「ラーメン登竜門」に憧れた店主の一杯「山椒味噌変化」 父の想いを繋ぐ準優勝「らーめん愉悦処 鏡花 八王子想庵」の味のヒミツ“味噌玉”とは
新横浜ラーメン博物館(横浜市)は2024年3月6日、オープンから30年の節目を迎え、31年目の新たな一歩を踏み出しています。30周年企画の一環で、2月からはラーメン職人の潜在能力や新たな才能を発掘するラーメンコンテスト「佐野実メモリアル ラーメン登龍門2024」を実施。6月2日に最終選考(決勝戦)が行われ、上位3店がラー博に順次出店します。7月18日から登場するのは、準優勝の「らーめん愉悦処 鏡花 八王子想庵」。新横浜ラーメン博物館の協力を得て、同店の紹介記事を「おとなの週末Web」でも掲載します。
岩岡洋志・新横浜ラーメン博物館館長のコメント「父が果たせなかった夢を息子さんが勝ち取った」
第3位の「手打麺 あお井」さんもドラマティックな出店でしたが、準優勝の「鏡花」さんも凄いのです。
コラムにも書きましたが、今回準優勝した町田将一さんのお父様は25年前の第1回大会に出場されました。当時お父様はラーメン店ではない中、3次審査の10名まで残られました。そして、この大会を機に会社を辞められ、ラーメン店を始められております。2000年に創業されましたので、来年で25周年を迎えられます。今では「鏡花」と言えば、ラーメン通の人で知らない人はいないほど有名なお店となりました。
その父が果たせなかった夢を23歳の息子さんが勝ち取りました。そしてラー博出店期間中、お父様も厨房に立たれるとのことで、私としても本当に嬉しい限りです。
息子さんは今大会のラーメンに関して「あえて父からの助言を遮り、自分の力で勝負したい」と言われておりましたが、こうしてお父様のために舞台を用意できるというのが素晴らしいです。11日間という限られた期間ではありますが、親子の競演を是非見て・味わっていただければと思います。
■準優勝「らーめん愉悦処 鏡花 八王子想庵」出店情報
出店期間:2024年7月18日(木)〜28日(日)
場所:新横浜ラーメン博物館地下1階(第3位「手打ち麺 あお井」跡地)
日本料理の修業を経て、父親が開業したラーメン店「鏡花」へ
店主の町田将一さんは2000年、東京都生まれ。高校卒業後の約1年間、銀座の日本料理店で修業後、父が創業したラーメン店「鏡花(きょうか)本店」へ。
2022年6月には、東京都八王子市に「らーめん愉悦処 鏡花 八王子想庵」を開業。「美味しいらーめんを通してお客様に満面の笑顔で幸せな気持ちになってもらいたい」をモットーに、魅力的なラーメンを作り続けています。
町田さんの父、町田恵一さんは、1999年に開催された第1回ラーメン登竜門にエントリーしました。第1回大会にエントリーしたのは計344名。町田さんは、1次の書類審査、2次の面接審査(30名)を通過し、3次の審査員試食(10名)まで残られました。
当時、町田恵一さんは36歳。経営コンサルタントの仕事をされている中「闘争の対象としてこれからの人生をラーメンに託す」と会社を辞め、ラーメン店を開業する決意で大会に臨まれました。
そして、その1年後の2000年6月、東京・立川に「らーめん愉悦処 鏡花」を開業し、来年25周年を迎えます。
店主・町田将一さんが語る「ラーメン登龍門出場」への想い
先に述べましたように、父が25年前出場し、惜しくも準決勝で敗退し、夢はかないませんでしたが、あの時父が出場していなければ、もしかしたら自分もラーメンをやっていなかったのではないかと考えるようになりました。まだまだ未熟ものではありますが、父の果たせなかった夢を叶えたいという想いがあり、開催を知りすぐに出場することを決めました。
また今回の大会から〜佐野実メモリアル〜という副題がつきましたが、父が佐野実さんから学んだことをよく聞いておりましたので、ぴったりだとも思いました。佐野実さんから父へ、父から自分へ伝えられている大切な考えや価値観にもリスペクトを持ち、父が参戦したこのステージで25年経った今、最高の一杯を作りました。
店主が語る渾身の一杯「山椒味噌変化」の魅力
出場を決めてから最初の1カ月は”伊勢うどん”をイメージし、「あやひかり」(小麦品種)100%のもっちり極太のやわらかい麺で試作していましたが、相性やラーメンらしさがイメージとは違いましたので、最終的には「ゆめちから」(同)のコシと「春よ恋」(同)、「ナンブキラリ」(同)のモチモチ感が同居する麺に辿り着きました。味噌の旨味に負けない国産小麦の良さを最大限に生かした中太ストレート麺です。
スープは味噌の旨味にも負けない・逃げない、それでいて国産小麦の風味と旨味が生きるような鶏清湯をコンセプトに考えました。
使用する鶏は“佐野実メモリアル”ということもあり、山水地鶏や名古屋コーチンを主体に使用し、ブレンド重層式の考えを大切に旨味の強いスープに仕上げました。
中央に位置する “味噌玉”は風味豊かな麦味噌とコクのある米味噌、上品な西京味噌をブレンド。溶かしながら味わいの変化が楽しめます。
具材は香り高い和歌山県産ぶどう山椒と和山椒香油がアクセントとなり、西京味噌で漬け込んだ吊るし焼きのチャーシューは絶品です。
“味噌玉”の中には戻した椎茸をみじん切りにしたものと挽肉が入っているため、溶けだしたときに途中から具材へと変化します。
「父が果たせなかったラー博出店の夢が叶った」
もちろん優勝を目指して準備を進めてきましたので、悔しさはあります。ただ準優勝という評価をいただいたことは大変嬉しいですし、自信にもなりました。
新横浜ラーメン博物館に出店するという父が果たせなかった夢が叶ったことは何よりも嬉しいですし、期間中、父もこの舞台に立ち、親子で楽しみながらラーメンを作れればと思っております。
手前味噌ですが、最高の親孝行になるのではないかと思っております。
そして自分としてはまだ早い話ではありますが、第3回大会にもエントリーし優勝できるよう、さらに経験と技術を身につけたいと思っております。
期間終了後は、是非本店にお立ち寄りください。
■「らーめん愉悦処 鏡花 八王子想庵」
住所:東京都八王子市中町7-9 中町ビル1F
https://tabelog.com/tokyo/A1329/A132904/13272507/
■「らーめん愉悦処 鏡花立川本店」
住所:東京都立川市柴崎町2-12-20
https://tabelog.com/tokyo/A1329/A132901/13005986/
『新横浜ラーメン博物館』の情報
住所:横浜市港北区新横浜2-14-21
交通:JR東海道新幹線・JR横浜線の新横浜駅から徒歩5分、横浜市営地下鉄の新横浜駅8番出口から徒歩1分
営業時間:平日11時〜21時、土日祝10時半〜21時
休館日:年末年始(12月31日、1月1日)
入場料:当日入場券大人450円、小・中・高校生・シニア(65歳以上)100円、小学生未満は無料
※障害者手帳をお持ちの方と、同数の付き添いの方は無料
入場フリーパス「6ヶ月パス」500円、「年間パス」800円
※協力:新横浜ラーメン博物館
https://www.raumen.co.jp/