世界中のWindowsがブルースクリーンになったCrowdStrike障害による航空業界への影響とは?
日本時間の2024年7月19日に発生したCrowdStrikeの大規模障害では、850万台のWindows端末が影響を受けて航空業界や病院など膨大な量のシステムが動作不能に陥るなどの甚大な被害を及ぼしていることが報告されています。ソフトウェアエンジニアのジョン・ワイズマン氏が、CrowdStrikeの大規模障害が航空業界に与えた影響を解説しています。
CrowdStrike's Impact on Aviation - heavymeta.org
2024年7月19日に発生したCrowdStrikeの大規模障害は、アップデートの際に問題のあるファイルを配信したことが原因とされています。CrowdStrikeは世界中で事業を展開しているセキュリティ企業で、民間企業や政府機関も顧客に抱えており、アメリカでは大規模障害に伴い多数のフライトの欠航と遅延が発生しました。
以下は障害発生日のアメリカン航空・デルタ航空・ユナイテッド航空の12時間の交通量をフライトレーダーで可視化したもの。障害発生後、次第に航空機の交通量が減少していることが分かります。
12-hour timelapse of American Airlines, Delta, and United plane traffic after what was likely the biggest IT outage in history forced a nationwide ground stop of the three airlines. pic.twitter.com/wwcQeiEtVe— Colin McCarthy (@US_Stormwatch) July 19, 2024
また、2024年7月19日のフライト数は1週間前の7月12日と比べて最大31%も減少していたことが報告されています。特に減少率が高かったのは現地時間午前8時から午前9時の間で、前週の金曜日の378便と比較すると261便しか運行されませんでした。
さらにワイズマン氏は航空会社別の統計を示しており、デルタ航空では障害発生中は前週から46%減となる1087便がキャンセルされたことが報告されています。
アメリカでCrowdStrikeのアップデートが配信された午前4時9分以降、運行されたフライトの数は前週から大きく減少しており、午前7時から午前11時にかけてはほぼ全てのフライトが行われない状況もありました。
ユナイテッド航空の7月19日のフライト数もデルタ航空と同様に前週から減少しており、前週と比べてフライトの数は596便少なくなっています。
しかし、午後2時から午後4時の間には前週を上回るペースでフライトしたことも報告されており、デルタ航空と比べて障害による影響が少なかったことが示されています。
アメリカン航空のフライト数の推移が以下。前週から376便減少しています。
デルタ航空ほどではないものの、アメリカン航空もCrowdStrikeの大規模障害による影響を顕著に受けていることが分かります。
一方でサウスウエスト航空はCrowdStrikeの大規模障害の影響をほとんど受けていません。
午前9時頃に全てのフライトがキャンセルされたものの、その後は平常通りフライトを行っています。
障害発生の前週と比べた航空会社別のフライト数の割合が以下。デルタ航空は46%減、ユナイテッド航空は36%減、アメリカン航空は16%減だった一方、サウスウエスト航空は3%増加しています。ワイズマン氏によると、障害中のサウスウエスト航空のフライト数は前週よりも101便増加しているとのこと。海外メディアのABC Newsによると、サウスウエスト航空はCrowdStrikeを導入していなかったため、今回の大規模障害の影響がほとんどなかったそうです。
ABC NewsはCrowdStrikeの障害がデルタ航空に甚大な影響を及ぼした理由について「個々のコンピューターを手動で修正する必要があり、デルタ航空は膨大な数のデジタル端末を保有しているため、復旧までにかなりの時間がかかった可能性があります」と述べています。