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なんだか最近、「スーパーヒーロー疲れ」「マーベル疲れ」と言われ気味な(MCU)。以前のように大ヒットが生まれにくくなり、ここ数年は苦戦を強いられている。

そんなMCUを救っちゃうかも?と期待されているのは、まさかのR指定クソ無責任ヒーロー、“俺ちゃん”ことの最新作『デッドプール&ウルヴァリン』(2024年7月24日公開)だ。これまで旧20世紀フォックスの『X-MEN』ユニバースで大暴れしていた俺ちゃんだが、会社が大人の事情でディズニーに買収されたため、MCUにまさかの殴り込み参戦決定。おまけに『LOGAN/ローガン』(2017)で引退したはずのウルヴァリン役ヒュー・ジャックマンまで引き連れて、奇跡のMCUデビューを果たす。

というわけで今回は、デッドプールがこれまでにやらかした数々の“伝説”を振り返る総集編をお届けしよう。これを読めば、「こんな奴がディズニーに加わって大丈夫なのか……」と困惑されること請け合いだ。『デッドプール&ウルヴァリン』を観る前でも観た後でもどうぞ。

俺ちゃん映画で大暴れ伝説

『デッドプール』(2016)

(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

そもそも『デッドプール』は映画一作目も奇跡のような成り立ちだ。主演ライアン・レイノルズは2009年の『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』でデッドプール役を演じていたが、原作設定を改悪したとしてファンから大ブーイングを受けた。今度はコミックに忠実な形で映画化したいと考えたレイノルズはデモ映像を制作。これが流出するとネットで大評判となり、20世紀フォックスは企画にゴーサインを出した。

2016年に公開された『デッドプール』が画期的な点はいくつもあるが、オリジン映画(ヒーローの誕生を描く物語)なのに、映画の冒頭から俺ちゃんがいきなりヒーロー姿で登場するところも型破りだった。先に派手なアクションをたっぷり見せて惹きつけてから、どうやってスーパーパワーを得たのかを振り返るというトリックを使ったのだ。

もちろん最大の見所は、過激なR指定のヒーロー映画であるということ。MCUや『X-MEN』シリーズではまず扱えないような暴力描写や下ネタ、ベッドシーンもなんでもアリ。さらにデッドプールは自分が映画の中の存在であることを自覚していて、“第四の壁”を破って直接観客に語りかけてくる。“ズッ友”ヒュー・ジャックマンのことは、この時からイジっていた。こんなヒーロー映画、誰も見たことがない!ということで映画は大ヒット。勢い余って、うっかりR指定として(当時)史上最高の興行収入を叩き出してしまったのだ。

『デッドプール2』(2018)

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

続編『デッドプール2』では、俺ちゃんのクソ無責任ヒーローぶりがさらにパワーアップ。製作予算も前作から約2倍に増え、新キャラクターやVFXも増量。予告編では、ダークな世界観を醸し出す未来戦士ケーブルを相手に放った「シリアスすぎる DCユニバース出身かよ」とのツッコミで爆笑をかっさらう。さらに本編では、ケーブル役のジョシュ・ブローリンが『アベンジャーズ』のラスボスことサノス役も演じていることをイジるメタ発言も登場。また、ライアン・レイノルズの『グリーン・ランタン』(2011)や『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』を自虐するギャグや、『ブレイド3』(2004)で披露した剣術アクションのセルフパロディまで登場。ついつい大ヒットしてしまい、これまたR指定映画として当時の歴代最高をちゃっかり記録した。

ちなみに、この『デッドプール2』には『デッドプール&ウルヴァリン』に繋がるポイントがあるので、これだけ押さえておこう。『デッドプール2』では恋人ヴァネッサと、俺ちゃんの愉快な仲間たちが死んでしまう。デッドプールはケーブルから拝借したタイムマシンを私的乱用して過去を書き換えるのだが、どうやらこの行為が「タイムラインを乱した」として、時間変異取締局TVAに目をつけられてしまうようだ。

X(Twitter)がうるさい

デッドプールのX公式アカウントでは、デッドプールが意思を持っている。日頃から映画同様の調子で、どうでもいいことを呟きまくっている。公式がツイ廃。たまにTHE RIVERのアカウントにも絡んできてうるさい。あと、なぜか日本版もアメリカ版も、ハロー・キティのアカウントだけを唯一フォローしている。キティちゃんが好きだかららしい。

YouTubeもやりたい放題で草

デッドプールは自分が映画のキャラクターだと自覚しているので、自ら尖りまくった宣伝活動をするのがお馴染み。YouTubeでは、自虐ネタからやりたい放題のパロディネタ、著名人イジりまで何でもアリ。おそらくデップー、YouTuberとしても相当に優秀である。

黒歴史を自らネタにしていくスタイル

デッドプール(ライアン・レイノルズ)がこれまで色々あった黒歴史を自らネタにする前代未聞の動画。2009年『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』で原作と全然違う姿で実写化されて大炎上した件、ライアン・レイノルズが2011年に主演したDC映画『グリーン・ランタン』がコケた件を自虐したのち、ついに公開にこぎつけた2016年の1作目が大ヒットしたことを振り返っている。続編『デッドプール2』では「それなりの俳優」「ほどほどな予算」「無名な方のX-MEN数名」で「予算を抑えた」とぶっちゃけ。映画を売る気があるのかないのか、よくわからん。

無謀にも『インフィニティ・ウォー』をイジる

『デッドプール2』の宣伝では、ちょうど公開されたばかりの『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』をイジった。「ヒーロー全滅映画 鑑賞中」として俺ちゃんがヘラヘラしながらポップコーンをモリ食い(マスク越しにどうやって)するこちらの動画、概要欄には「俺ちゃん以外のヒーロー、ガチ全滅してるけど地球大丈夫?」と書かれている。なお、この動画の掲載は『インフィニティ・ウォー』日本公開当日である4月27日。お前これ普通にネタバレやないか。

その後、マンチェスター・ユナイテッドとコラボした動画でも『インフィニティ・ウォー』に対抗。「前作の2倍宣伝しないと『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に勝てない」と張り合っている。さすがに『インフィニティ・ウォー』と戦うのはやめとけ。

おヒューの『グレイテスト・ショーマン』に対抗意識

ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンをイジり倒してきたデッドプール。彼の主演作『グレイテスト・ショーマン』(2017)が公開されて社会現象的な大ヒットとなると、なぜか一方的なライバル心を燃やして『デッドプール2』を「ミュージカルに変更した」とかいう嘘すぎる嘘をついている。

ベッカムさんに公開謝罪と見せかけて煽り散らかす

1作目『デッドプール』の劇中で、いきなり何の脈絡もなく「声が変だよね」といじられてしまった世界的サッカー選手のデビッド・ベッカム。どうやらベッカムさんも若干傷ついていたらしく、ベッカム邸にデッドプールが詫びに訪れる公開謝罪映像が登場。謝罪と見せかけてさんざん煽り散らかしたデップーだが、逆にベッカムからライアン・レイノルズの黒歴史映画の数々をイジり返され、撃退される。

ガチの歌姫セリーヌ・ディオンとコラボ

『デッドプール2』の主題歌は、ライアン・レイノルズと同郷カナダ出身でガチの世界的歌姫、まさかのセリーヌ・ディオンの「Ashes」だ(いくら積んだんだ?)。言わずと知れた『タイタニック』愛のテーマこと「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」で知られる、洋楽界のラスボス。当時セリーヌ・ディオンにとって1年2ヶ月ぶりとなる新曲としてリリースされたこの楽曲、お下品ネタ満載の『デッドプール2』には似合わないほどの、やたらと荘厳な神曲だ。

セリーヌがその圧倒的美声を響かせながら、ステージで威厳たっぷりに歌い上げる姿は鳥肌モノなのだが、周りでデップーが『フラッシュダンス』よろしくプリケツを目立たせながらチョロチョロ踊っていて完全に邪魔。さらにMVの最後では「もう一回やり直そう!ちょっと良すぎた。これは『タイタニック』じゃなくて『デッドプール2』の曲。10点満点中11点だったけど、もっと5点か5.5点くらいでいいんだよね」とド失礼をかましている。ちなみにセリーヌの方はデッドプールのことを終始スパイダーマンだと勘違いしていた模様。

みんな大好き「ボブの絵画教室」をお下劣パロディ

かつて日本でもNHK BS1(相手は国営やぞ)で放映された人気テレビ番組「ボブの絵画教室」をデッドプールがパロディ。「ボブの絵画教室」といえば、優しげな画家のボブ・ロスさんが「ね?簡単でしょう?」と言いながら、実際そこまで簡単そうには見えない画術で芸術的な絵を短時間で仕上げる様が見どころだった。

このパロディ動画では、デッドプールがボブさんに扮し、本家さながらの(眠気を誘う)ウィスパーボイスと共に登場。筆を取ってキャンパスに向かうと、「シゴく」「おしっこ色」などと、とんでもねぇワードを言いながら描画を開始。次の瞬間にはなぜか突然美しい雪景色の絵が仕上がっている。その後も「白い粉」「コカインLOVE」「キマってきた」「もう一回シゴく」とか言いながら番組を進めている。一回ちゃんと怒られろ。

大人の事情を無視して勝手にMCUと合流する

『デッドプール』のX-MENユニバースとMCUの本格合流は、これまでファン最大の夢だった。2021年7月、まだ我々が「ワンダヴィジョン」クイックシルバーで肩透かしを喰らっていた直後のこと、デッドプールは映画『フリー・ガイ』というライアン・レイノルズが主演しているだけでマーベルとは関係のない映画(めちゃくちゃ面白い映画)の宣伝に勝手に登場。『フリー・ガイ』予告編のリアクション動画ということで、なんとシリーズのコーグを連れてきたのだ。

MCUキャラとX-MENキャラの本格(?)共演はこれが初。史上初の革命的クロスオーバーを、“俺ちゃん”と“俺っち”がさらっとやってしまったのだ(ちなみにコーグ役は『フリー・ガイ』に出演の映画監督タイカ・ワイティティ)。

動画の中でデッドプールは、「MCUに出演するコツ」をコーグに聞いたり、どさくさに紛れて『マイティ・ソー2』をディスったりしている。ダーク・ワールドくん……。

何でもアリのパロディポスターで勝手にコラボ

X上では、様々な映画やドラマのパロディ画像で勝手にコラボするのがお決まり。あんな作品やこんな名作まで、デップーの標的となればご覧の有様である。

ワンダーウーマン

バットマンの日

セイ・エニシング

127時間

エイリアン3

ゲーム・オブ・スローンズ

ウォーキング・デッド

フラッシュ・ダンス

ちなみに『デッドプール&ウルヴァリン』最新作では、『美女と野獣』を堂々とパロディ。俺ちゃんと爪野郎、「真実の愛」ってコト?

(c) 2024 20th Century Studios / (c) and 2024 MARVEL. まぁ、なんだかんだ言って、結構いい奴なんだよな、知らんけど

さて、ここまで散々デップーの自由人ぶりを紹介したが、実は結構“いい奴”であるということは、あまり語られていない。デップーことウェイド・ウィルソンには、意外にもエモーショナルで人情深いところもあるのだ。一応、最後に触れさせていただきたい。

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1作目『デッドプール』で描かれた傭兵時代には、困っている女の子を助けながら「女の子からお金は取れない」として無償で活動する一幕もあった。親友から「お人好しの傭兵」と揶揄われるほどだ。好き勝手暴れている傍若無人なキャラクターかと思えば、そんな紳士な一面も持ち合わせている。

後に末期ガンで長くは生きられないとわかると、映画は「余命モノ」感動作のような湿り気を帯び、ウェイドが感傷的なセリフを漏らす瞬間もあった。そもそも彼がデッドプールとなる人体実験に参加したのも、末期ガンを克服して愛する恋人ヴァネッサと一緒にいたかったからだ。

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

不死身で無敵の俺ちゃんであるが、『デッドプール2』では恋人ヴァネッサを失うと打ちひしがれ、自死を試みるほど傷ついている。さんざん悪態をついていたコロッサスにもマスクの下の苦悩を曝け出すなど、人間臭いところも見せている。

さらに、ミュータントの少年ラッセルが危険な力とともに暴走すると、デッドプールだけは武力制圧ではなく話し合いでの解決を試みた。最後までラッセルを信じて救うことにこだわり、友愛と自己犠牲を貫くと、クライマックスには謎の感動をもたらしている。

もしもデッドプールがただ過激でお下品なだけのR指定ヒーローだったら、きっとここまで愛されることもなかっただろう。そこにはきちんと愛や人間性があって、予想外の共感やビタースウィートな後味を残してくれるからこそ、ファンは彼に惹かれ、夢中になっているのだ。新しい『デッドプール&ウルヴァリン』でも、愛すべきデッドプールの素晴らしい魅力がふんだんに描かれているに違いない。いやー、デッドプール最高!ステキ!絶対に観に行くよ!

(c) 2024 20th Century Studios / (c) and 2024 MARVEL. ---

映画『デッドプール&ウルヴァリン』は2024年7月24日(水)、世界最速公開。(……おいデッドプール、言われた通り、ちゃんと褒めておいたぞ!これでいいんだよな?約束したカネは例の口座に振り込んでおいてくれ!)

Supported by ウォルト・ディズニー・ジャパン

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