HPから登場した「OmniBook X AI PC」は、ローカルでのAIワークロード実行に適したCopilot+ PCであり、QualcommのPC向けSoCである「Snapdragon X Elite」を搭載しています。HPのCopilot+ PCがどれほどの性能を持っているのか、14インチモデルの「OmniBook X 14 AI PC」で各種ベンチマークを実行して確かめてみました。

HP OmniBook X AI PC | 日本HP

https://www.hp.com/jp-ja/laptops-and-2-in-1s/omnibook-x-ai-pc.html

「OmniBook X 14 AI PC」の外観やサイズ、キーボード配列の特徴などについては以下の記事で説明しています。

ローカルでのAIモデル実行に適したHPの14インチCopilot+ PC「OmniBook X 14 AI PC」フォトレビュー - GIGAZINE



Snapdragon X Eliteは最大3.8GHzのCPUコア「Qualcomm Oryon」を12基、最大4.6TFLOPsのGPU「Qualcomm Adreno」、4.45TOPsの演算能力を誇るNPU「Qualcomm Hexagon」を実装したArmベースのPC向けSoCです。MicrosoftのCopilot+ PCは「40TOPS以上のNPUを持つ組み込みプロセッサあるいはSoC」「RAM 16GB DDR5/LPDDR5」「256GB SSD/UFS以上のストレージデバイス」の3点が最小要件となっており、記事作成時点ではSnapdragon Xシリーズのみが40TOPS以上の要件を満たしており、OmniBook X 14 AI PCにもSnapdragon X Eliteが搭載されています。

◆スペック情報

まずは「CPU-Z」を使ってCPUの情報を確認してみました。搭載CPUは「Qualcomm Snapdragon X Elite」で、12コア・12スレッドという構成。GPUは「Qualcomm Adreno GPU X1E」でした。



なお、GPUのモデル名やメモリ容量をチェックするための無料アプリ「GPU-Z」は、OmniBook X 14 AI PCでは使用できませんでした。



続いてストレージ情報を「CrystalDiskInfo」で確認。搭載されているストレージはKIOXIA製の1TBSSD「KBG50ZNV1T02」です。



タスクマネージャーでNPUを見ると、「Qualcomm Hexagon NPU」となっていました。なお、搭載しているメモリは16GBです。



◆ベンチマーク

続いて、各種ベンチマークソフトで測定を行っていきます。まず「CrystalDiskMark」でストレージの読み書き速度を計測すると、シーケンシャルリードが「3397.82MB/s」、シーケンシャルライトが「2957.18MB/s」、ランダムリードが「323.15MB/s」、ランダムライトが「479.55MB/s」でした。なお、Microsoftから登場したSnapdragon X Elite搭載Copilot+ PCの「第7世代Surface Laptop」は、シーケンシャルリードが「3659.83MB/s」、シーケンシャルライトが「2937.89MB/s」、ランダムリードが「374.96MB/s」、ランダムライトが「463.13MB/s」となっていました。



「CrystalMark Retro」でCPUのシングルコア性能、マルチコア性能、ストレージの読み書き性能などを測定しました。その結果、全体スコアは「3903」、CPUシングルコアスコアは「7529」、マルチコアスコアは「80642」、シーケンシャルリードは「25311」、シーケンシャルライトは「22965」でした。



定番ベンチマークアプリの「Geekbench 6」でも測定を実施しました。まず、CPUのベンチマーク結果はシングルコアスコアが「2332」、マルチコアスコアが「12993」。



シングルコアのスコア詳細はこんな感じ。



マルチコアのスコア詳細は以下の通りとなっています。



続いてGPUのベンチマーク結果。OpenCLのスコアは「20069」でした。



OpenCLのスコア内訳はこんな感じ。



Vulkanのスコアは「22974」。



Vulkanのスコア内訳が以下です。



次はCPU・2D・3D・メモリ・ディスクの5項目でベンチマーク測定を行い、総合スコアを算出する「Passmark PerformanceTest V11」でテストしてみました。x86版だけでなくARM版もありますが、ARM版は使用例が少なくその他のユーザーのベンチマーク結果と比較しにくいため、今回はx86版とARM版の両方を実行します。

まずはx86版の結果。総合スコアは「3742」、パーセンタイルは42%でした。



過去にGIGAZINE編集部で実行したベンチマーク結果のログを引き出して、「Surface Laptop 5」と「Dell XPS 13/14」、そして同じくCopilot+ PCである「ASUS Vivobook S 15」と「第7世代Surface Laptop」のスコアを比較してみました。



CPUスコアは「14091」、パーセンタイルは53%です。



「Surface Laptop 5」「Dell XPS 13/14」「ASUS Vivobook S 15」「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較するとこんな感じ。



2Dグラフィックスのスコアは「356」で、パーセンタイルは30%。



「Surface Laptop 5」「Dell XPS 13/14」「ASUS Vivobook S 15」「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較したグラフ。



3Dグラフィックスのスコアは「2690」で、パーセンタイルは31%となっていました。



「Surface Laptop 5」「Dell XPS 13/14」「ASUS Vivobook S 15」「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較したグラフ。



メモリスコアは「2381」、パーセンタイルは34%。



「Surface Laptop 5」「Dell XPS 13/14」「ASUS Vivobook S 15」「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較するとこんな感じ。



ディスクスコアは「26255」、パーセンタイルは83%でした。



「Surface Laptop 5」「Dell XPS 13/14」「ASUS Vivobook S 15」「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較したグラフが以下です。



続いてARM版でテストしました。総合スコアは「3674」で、同ソフトを使ったベンチマーク結果全体の中でどの位置にあるかを示すパーセンタイルは40%となっています。



同じくSnapdragon X Elite搭載のCopilot+ PCである「ASUS Vivobook S 15」と「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較したグラフが以下。



CPUスコアは「23814」、パーセンタイルは77%とかなり高めです。



「ASUS Vivobook S 15」と「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較したグラフがこれ。



2Dグラフィックスのスコアは「375」で、パーセンタイルは31%。



「ASUS Vivobook S 15」と「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較したグラフ。



3Dグラフィックスのスコアは「2170」で、パーセンタイルは25%。



「ASUS Vivobook S 15」と「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較したグラフ。



メモリスコアは「3334」、パーセンタイルは79%と高めの結果に。



以下が「ASUS Vivobook S 15」と「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較したグラフとなっています。



ディスクスコアは「26364」で、パーセンタイルは80%でした。



「ASUS Vivobook S 15」と「第7世代Surface Laptop」のスコアと比較したグラフが以下です。



最後にスクウェア・エニックスが提供している「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を使ってみました。なお、このベンチマークが対応しているのはWindows 7/8.1/10であり、Windows 11には対応していません。最大負荷がかかる「画質:高品質」「解像度:3840×2160」「ウィンドウ:フルスクリーン」でベンチマークを実行した結果が以下の通り。スコアは「764」、評価は「動作困難」という結果になりました。



解像度を「1920×1080」にして再度実行してみると、スコアは「1451」、評価は「動作困難」。やや改善されたものの、快適なプレイとは言いがたい結果となりました。



引き続き、バッテリー持続時間や熱、騒音などの測定を行っていきます。

<つづく>