なぜ牙を向けた井上尚弥との王座戦を“先延ばし”にした？ 豪挑戦者グッドマンが再主張「いつも頭の片隅にある」

東京ドームで井上に牙を向けたグッドマン。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

　なぜ井上尚弥（大橋）との王座戦を“先延ばし”にしたのか。ボクシングの世界スーパーバンタム級のIBF＆WBO世界スーパーバンタム級1位に立つサム・グッドマン（豪州）が、自らの真意を口にした。

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　その名が列島を賑わせたのは今年5月だった。去る同月6日に東京ドームで行われたルイス・ネリ（メキシコ）との防衛戦を制した同級4団体統一王者の井上とリング上で対峙したグッドマンは、「あんたはベルトを返上するか、俺と戦うか、だ」と宣言。来る9月の対戦を打ち出した“モンスター”とのタイトルマッチが有力視された。

　だが、合意間近だった両陣営の交渉は急変。今年3月にマーク・シュライブス（豪州）との試合を終えていたグッドマン側は7月に国内でチャイノイ・ウォラウト（タイ）とのノンタイトル戦を決定。井上側のオファーを断る形となった。

　王者側のオファーを挑戦者が拒否する異例の事態に波紋は広がった。SNSでは「逃げたのか」「理解に苦しむ」「なんで渋ったの？」といった反発的なコメントが噴出。グッドマンは批判の矢面に立たされた。

　ではなぜグッドマンは“調整試合”の感が否めないウォラウト戦を望み、頑なに12月開催を譲らなかったのか。一時的ではあったものの、国際的な批判を受けた25歳は、そのワケを説いている。

　今夏のウォラウト戦について「なぜ戦うのか」と切り込む米老舗誌『The Ring』の取材に応じたグッドマンは「常に予想されていたことではあったんだ」と断言。「今年は活動的にいたかったんだ。だからイノウエのような選手と戦う前に、世界レベルの選手と戦うのは良いテストになると思ったんだ」と持論を展開した。

　さらに12月開催が有力視される井上戦を「俺にとって究極の目標」と強調するグッドマンは、「今はキャリアで最高の状態にあるし、すべてを正しくやれている」とも公言。ウォラウトの先に見据える“目標”をいかに重要視してきたかを訴えている。

「俺たちの計画は、12月に彼と戦うことだ。それこそが今年に俺がやってきたすべてはそこに向けられている。イノウエとの戦いはいつも頭の片隅にあって、毎日、俺の背中を押してくれる。試合までは少し時間があって、俺にはまだやるべきことはたくさんある。それは7月10日に始まる。もう一人乗り越えなければならない相手がいるし、彼を乗り越えたら、その12月に全力を注ぐことになる」

　決して“逃げた”わけではない。全ては「打倒・井上」を叶えるための施策なのである。オーストラリアの若武者は日本が生んだ怪物を虎視眈々を狙い続けている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]