (2-4人用 60-180分 14才以上向け) ボードゲーム : おもちゃ



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