Metaが顔認証技術を用いてSNSに投稿されたコンテンツからユーザーの生体認証データを取得していたとしてテキサス州から訴えられていた一件で、Metaがテキサス州に14億ドル(約2140億円)の和解金を支払うことに同意したことがわかりました。14億ドルという和解金は、単一の州が訴訟で得るものとしては過去最大です。

Attorney General Ken Paxton Secures $1.4 Billion Settlement with Meta Over Its Unauthorized Capture of Personal Biometric Data In Largest Settlement Ever Obtained From An Action Brought By A Single State | Office of the Attorney General

https://www.texasattorneygeneral.gov/news/releases/attorney-general-ken-paxton-secures-14-billion-settlement-meta-over-its-unauthorized-capture



テキサス州のケン・パクストン司法長官は2022年2月、テキサス州法で義務づけられているインフォームド・コンセントを得ることなく、数百万人分の生体認証情報を違法に取得したとして、Metaを提訴しました。

問題視されたのは、Metaが2011年に「Tag Suggestions」という名称で実装した機能です。この機能は、ユーザーが写真に写っている人の名前を簡単にタグ付けできるようにすることで利便性を高めることが目的のものでした。

Making Photo Tagging Easier | Facebook

http://blog.facebook.com/blog.php?post=467145887130(Internet Archive)



しかし、Metaは機能が具体的にどのように働くかを説明しないままに実装して動作させ、ほとんどの人が知らないうちに、Facebookにアップロードされた写真に含まれる顔に対して顔認識ソフトウェアを走らせ、人々の顔の情報を取得していました。

テキサス州には生体認証データの取得・利用に関する「Capture or Use of Biometric Identifier Act」(UCBI)という法律があり、生体認証データを取得・利用するに当たっては事前に本人に対して通知を行い、同意を得なければならないことが定められています。パクストン司法長官は、MetaがUCBI法の存在を知りつつ、情報取得を行ったと指摘しています。

提訴から2年が経過した2024年7月、テキサス州とMetaは和解に達しました。和解内容によると、Metaはテキサス州に対して、今後5年間で14億ドルを支払うとのこと。

パクストン司法長官は「Metaが顔認識ソフトウェアを使用して市民のプライバシー権を侵害した一件について、正義を求めて精力的に活動してきましたが、州による訴訟として過去最大規模の和解に達したことを発表できるのを誇りに思います。この歴史的な和解は、世界最大のテクノロジー企業に立ち向かい、法律を破ってテキサス州民のプライバシー権を侵害した責任を問うという、私たちの取り組みの成果を示すものです。テキサス州民の機密データを悪用する行為は、全面的な法の適用を受けることになります」と語っています。