東山義久、三浦宏規

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7月30日(火)、31日(水)にSkyシアターMBSにて植木豪が総合演出を務め、東山義久と三浦宏規が出演するENTERTAINMENT DANCE PERFORMANCE『BOLERO-最終章-』が上演される。開幕を前に、オフィシャルインタビューが到着したので紹介する。

東山義久が主体となり、2013年に1作目、2016年に2作目が上演されたダンスプロジェクトの最終章『BOLERO-最終章-』が7月30日(火)、31日(水)にSkyシアターMBSで上演される。世界的楽曲であるモーリス・ラヴェルの「ボレロ」を題材に、「言葉では表現しきれないほどに神の魅力あふれる、『ボレロ』の世界観を追求したダンスドラマを作り上げることができたら」という思いが込められた同プロジェクト。今回は、舞台『千と千尋の神隠し』で初演よりハク役をつとめた三浦宏規をダブル主演に迎え、より力強いパフォーマンスが繰り広げられる。そんな今作について、東山、三浦に話を訊いた。

東京公演の様子

――7月25日に東京公演を終えられ、30日、31日に大阪公演がいよいよ開催されます。意気込みはいかがでしょうか。

東山:東京公演では1、2作目で培ってきたノウハウを観客の皆様に見ていただけた自信があります。30日、31日の大阪公演では、僕の出身地である大阪のファンの方々に(そういった内容を)見ていただけることを楽しみに思っています。東京公演の初日は、僕を含めキャスト全員が「どういう反応をしていただけるのか」と緊張したのですが、でも万雷の拍手を見たときに「すごいものができた」という確信がキャストそれぞれにもあったと思います。

三浦:義さんは「過去最高の作品ができた」と幕が開く前からおっしゃっていたのですが、僕は「すごいものができた気がするけど、どうなんだろう」と自分的にはお客様の反応を見てみないと分からないところがありました。そのなかですごいカーテンコールとなり、「義さんが言っていたことは間違いなかった」と頼もしさを感じました。

東京公演の様子

――あらためて『BOLERO-最終章-』の見どころを教えていただけますか。

東山:責任元は僕なので、悪いものになっていたら僕のせい。良かったらみんなのおかげだと思って作っています。一人ひとりが主役のつもりで、それぞれが重要なところを担っています。パフォーマーたちのキラメキが見どころではないでしょうか。

三浦:歌も台詞もなくダンスだけで物語を紡いでいき、その果てにラヴェルの楽曲『ボレロ』があります。そういったストーリーを身体表現だけで伝えるというのは、お客様も新鮮な気持ちになるように思えます。言葉がなく、国籍が違ったとしても、ダンスだけで伝えられるものはこんなに多いということを提示できている気がします。

東山義久

――ダンスだけの表現の魅力はどういうところにありますか。

三浦:逃げられない感じがあるところです。決して歌や台詞が逃げというわけではないのですが、ただ自分のキャリアのスタートはダンサーなので、その分、(ダンスを通して)ちょっとしたミスや体の変化がよく分かるんです。『BOLERO-最終章-』では毎公演90分踊りっぱなしなので、どこかしら「ここが良くないな」っていうのが出てきます。それが「己との戦いだな」と思えて、怖さやプレッシャーを感じながら踊っています。

東山:僕は今、ミュージカル、ストリートプレイなどさまざまな舞台に立たせていただいていますが、ダンスの難しさというものは、楽しさにも通じるのですが、オリンピックのように点数がつかないし、競技ではないというところ。跳躍の仕方、ターンの回り方でキャラクターを表現するのが難しさであり、楽しさでもあります。『BOLERO-最終章-』では一つのテーマや物語を作っていますが、僕たちの動き、髪の毛の流れ、指先の出し方から台詞や歌を感じ取ってもらえれば。お客様が100 人いらっしゃれば百様の捉え方をしていただけるところが、『BOLERO-最終章-』のおもしろいところではないでしょうか。

三浦宏規

――お互いの印象はいかがでしょうか。

東山:初めて出会ったのは宏規が15歳のとき。バレエ少年だった宏規が去年(2023年)、『赤と黒』で共演したとき「人って10年経ったらここまで変わるのかな」ってくらい、すごく頼もしくなっていました。今、第一線でやっている宏規ですが、ダンスのことを忘れずに、10年経った今もダンスで話ができる。そうやって10年で培ったものが、たくさんいる同世代の俳優のなかでも頭一つ、二つ抜けている理由ではないでしょうか。芯があるからでしょうし、今回の『BOLERO-最終章-』で宏規からたくさん勉強させていただきます。

三浦:義さんは10年前にご一緒したときは、誰も敵わない圧倒的センターという感じでした。その背中を見続けて10年が経ち、同じチラシに写れているのがすごく嬉しいです。『BOLERO-最終章-』が始まる前、「まだまだお前には負けないからな」と言っていただいて、「そんなことをおっしゃってもらえるんだ」と。出会ったときは僕は少年だったからそんな風にも思っていなかったのですが、10年経って少しは追いつけたのかなって。ただ、義さんは僕が目指している道の最前線にいらっしゃる。ここまでダンスに情熱がある人は出会ったことがありません。技術的な面ももちろんですけど、舞台やダンスにかける姿勢がすごく勉強になりますし、言葉の重みもあります。

――ちなみにお互い、「ここは勝っているぞ」「ここは負けた」と思える部分はどこですが。

東山:だいぶ負けているところばかりです(笑)。僕の方がキャリアが長いところくらいじゃないですか、勝っているのは。踊りの技術も宏規の方が高いですし。でも自分はこれまで振付をし、ソロのシーンや構成、演出もおこなってきたので、ただ歌って踊ってというキャリアというよりも「なにが足りなくて、なにが多すぎるのか」という足し引きなど、舞台を俯瞰で見ることができるところは今の宏規より優っているかもしれませんね。

三浦:僕は、身長ですね(笑)。10年で背も伸びまして。そこは上回らせていただいていますね。

東山:去年久しぶりに会ったら「でっか!」って。

東京公演の様子

――体力を使う舞台でもあると思いますが、どういう風に体の維持をされてきましたか。

三浦:(稽古場の)机の上に健康グッズの数々があって、すごいですよね?

東山:僕はダンス公演が久々だったので、なんとか『BOLERO-最終章-』に向けて雄弁に体で表現するため、かなり節制しました。健康食品も摂り、公演期間中は15、16年お世話になっているトレーナーの方についていただいて、東京公演では開演前に見てもらって。宏規たちも見ていただいて、その人がいなければ公演が無理だったなっていうくらいでした。あと、90分踊るリハーサル自体がトレーニングみたいなものでした。ラストの『ボレロ』は11分あり、それを一回やって、ダメ出ししてもう一回やる気にはなれないくらい追い詰めながらやっているので、それが大きなトレーニングになったと思います。

三浦:自分は朝、トレーナーさんの施術を受けて「ダメだね、足が終わってるね」と言われても、昼公演をやったら全部治っていたりして。踊ったら乳酸が全部取れるみたいなんです。だから僕は、踊れば健康になります。踊ることで疲れが取れるというような“ゾーン”に入っている感覚ですね。

東京公演の様子

――大阪滞在時、楽しみにされていることはありますか。

三浦:公演期間中に、SkyシアターMBSさんが入っている商業施設、KITTE大阪さんがオープンすると伺っています。どんなテナントが入っているのか見て回りたいです。

東山:朝から舞台稽古があるから、今回は見て回る暇はないよ! 僕は大阪出身なので、両親が公演を楽しみにしてくれていて。家の近くの商店にはチラシがめちゃくちゃ飾られていて、近隣の方々が狼煙を上げて来る感じがします。両親が喜ぶ顔が見られるのは嬉しいですね。

――最後に、公演を楽しみにしていらっしゃる方へメッセージをお願いします。

東山:いろんな思いで始めてきた『BOLERO』が最終章で、それを故郷の大阪の地で、そして宏規など大切なメンバーとできることを誇りに思っています。僕たちの最後の『BOLERO』に向かって、キャスト、バンド、スタッフ、カンパニー、それぞれの生命讃歌をご覧いただければと思っています。

三浦:(東京)公演が始まったときはどうなることかと思ったのですが、でも全員ケガもなく無事に終えて、大阪にやって来ることができたのは嬉しく思っています。大阪公演は2日間で3回しかないので、もう体はどうなってもいいかなと。

東山:いっちゃいましょう、やっちゃいましょう。

東京公演の様子

取材・文=田辺ユウキ

チケットはイープラスにて販売中。