夏の旅行「まだ間に合う」格安航空券を探してみた
まだ夏の予定が決まっていない人や、高いからと諦めていた人でも、探せば安い航空券が手に入るかもしれません(写真:Sunrising / PIXTA)
せっかくの夏休みだから、どこかにはでかけたい。だが国内はインバウンド増加などで宿泊費が高騰し、海外は円安の影響もあり、航空券・現地滞在費ともに高くなっている。
明治安田生命保険が7月18日に発表した夏休みに関するアンケートによれば、夏休み中の国内旅行の平均予算は2023年の10万7836円から約27%増の13万7357円、海外旅行は31万2326円から約40%増の43万8125円だった。
お金がかかっても旅行へ行く人がいる一方、「高いから……」と諦めている人も少なくないだろう。
そこで、今からでも予約できる格安航空券について、探し方も含めてまとめてみた。調査した金額は2024年7月22日時点のものであり、その後変化する可能性が少なくないことに留意してほしい。
行き先に強いこだわりを持つことを捨てる
「安い航空券はないですか」と聞かれることが多い。その答えは「行き先へのこだわりを捨てる」ということに尽きる。
帰省や知人を訪ねるなら、行き先を変えようはない。だが、単なる旅行であれば、行き先は自分もしくは同行者の同意さえ得られれば、自由に選ぶことができるはずだ。
お盆の時期に自分の好きなところに行こうとすると、いうまでもなく非常に高いコストを強いられる。だが、そのこだわりを捨てるだけで、旅費はかなり安く済ますことができる。
筆者が勧めたいのは予算の上限を決め、その範囲内で行き先を探すことだ。
筆者がよく利用するサイトに「Google フライト」と「スカイスキャナー」があるが、いずれも行き先を「すべての場所」や「指定なし」にできる。すると、国内も含むすべての行き先が、安い順に表示されるのだ。
たとえば、スカイスキャナーで2024年8月に往復できるところを検索すると以下の画像のような結果となる(7月22日時点)。
スカイスキャナーの検索結果画面(7月22日時点の情報)(画像:編集部)
トップページの目的地の部分をクリックかタップし、「すべての場所から探す」を選択。出発日をクリックかタップし、「日程を変更可能に」とすると、8月など、月単位の最安値で検索できる。
続いて「Google フライト」ではどうか。トップページの「目的地を入力」のところをクリックかタップして「指定なし」を選択。往路と復路の日付を入力し、「探索」をクリックすると結果が表示される。
Google フライトの検索結果画面(7月22日時点の情報)(画像:編集部)
スマホの場合「地図を表示」をタップすると、行き先ごとの金額が示された地図が表示される。さらに「往路」「復路」の日付をクリックかタップすると、右上に「変更可能な日付」が表示される。これを選ぶと月ごとの最安値が表示される仕組みとなっている。
この2つのサイトを使えば、安い航空券が見つけやすい。
国内と海外それぞれの狙い目路線
スカイスキャナーで国内線の料金を見てみると、8月中に羽田・成田から往復1万円台前半でカバーできるのは新千歳・大阪・広島・高松・高知・松山・福岡・大分・熊本・宮崎だった。
週末やお盆前後となると、さすがにどこも高騰する。こうしたなか、ジェットスターの成田発・関西国際空港往復は、8月10日(土)成田発ー8月18日(日)成田着を往復総額2万円強でカバーしていた。
海外はどうだろうか。
韓国・フィリピン・台湾なら往復総額2万円台、タイ・ベトナム・シンガポール・マレーシアなら3万円台とかなり安い。さらに東南アジアの多くの都市は2024年7月下旬現在、東京よりもおおむね涼しい。もはや東南アジアに避暑に行く時代すら来ているのかもしれない。
もう少し遠くまでと考える人におすすめなのが、アラブ首長国連邦のドバイだ。中国東方航空が上海経由で往復5万円台からカバーしている。
ドバイ(写真:Santiaga / PIXTA)
本格的な避暑地を目指すなら、南半球のオーストラリアだろう。南西部のパースへは、シンガポール航空のLCCであるスクートが往復5万円台後半〜だ。
スクートの機体(写真:dolphin / PIXTA)
帰りはシンガポールで一晩過ごすことになるため、体力を回復することができる。なお、パースの8月の平均気温は最低で10度、最高で19度ほど。やや肌寒いだろうが、日々酷暑に耐えている体にはありがたいと感じるだろう。
実は航空券が安いハワイとパリ
高い高いと言われ続けているハワイも航空券そのものは実はそれほど高くない。
たとえば8月27日(火)成田発のホノルル行きで、8月31日(土)成田着のZIPAIRなら往復7万5000円台。現地滞在はコンドミニアムにして、食事も自炊などで済ませば、ハワイの物価高騰にもなんとか対応できるだろう。
食事代も高いハワイ。滞在中は自炊やスーパーで買ってきたもので済ませる日本人旅行客が増えているようだ(写真:HANA / PIXTA)
ZIPAIRはJAL系列のLCCだが、直行便で所要時間もフルサービスキャリアと変わらず、機内サービスも機内食が提供されないことを除けば大きな違いはない。
意外さという意味でいえば、パリも比較的安い。
たとえば8月8日(木)羽田発・8月19日(月)羽田着のパリ往復(中国東方航空)は総額で12万円台前半。行き帰りに上海で1泊ずつ泊まる必要があるので、時間に余裕がある人向けにはなるが、無料かつビザなしで上海観光もできるという見方もある。
中国東方航空の機体(写真:kanno34 / PIXTA)
中国東方航空は、ニュージーランドのオークランド行きも安く、8月29日(木)羽田発・9月2日(火)羽田着で7万9000円台となる。オークランドも冬となるので、避暑地の選択肢として有力といえるだろう。
バリ島までビジネスで15万円台
安いのはわかったけれど、エコノミーに長時間乗るのはつらい……という人におすすめなのが、香港航空の成田発デンパサール(バリ島)ビジネスクラス往復だ。8月29日(木)成田発・9月6日(金)成田着で往復総額15万円強。
同日の同航空のエコノミークラスは6万8000円程度。差額は8万円強となるが、香港経由で、ビジネスクラスに4フライト乗ることになるので、1区間2万円強でアップグレードできたと考えるとかなり割安ともいえる。
なお、東南アジア各都市へはマレーシア航空もビジネスクラスで15万円台からカバーしており、ビジネスクラスユーザーとしては有力な選択肢となりそうだ。
海外旅行はファーストクラスじゃないと、という富裕層におすすめなのが、ブリティッシュ・エアウェイズの羽田発ローマ往復だ。
総額76万6000円もするが、エールフランス航空やエミレーツ航空なら159万円台、ルフトハンザドイツ航空なら229万円台なので、それらに比べれば、むしろ“格安”に感じられるかもしれない。
さらに、マイレージをアラスカ航空のマイレージプログラム「マイレージプラン」に加算すると、往復で合計約5万8000マイルを獲得できる。
6万マイルあれば、羽田から上海までのJALビジネスクラスや成田からスターラックス航空のビジネスクラスで台北まで2往復できる。その2回分の航空券代に近いマイルが、一度のフライトで貯まることを考えると、夏休みの航空券代として、必ずしも「高すぎる」とは言い切れないのではないだろうか。
(橋賀 秀紀 : トラベルジャーナリスト)