最強KOボクサー中谷潤人がまたパンチ力UP 世界驚愕KOへスタイル改良「力まずダメージを与える」
中谷潤人が練習公開
ボクシングのWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M.T)が10日、同級1位ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)との初防衛戦(20日、東京・両国国技館)に向け、神奈川・相模原市内の所属ジムで練習を公開した。派手なKOを量産してきたが、パンチ力UPを重視。新たな階級でも世界を驚かせるKOを届けていく。戦績は26歳の中谷が27勝(20KO)、27歳のアストロラビオが19勝(14KO)4敗。
中谷がまたも強さを増している。この日はシャドー1回、サンドバッグ打ち1回の軽めの練習。冷房の効いた室内でも最初の3分だけで汗が溢れ、体調の良さを窺わせた。減量は残り3キロ。「水分を摂りながら汗が出ています。肌つやが良いと周りにも言われるし、良い調整ができている。スピード感もパワーも増したので、バンタム級によりフィットできている」と手応えを口にした。
2月に6回TKO勝ちでアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)から王座を奪い、井上尚弥、田中恒成に続く日本人3人目の「全勝世界3階級制覇」を達成。37戦目の王者にキャリア初のKO負けを与えた。世界で最も権威のある米専門誌「ザ・リング」の階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」において、日本人では2位の井上に次ぐ10位に入った。
今月3日に約40日の米ロサンゼルス合宿から帰国。現地ではスパーリング90回と自身にとっては少なめにした一方、サンドバッグ打ちを増やした。「力強く打つことにフォーカスした。力強いパンチでKOをお見せしていきたいので」と意図を説明。重心を低くし、下半身を安定させてより強い一発を放つスタイルに。「力みが強いとよくない。打つというより(拳を)投げていくイメージ」と解説した。
「上体が高いと相手のパンチも効きやすくなる。どういう状況でも強く打てるようにスタミナもつけた。より力まずに相手にダメージを与えられています」。強さを増し、帰国後は計31回を消化。しかも1日12回をやった後、米国にいる名トレーナーのルディ・エルナンデス氏から「ネクスト1回」とリモートで追加を指示されたという。
日本人同士の統一戦実現へ「皆さんが納得のいく試合にしたい」
相手のアストロラビオは2022年2月に元世界2階級制覇王者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)に10回判定勝ち。昨年5月のWBO世界バンタム級王座決定戦ではジェイソン・マロニー(オーストラリア)に敗れたが、挑戦者決定戦を制し、再び世界戦にたどり着いた。
長いリーチによる遠距離、腕を小さく畳んで放つアッパーなどで近距離も得意とする中谷は、「パワーパンチを振ってくるイメージ。気をつけながら自分のボクシングをハメていく。左フックも振ってくるので、それを意識した上で打っていきたい」と想定。「圧力をかけてくる選手。しっかり止めてやりたいことをしたい」とリング上を支配する。
中学卒業後に単身渡米。当時から親友のアンソニー・オラスクアガ(米国・帝拳)が今回の興行でWBO世界フライ級王座決定戦に臨む。ロサンゼルスで一緒に合宿し、帰国後は中谷宅で過ごす。オラスクアガはこの日の公開練習にも顔を出し、中谷は「凄く楽しくやってますよ」と笑った。
バンタム級は中谷のほか、WBAに井上拓真、IBFに西田凌佑、WBOに武居由樹が就き、全4つの王座を日本人が保持。統一戦実現へ、陣営の村野健会長は「内容が問われる」と指摘した。中谷も望むところだ。
「この試合に集中していますけど、よりビッグファイトを期待してもらえるような内容にしたい。もちろんKOを期待してもらっているし、ただKOするのではなく、いいパフォーマンス、いい状態で皆さんが納得のいく試合にしたい。階級を上げても海外でも求められるような試合にしたい」
昨年5月の試合はリング誌など海外の各メディアで「年間最優秀KO賞」に選出され、世界的評価を高めた。階級を上げても戦慄を走らせるKOへ、高い意識を見せた。
○…興行はトリプル世界戦。中谷のほか、WBO世界スーパーフライ級王者・田中恒成(畑中)が同級12位ジョナタン・ロドリゲス(メキシコ)と初防衛戦を行う。WBO世界フライ級王座決定戦では、同級2位・加納陸(大成)と同級3位アンソニー・オラスクアガ(米国・帝拳)が対戦。ボクシング転向4戦目の那須川天心(帝拳)がジョナサン・ロドリゲス(米国)とノンタイトル10回戦に臨む。「Prime Video presents Live Boxing」の第9弾として、Amazon プライム・ビデオで生配信される。
(THE ANSWER編集部)